matsuoda@骨折中ですorz。
最近はロードバイクなどのスポーツバイクに乗り始める方が多く、嬉しい限りです。
しかしなかなかいいポジションを見つけ出せておらず、苦労している方がみられます。スポーライドの経験豊富なショップでアドバイスしてもらうのがよいのですが、そもそも何が課題なのかわからないという方も多いことでしょう。
私なりに日頃考えていたことを書いてみたいと思います。うまくまとまるかどうかはわかりませんが、ポジションを考えるヒントになれば幸いです。
スポーツサイクリングではシートポジションは駆動力を効率化させることが求められることから、最も重要視されています。いろいろなセッティングの方法がありますね。ペダルを一番下(シートパイプの延長上)にした状態でかかとを乗せて決めるとか、股下寸法×0.885倍とか。
一方、ハンドル高さや位置は比較的ざっくりしていると感じています。理由はいろいろありますが、「体格からだけでは決められない」というのが一番の要因だろうと思います。
○バイクの種類によって異なるハンドルポジション
たとえばシティサイクル、MTB、ロードバイクを挙げてみましょう。いずれもハンドルの形状が異なります。シティサイクルは手前上方に曲がったハンドル、MTBはおおむね横一文字、ロードバイクはドロップハンドル、です。
○ハンドルに求められる性能
クルマはトラックでもスポーツカーでも、ほとんどハンドルの形状は変わりません。それでも握りやすさとか、回しやすさとかは差をつけていますね。結局操作しやすさを追求としているということだと思います。
では自転車の場合はどうでしょう。ハンドルとは文字どおり自転車を左右に操作するものです。(MTBでは上下というのも出てきます)それぞれの車種に応じて、操作しやすいことは最低条件としてあると考えられます。
ハンドルは装備されていて、手の届くところにある限り、その最低条件はクリアできると考えられます。その上で形や取り付け位置が異なるのは、プラスアルファの性能が付与されていると考えられるでしょう。
私が考えるに、シティサイクルのハンドルは体格の異なるさまざまな人が握りやすい位置になっているとか、力のある人/ない人でも操作が楽にできるとか、直感的に操作がわかりやすいとか、ですね。
MTBは左右に加えて上下の操作がしやすい、また路面からのショックを腕で受け止めやすい、などの性能があるでしょう。
ロードバイクは、上ハンドルは長時間リラックスして走れるポジション、ブラケットはブレーキがすぐかけられるようにして走れるポジション、下ハンドルはクラウチングを深くして空気抵抗を減らすとか、しっかりブレーキをかけられるポジション、という性能が考えられます。
○始めたばかりの人が困ること
スポーツサイクルを始めたばかりの人が困るだろうことは、乗車姿勢です。どんな姿勢がよいのだろうかということです。
シートのポジションは、前述の通り非常にさまざまで細かな調整方法があります。高さについてはいろいろな研究で生理学的な効率がよいとされるところに落ち着いてきています。
ところが、ハンドルの位置は目安とされるものがあるものの、なぜその位置/高さなのかというような裏付けがなかなか無いのが実態です。(ほとんど経験則だと思います。私がこれから書くのも経験則ですが。)
○スポーツサイクルのハンドルはなぜ低いのか
ロードバイクにしろMTBにしろ、スポーツサイクルの多くはシートよりもハンドルが低い位置にされています。ショップの方の多くが、「スポーツバイクはかくありき」ということで、これを初期状態として販売されてると思います。
結果的に、スポーツサイクルの乗り方が身につけば、おおむねこの姿勢にいきつくのですが、その過程を説明ないしは理解しておくことが大事なのではないかなぁ、と思ったのが、この記事を書こうと思ったきっかけです。
苦しいポジションから抜け出したいため、あらぬ方向に調整していまい、抜け出せなくなってしまっているというような方を見ることがあります。そういう方は、きっとこの過程を理解されていないのではないのかなぁ、と思うわけです。
○ハンドルは高い位置のほうが操作しやすい
人間は直立動物で、腕は前向きについていますから、シートの位置よりもハンドルは前、そして高い位置にあるのが自然と考えられます。シティサイクルは腰上をほとんど直立で乗車でき、その姿勢で腕が自然に届く位置にハンドルがあり、操作しやすいです。シティサイクルはとてもよく考えられたハンドルポジションなのです。ちなみにJCAのページによると、シティサイクルのハンドルポジションの目安は、シートプラス10cmの高さということだそうです。
○シティサイクルのポジションとスポーツサイクルのポジションの違い
操作しやすいシティサイクルのポジションを、なぜスポーツサイクルでは変えているのでしょうか。これを考えると自ずとセッティングの方向性が見えてくるのではないでしょうか。
シティサイクルは、想定される走行速度はあまり速くなく、操作の容易さを最も重要に考えていると思います。ペダルにかける力も通常はそれほど大きくありませんし、空気抵抗も考慮されていません。シティサイクルは一生懸命一日中走り続けるようなポジションではなく、短時間を楽に移動できることを考えてあるのです。
スポーツサイクルはどうでしょうか。半日とか1日、ずっと乗り続けたり走り続けたりする中で、次のような点に気づくでしょう。
1)風の抵抗が大きい
2)ずっとペダリングをしていると疲れる
3)重いギヤを踏まないと進めないところがある
4)同じ姿勢ばかりで肩が凝る/疲れる
5)立ち漕ぎという、新しい漕ぎ方を知る
ほかにもあると思いますが、代表的なところはこのへんでしょうか。
1)は、強い風が吹いたり、速度が上がったりすると上体にかかる風圧が強いので、それを減らしたいと思うでしょう。
2)は、それ自体が目的ですからやむを得ないところですが、少しでも楽にしたいと考えますね。
3)これも長い道程では避けられないことですし、それに挑戦していくのもスポーツサイクルの楽しみです。
4)は、取り除けるなら取り除きたいポイントですね。
5)は、新しい挑戦かと思います。
スポーツサイクルのハンドルの形や位置が異なるのは、こういった違いに対応するためのものと捉えることができるでしょう。
○乗り方が変わるとハンドルポジションも変わる
端的にいえばこういうことです。
2)は、ハンドルではなくシートポジションのセッティングの要素が多いので除外します。1)とか3)とか4)というのは、シティサイクルのハンドル位置を変えることで、なんとかなるかもしれません。
裏返しに言えば、シティサイクル程度のゆっくりしたサイクリングを楽しみ、上の5つのような変化が生じないのであれば、ハンドル位置はシティサイクルに限りなく近い状態のままのほうが楽だということです。すなわち、スポーツサイクルだからといって、最初から低いハンドルポジションを強いるのは無理がある。ということです。
今回一番いいたかったのは、この点ですね。
○シティサイクルと変わる点、変わらない点
・変わる点
空気抵抗やペダルにかける荷重を増やすため、やや前傾姿勢をとる。
このためハンドル位置は少し遠くなる。
・変わらない点(変えない点)
ハンドルにはあまり体重をかけない。
シートに体を乗せるという点は基本的には変わらない。ただし、ペダルへの荷重が増えればその分シートへの荷重は減る。
前傾姿勢をとる=ハンドルに体重がかかる、と考えがちですが、これは違います。このへんの説明を省略してしまっているのが、「三点支持」の説明の欠点かと思います。(そもそもシート+両手両足なのだから5点支持だろうというツッコミもあります)
○シティサイクルのポジションから始める
お辞儀をするとき、腕は使いませんね。つかまるところもありません。
お辞儀をずっとしたままにするのは辛いですが、スポーツサイクルはそういう姿勢をとり続けます。これでは辛いだけなので、もう一つ。お辞儀をしたとき、片足を前に出したらどうでしょうか。支えになりますね。そうすると随分楽になると思います。スポーツサイクルの荷重の分散は、これが基本になります。
前傾姿勢(だけだと辛いので)+片足を前に出して支える(これがペダリングになります)=体を支えられる(そんなに辛くない)。
これだと腕は関係ありませんね。腕はシティサイクルと同様、ハンドルを左右に切るために使います。体の支えをする必要はありません。
自転車を始めたばかりの場合、この姿勢がとれるポジションにするのが良いと思います。(ただ、残念ながらスポーツサイクルのほとんどがシートよりも高い位置にハンドルをセットできないと思います。なので、このへんは概念だけ理解しておくか、試乗用バイクなどでテストするだけとなるでしょう。)
大事なのは、支えとなる足への荷重です。これは体の支えとなるとともに、ペダリングによる前進力になります。すなわち、前傾姿勢を維持するためには、ペダルに力をかけ続けることが前提となります。なので、軽いギヤでペダルにあまり荷重をかけずにくるくる走るだけだと、前傾姿勢を支えるのは体幹か、腕ということになってしまいます。多くの場合で初心者の体幹はそれほど強靭ではないので、腕に体重がかかって苦労するというわけです。
○どうやって変化させていくか
この流れで姿勢変化を考えるならば、手順は以下のようになります。
1)ハンドルを高くセットして体重をかけないポジションにする
2)少し前傾し、ペダルに体重を乗せる練習を積む
3)ペダルにしっかり体重を乗せ、かつハンドルに体重がかからないようになったら、少しハンドルを下げてみる
4)以後、2)-3)の繰り返しで自分の体力と走り方にあったポジションを見つける
この考え方だと、ペダルに大きい荷重をかけられて、高速度を発揮する人ほど前傾が大きくなる、という傾向になるといえます。最終的には、操作のしやすさとか、周囲の確認のしやすさとかもありますので、妥協点を探すということになるのですが。
○間違った方向のセッティング例
「三点支持」を教わっただけで、その理由や走り方の違い、成長について説明されていない場合、以下のような間違いをしていくことが多いです。(私も昔はこの泥沼にはまっていたと思います。)
1)三点支持で腕に力がかかり疲れるが、「スポーツバイクはそういうものだ」と言われ、止むを得ず我慢してこの姿勢で乗る
2)シートが高くハンドルが低いため、サドルがささり尻が痛い
3)サドルを前下がりに調整して、尻の痛みを和らげてみる
4)基本ポジションで前傾がきつくなるので、腕にさらに荷重がかかり疲れる
ロードバイクで前下がりのシートセッティングにしている人は、シートの形うんぬん以前に、この泥沼にはまっている可能性が高いです。シートをいくら交換しても、なかなかこの泥沼から抜けることはできないでしょう。この泥沼から抜けるには、上の方法でまずハンドルを高くし、ペダルに荷重をしっかりかけるところから始めるのがよいです。ペダルに荷重をあまりかけられないのなら、ハンドルは高いままがよいでしょう。
○おまけ(クラブライドなどの場合)
クラブチームで集まって走る場合などの場合です。
一緒に走るライダーの技量がある程度揃っている場合は何も問題ないのですが、明らかに自分の普段のペースよりも遅い巡航速度になるときは、ハンドルを高く近くセットするとよいでしょう。普段よりもペダルにかかる荷重が減るため、そのぶん腕に力がかかってしまうからです。これを回避するには、ハンドルを高く近くして前傾姿勢をゆるくしてしまうのがよいです。シートを若干低くしてもよいかもしれません。
最近はロードバイクなどのスポーツバイクに乗り始める方が多く、嬉しい限りです。
しかしなかなかいいポジションを見つけ出せておらず、苦労している方がみられます。スポーライドの経験豊富なショップでアドバイスしてもらうのがよいのですが、そもそも何が課題なのかわからないという方も多いことでしょう。
私なりに日頃考えていたことを書いてみたいと思います。うまくまとまるかどうかはわかりませんが、ポジションを考えるヒントになれば幸いです。
スポーツサイクリングではシートポジションは駆動力を効率化させることが求められることから、最も重要視されています。いろいろなセッティングの方法がありますね。ペダルを一番下(シートパイプの延長上)にした状態でかかとを乗せて決めるとか、股下寸法×0.885倍とか。
一方、ハンドル高さや位置は比較的ざっくりしていると感じています。理由はいろいろありますが、「体格からだけでは決められない」というのが一番の要因だろうと思います。
○バイクの種類によって異なるハンドルポジション
たとえばシティサイクル、MTB、ロードバイクを挙げてみましょう。いずれもハンドルの形状が異なります。シティサイクルは手前上方に曲がったハンドル、MTBはおおむね横一文字、ロードバイクはドロップハンドル、です。
○ハンドルに求められる性能
クルマはトラックでもスポーツカーでも、ほとんどハンドルの形状は変わりません。それでも握りやすさとか、回しやすさとかは差をつけていますね。結局操作しやすさを追求としているということだと思います。
では自転車の場合はどうでしょう。ハンドルとは文字どおり自転車を左右に操作するものです。(MTBでは上下というのも出てきます)それぞれの車種に応じて、操作しやすいことは最低条件としてあると考えられます。
ハンドルは装備されていて、手の届くところにある限り、その最低条件はクリアできると考えられます。その上で形や取り付け位置が異なるのは、プラスアルファの性能が付与されていると考えられるでしょう。
私が考えるに、シティサイクルのハンドルは体格の異なるさまざまな人が握りやすい位置になっているとか、力のある人/ない人でも操作が楽にできるとか、直感的に操作がわかりやすいとか、ですね。
MTBは左右に加えて上下の操作がしやすい、また路面からのショックを腕で受け止めやすい、などの性能があるでしょう。
ロードバイクは、上ハンドルは長時間リラックスして走れるポジション、ブラケットはブレーキがすぐかけられるようにして走れるポジション、下ハンドルはクラウチングを深くして空気抵抗を減らすとか、しっかりブレーキをかけられるポジション、という性能が考えられます。
○始めたばかりの人が困ること
スポーツサイクルを始めたばかりの人が困るだろうことは、乗車姿勢です。どんな姿勢がよいのだろうかということです。
シートのポジションは、前述の通り非常にさまざまで細かな調整方法があります。高さについてはいろいろな研究で生理学的な効率がよいとされるところに落ち着いてきています。
ところが、ハンドルの位置は目安とされるものがあるものの、なぜその位置/高さなのかというような裏付けがなかなか無いのが実態です。(ほとんど経験則だと思います。私がこれから書くのも経験則ですが。)
○スポーツサイクルのハンドルはなぜ低いのか
ロードバイクにしろMTBにしろ、スポーツサイクルの多くはシートよりもハンドルが低い位置にされています。ショップの方の多くが、「スポーツバイクはかくありき」ということで、これを初期状態として販売されてると思います。
結果的に、スポーツサイクルの乗り方が身につけば、おおむねこの姿勢にいきつくのですが、その過程を説明ないしは理解しておくことが大事なのではないかなぁ、と思ったのが、この記事を書こうと思ったきっかけです。
苦しいポジションから抜け出したいため、あらぬ方向に調整していまい、抜け出せなくなってしまっているというような方を見ることがあります。そういう方は、きっとこの過程を理解されていないのではないのかなぁ、と思うわけです。
○ハンドルは高い位置のほうが操作しやすい
人間は直立動物で、腕は前向きについていますから、シートの位置よりもハンドルは前、そして高い位置にあるのが自然と考えられます。シティサイクルは腰上をほとんど直立で乗車でき、その姿勢で腕が自然に届く位置にハンドルがあり、操作しやすいです。シティサイクルはとてもよく考えられたハンドルポジションなのです。ちなみにJCAのページによると、シティサイクルのハンドルポジションの目安は、シートプラス10cmの高さということだそうです。
○シティサイクルのポジションとスポーツサイクルのポジションの違い
操作しやすいシティサイクルのポジションを、なぜスポーツサイクルでは変えているのでしょうか。これを考えると自ずとセッティングの方向性が見えてくるのではないでしょうか。
シティサイクルは、想定される走行速度はあまり速くなく、操作の容易さを最も重要に考えていると思います。ペダルにかける力も通常はそれほど大きくありませんし、空気抵抗も考慮されていません。シティサイクルは一生懸命一日中走り続けるようなポジションではなく、短時間を楽に移動できることを考えてあるのです。
スポーツサイクルはどうでしょうか。半日とか1日、ずっと乗り続けたり走り続けたりする中で、次のような点に気づくでしょう。
1)風の抵抗が大きい
2)ずっとペダリングをしていると疲れる
3)重いギヤを踏まないと進めないところがある
4)同じ姿勢ばかりで肩が凝る/疲れる
5)立ち漕ぎという、新しい漕ぎ方を知る
ほかにもあると思いますが、代表的なところはこのへんでしょうか。
1)は、強い風が吹いたり、速度が上がったりすると上体にかかる風圧が強いので、それを減らしたいと思うでしょう。
2)は、それ自体が目的ですからやむを得ないところですが、少しでも楽にしたいと考えますね。
3)これも長い道程では避けられないことですし、それに挑戦していくのもスポーツサイクルの楽しみです。
4)は、取り除けるなら取り除きたいポイントですね。
5)は、新しい挑戦かと思います。
スポーツサイクルのハンドルの形や位置が異なるのは、こういった違いに対応するためのものと捉えることができるでしょう。
○乗り方が変わるとハンドルポジションも変わる
端的にいえばこういうことです。
2)は、ハンドルではなくシートポジションのセッティングの要素が多いので除外します。1)とか3)とか4)というのは、シティサイクルのハンドル位置を変えることで、なんとかなるかもしれません。
裏返しに言えば、シティサイクル程度のゆっくりしたサイクリングを楽しみ、上の5つのような変化が生じないのであれば、ハンドル位置はシティサイクルに限りなく近い状態のままのほうが楽だということです。すなわち、スポーツサイクルだからといって、最初から低いハンドルポジションを強いるのは無理がある。ということです。
今回一番いいたかったのは、この点ですね。
○シティサイクルと変わる点、変わらない点
・変わる点
空気抵抗やペダルにかける荷重を増やすため、やや前傾姿勢をとる。
このためハンドル位置は少し遠くなる。
・変わらない点(変えない点)
ハンドルにはあまり体重をかけない。
シートに体を乗せるという点は基本的には変わらない。ただし、ペダルへの荷重が増えればその分シートへの荷重は減る。
前傾姿勢をとる=ハンドルに体重がかかる、と考えがちですが、これは違います。このへんの説明を省略してしまっているのが、「三点支持」の説明の欠点かと思います。(そもそもシート+両手両足なのだから5点支持だろうというツッコミもあります)
○シティサイクルのポジションから始める
お辞儀をするとき、腕は使いませんね。つかまるところもありません。
お辞儀をずっとしたままにするのは辛いですが、スポーツサイクルはそういう姿勢をとり続けます。これでは辛いだけなので、もう一つ。お辞儀をしたとき、片足を前に出したらどうでしょうか。支えになりますね。そうすると随分楽になると思います。スポーツサイクルの荷重の分散は、これが基本になります。
前傾姿勢(だけだと辛いので)+片足を前に出して支える(これがペダリングになります)=体を支えられる(そんなに辛くない)。
これだと腕は関係ありませんね。腕はシティサイクルと同様、ハンドルを左右に切るために使います。体の支えをする必要はありません。
自転車を始めたばかりの場合、この姿勢がとれるポジションにするのが良いと思います。(ただ、残念ながらスポーツサイクルのほとんどがシートよりも高い位置にハンドルをセットできないと思います。なので、このへんは概念だけ理解しておくか、試乗用バイクなどでテストするだけとなるでしょう。)
大事なのは、支えとなる足への荷重です。これは体の支えとなるとともに、ペダリングによる前進力になります。すなわち、前傾姿勢を維持するためには、ペダルに力をかけ続けることが前提となります。なので、軽いギヤでペダルにあまり荷重をかけずにくるくる走るだけだと、前傾姿勢を支えるのは体幹か、腕ということになってしまいます。多くの場合で初心者の体幹はそれほど強靭ではないので、腕に体重がかかって苦労するというわけです。
○どうやって変化させていくか
この流れで姿勢変化を考えるならば、手順は以下のようになります。
1)ハンドルを高くセットして体重をかけないポジションにする
2)少し前傾し、ペダルに体重を乗せる練習を積む
3)ペダルにしっかり体重を乗せ、かつハンドルに体重がかからないようになったら、少しハンドルを下げてみる
4)以後、2)-3)の繰り返しで自分の体力と走り方にあったポジションを見つける
この考え方だと、ペダルに大きい荷重をかけられて、高速度を発揮する人ほど前傾が大きくなる、という傾向になるといえます。最終的には、操作のしやすさとか、周囲の確認のしやすさとかもありますので、妥協点を探すということになるのですが。
○間違った方向のセッティング例
「三点支持」を教わっただけで、その理由や走り方の違い、成長について説明されていない場合、以下のような間違いをしていくことが多いです。(私も昔はこの泥沼にはまっていたと思います。)
1)三点支持で腕に力がかかり疲れるが、「スポーツバイクはそういうものだ」と言われ、止むを得ず我慢してこの姿勢で乗る
2)シートが高くハンドルが低いため、サドルがささり尻が痛い
3)サドルを前下がりに調整して、尻の痛みを和らげてみる
4)基本ポジションで前傾がきつくなるので、腕にさらに荷重がかかり疲れる
ロードバイクで前下がりのシートセッティングにしている人は、シートの形うんぬん以前に、この泥沼にはまっている可能性が高いです。シートをいくら交換しても、なかなかこの泥沼から抜けることはできないでしょう。この泥沼から抜けるには、上の方法でまずハンドルを高くし、ペダルに荷重をしっかりかけるところから始めるのがよいです。ペダルに荷重をあまりかけられないのなら、ハンドルは高いままがよいでしょう。
○おまけ(クラブライドなどの場合)
クラブチームで集まって走る場合などの場合です。
一緒に走るライダーの技量がある程度揃っている場合は何も問題ないのですが、明らかに自分の普段のペースよりも遅い巡航速度になるときは、ハンドルを高く近くセットするとよいでしょう。普段よりもペダルにかかる荷重が減るため、そのぶん腕に力がかかってしまうからです。これを回避するには、ハンドルを高く近くして前傾姿勢をゆるくしてしまうのがよいです。シートを若干低くしてもよいかもしれません。