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いしゃ先生ーあべ美佳

2024年10月07日 | 読書


評価5

再読(前回2019年12月13日)。
山形県のほぼ中央に位置する、とても雪深い寒村・大井沢村は医師が不在の日々が続いていた。そんな状況の中で、昭和10年、村長である父から「頼む、3年間だけお前の人生を私にくれ」と懇願され、東京での勤務医生活に別れを告げて故郷の医師となって僻地医療に人生を捧げた志田周子の感動の実話!映画「いしゃ先生」の原作小説。

古くからの因習が続く寒村ではなかなか周子は受け入れてもらえないのだが、ある時、犬の治療をしてあげたことがきっけで徐々に村人との心の距離が縮まって行くのだった。また、東京時代の恋人から「一緒に東京に戻ろう」との誘いを受けて、いったんは実家を後にした周子だったが、急患の処置を優先したことから村人の健康を見守る人生を送ることを決意する。

その後、昭和34年に保健文化賞(保健医療や福祉などで顕著な実績を残した団体や個人に贈られる賞)を受賞するなど、生涯を独身のまま地域医療に捧げて昭和37年食道癌を患い帰らぬ人となる。

久々に読んだ涙と感動の長編小説。
優しい気持ちになれる物語です。

女医ものということで、次回は渡辺淳一の「花埋み」を手に取る予定!
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日本古代史謎と真説ー関裕二

2024年10月04日 | 読書


評価2

再読(前回2019年11月3日)。
古代史にまつわる52の謎に著者が答える形で歴史の闇をひも解く一冊。
ほぼ全編に渡って「日本書紀」の記述を引用して、歴代の天皇や蘇我氏、藤原氏の所業を解き明かす方法をとっているが、どちらかというと実は「xxxxxx」を隠したかったから「日本書紀」にはこう記述しているが実際は・・・というパターン。しかも、それがほぼ単発で前後のつながりが捉えにくい構成で歴史の醍醐味とはほど遠い内容にガッカリ。

加えて、古代の人々の名前が漢字オンリーで長いので覚えられないのが致命傷(泣)。

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新検察捜査ー中嶋博行

2024年09月28日 | 読書


評価4

再読(前回2020年7月22日)。
前作「検察捜査」(江戸川乱歩賞受賞作)の主人公、女検事・岩崎紀美子が登場。
官僚の一部エリートが浄化槽委員会と呼ばれる秘密集団を組織して、マイナンバーを利用した国家監視制度を作り上げようと画策。その一環として、世論を喚起するために一人の少年を複数の女性を殺害の上、心臓を食すという猟奇殺人犯に作り上げてしまう。

この事件を追った紀美子は別件で公判中の精神科医が法廷で銃殺された事件との関連性に気付き、徐々に浄化槽委員会の中心人物への接触を開始するのだった。なかなか姿を現さない闇組織の不気味さと紀美子の行動力が独特のリーガルサスペンスを描き出す。

精神的にも肉体的にもタフな美人検察官には全く現実感がないが、まあまあ面白い!
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そして、バトンは渡されたー瀬尾まいこ

2024年09月22日 | 読書


評価3

水戸秀平の子として生まれた優子が田中梨花の子となり、和泉ヶ原茂雄の子となり、森宮壮介の子となって結婚するまでを描いた2019年本屋大賞受賞作。

「何故苗字が4回も変わったのだろう?」
ということに興味津々で読み進めると、そこには梨花の優子に対する並々ならぬ愛情が隠されていたのだった!最後の最後、結婚式の場面に秀平が登場するシーンにはウルっとしてしまった。

悪い人が誰一人として出て来ない小説で爽やかな読み心地の良い作品であることは確かだが、正直な話、「これが本屋大賞かぁ~」という感想。



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マイナス・ゼロー広瀬正

2024年09月17日 | 読書


評価4

再読(2019年1月24日)。
1965年(昭和40年)『宇宙塵』に処女長編として連載されたタイムトラベル物。タイムトラベル小説の最高峰と謳われ、日本SF史の記念碑的存在となった著者の処女長編。1970年下半期対象の第64回直木賞候補となり、10名からなる選考委員のうち司馬遼太郎は本作を最も高く評価したが、選にもれた。

1945年(昭和20年)5月26日、中学2年13歳だった浜田俊夫少年は東京の大空襲にみまわれ、隣家の伊沢先生から「18年後にまた同じ場所に来てほしい」という遺言を受ける。そして、18年後の1963年(昭和38年)電機会社の技術部長になった俊夫は及川氏が住んでいる敷地の中(旧伊沢邸)のドーム型建物の中にタイムマシンを発見。その中から伊沢先生の娘だった啓子(17歳)を助け出すのだった。その後、過去に戻り伊沢先生を助けるべくタイムマシンで時代を遡ったが戻る時代を間違えてしまったことから俊夫の長い長い第二の人生が始まるのだった。

ちょっと最後の方は話が入り組んでしまって、誰が誰の父なのか?母なのか?頭が?????となること必至だが、戦時中の世情や風俗も登場し時代小説の風情もあり読み応え抜群!

なお、390頁に岩手出身の大相撲力士「花光」の名前が出て来て、かなり懐かしい!!!
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