評価5
再読(前回2019年12月13日)。
山形県のほぼ中央に位置する、とても雪深い寒村・大井沢村は医師が不在の日々が続いていた。そんな状況の中で、昭和10年、村長である父から「頼む、3年間だけお前の人生を私にくれ」と懇願され、東京での勤務医生活に別れを告げて故郷の医師となって僻地医療に人生を捧げた志田周子の感動の実話!映画「いしゃ先生」の原作小説。
古くからの因習が続く寒村ではなかなか周子は受け入れてもらえないのだが、ある時、犬の治療をしてあげたことがきっけで徐々に村人との心の距離が縮まって行くのだった。また、東京時代の恋人から「一緒に東京に戻ろう」との誘いを受けて、いったんは実家を後にした周子だったが、急患の処置を優先したことから村人の健康を見守る人生を送ることを決意する。
その後、昭和34年に保健文化賞(保健医療や福祉などで顕著な実績を残した団体や個人に贈られる賞)を受賞するなど、生涯を独身のまま地域医療に捧げて昭和37年食道癌を患い帰らぬ人となる。
久々に読んだ涙と感動の長編小説。
優しい気持ちになれる物語です。
女医ものということで、次回は渡辺淳一の「花埋み」を手に取る予定!