「今を生きる力」と題した作家の五木寛之氏の講演に行きました。
五木さんの著書を読み、その考え方に同感し、講演があればどこ
にでも行くようになってから10年が過ぎたのか、と時の早さを身に
しみながら講演開始の待ち時間を感慨深く過ごしていました。
おっかけ歴10年です。
講演の内容はこれまでの著書で五木さんが繰り返し述べてきて
いることです。
今は病める時代。心病むことは自然なことである。逆にこんな時代
に何も悩みもなく明るく過ごせることが病気ではないかと言います。
優しい人ほど心萎えているのです。
かの有名な金沢の兼六園の雪吊り。雪吊りをする枝は、固くて
柔軟性のない枝だといいます。柔軟性のある枝は雪が積もっても、
ぐうぅとしなって、雪を払いのけるのです。
心にうつを感じているのは、心がぐうぅとしなっているということ
ではないでしょうか。しなるから折れずに生きていける。ため息は
心がしなっているから出てくるもので、人生を生きていく知恵なの
です。
ため息は大いに結構。悲しみがあって喜びがあるのです。
人間はプラス思考だけでは生きていけない。マイナス思考だって
大事なのです。
初めて知った内容といったものはありませんでしたが、五木思想を
再確認し、生きる勇気を与えてくれた講演でした。
五木さんへの尊敬の念がさらに高まりました。