評価5
再読(前回2020年5月3日)。
教師が教え子の母を殺害した事件の被害者・加害者家族の7年後を追った物語。「風紋」の続編。被害者の二女・高浜真裕子は住宅会社に再就職して表面上は無難な生活に見えるが、内面では母を求める気持ちを引きずったままだった。そこに父の再婚や後妻の妊娠などが重なって、真裕子と父、姉、義母との関係はなにかとぎくしゃくするばかりで、真裕子自身、会社同僚との不倫にのめり込んでしまっていた。一方、加害者・松永の妻・香織の変貌は凄まじく、長崎の実家から引き取った長男・大輔の面倒もちゃんと見ずに自由奔放に暮らし続けるのだった。
真裕子と香織の間をつなぐ役割として、事件を担当した新聞記者の建部が登場して事件後の人々の揺れ動く心情を表出させて行くこととなる。真裕子の空虚さが読んでいて辛い。大輔のこれからが気にかかる。それぞれの心が晴れる時は来るのか?下巻へ進む。
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