大阪府で新型ウイルス患者の入院調整を担う幹部職員(医療監)が、病床逼迫を理由に「高齢者は入院の優先順位を下げざるを得ない」とするメールを府内の保健所長に送っていたという。
29日には本人がメールを撤回し、吉村知事も30日に「府の方針とは明らかに違う」と撤回し、謝罪した。
このドタバタ劇は何なんだろう?
知事を筆頭に幹部職員が、地道なコロナ過対応策をないがしろにして、世間受け(実態はテレビ受け)するパフォーマンスに走ったつけがまわってきたということだ。
◉今のような惨状をもたらしている遠因は橋下知事時代に、公衆衛生関係の予算(ヒト、モノ、カネ)を大幅にカットしたことにある。
ムダと思われるものは削るべきだが、公衆衛生絡みのライフライン(病院、看護師)を削ることには慎重であらねばならない。
◉社会人になった時にどんな教育を受けたかで、社会に対するスタンスが決まる。
吉村知事は、難関と言われる弁護士試験に通り大阪の弁護士事務所から社会人の第一歩を歩みだした。
その事務所は、消費者金融武富士の訴訟代理人になっていた。
武富士の反社会的な取り立てや違法な業務などを告発したジャーナリストへの訴訟を担当したという。
勝者の側の門番になって敗者の守護者になろうとしたものを攻撃するという役割だ。
◉政治は権力闘争だから勝たねばならぬが、一方で敗者や弱者への心配りがなければならない。
医療監が勝手に個人的にこのメールを出したということだがそれは疑わしい。
吉村知事と何らかのコンタクトはとっているだろう。
そういう意味では橋下・吉村的な大阪維新の風土にやや危険な匂いを感じざるを得ない。
このまま見過ごしていると、かってのナチスのような特定の集団を排除するような動きが出ないとも限らない。
名を成すはつねに窮苦の日にあり
事に敗れるは得意の時に因る