ほのぼの数学がんばろう~

小学校算数,中学数学,高校数学あたりをゆるゆる~っと楽しみます(´ー`*)

2012年東大入試理系数学第3問その1

2012-05-19 15:30:42 | 大学入試問題
どもども。こんにちは。

今日もゆるゆる~と頑張りましょう。
前回の2012年東大入試理系数学第2問を取り上げましたので
今回は第3問をやります

問題はこちら
http://www.yozemi.ac.jp/nyushi/sokuho/recent/tokyo/zenki/sugaku_ri/mon3.html

標準的な回転体の問題だと思います。東大は元々空間図形の問題を好んで
出題する傾向がありますが,今年の問題はとてもシンプルな出題じゃないかと
思います。(2)はオマケみたいなものでしょうか

まずは領域Sの概形を確認してみます。


これをx軸方向に1回転させた立体の体積がV_1,y軸方向に1回転させた立体の体積がV_2です。この2つを求めます。まずはV_1からいきましょう。

対称性より,0≦x≦1/2の部分を考えて2倍すればいいですね。
スタンダードな解法としては平面x=tでこの回転体を切ったときの断面積を
0から1/2まで積分するというものが考えられます。
この断面はレコード状の円環になっています。

V_2に関しても同様で,今度は平面y=tで切断した時の断面積を
0から1/(4√2)まで積分します。こちらの断面は円になっていますね。


この問題に関しては素直に上記のやり方で計算するのが簡単そうです。

次は,俗に「バウムクーヘン」や「年輪」や「かつら剥き」などと呼ばれる
積分を使った解法をやってみましょう。

それはどういうものかと言いますと,例えばy=f(x)(0≦x≦a)で与えられた曲線をy軸周りに1回転させて出来る回転体の体積を考えるとき,
原点を中心とした半径tの円を底面とする高さf(t)の円柱の側面積をtに
関して0からaまで積分するというアイデアです。
幾重にも円柱の側面が重なり合ってる様子はまるでバウムクーヘンや木の年輪のようですね。
受験数学の裏技という位置付けもされますが,説明なしにこの考えを使っていいのかという意見もあるので,今回の問題のように標準的な手法でやっても難しくなさそうなときは試験では標準的な手法を使う方が無難かもしれないですね。



では実際に使ってみます



お。なかなか簡単ですね




無理関数の積分なんかが出てくるので,若干面倒??

次回は極座標を用いてこの計算をやってみます

最後に(2)をやってしまいましょう。
V_1とV_2の比と1の大小関係を問う問題です。
ダイレクトに比を計算するか,V_1とV_2の大小関係を比べるか。
パッと思いつくのは大体このどちらかでしょうか。


√2の近似値として1.42を用いる際は
「1.41^2<2<1.42^2より」なんて一言を添えとくと親切かも。
22-5(8√2-7)=57-40√2=√3249-√3200>0
とする手もありますね。

ではでは。


2012年東大入試理系数学第2問

2012-05-15 16:37:59 | 大学入試問題
どもども。こんにちは。

前回は今年の東大理系数学の第1問を取り上げてみました~
そこで今回は第2問を取り上げてみたいと思います

問題はこちら
http://www.yozemi.ac.jp/nyushi/sokuho/recent/tokyo/zenki/sugaku_ri/mon2.html

確率の問題ですね


9つの部屋があって,1秒ごとに辺を共有する隣の部屋に移動するというものです。
ではとりあえず図にあるように9つの部屋にA,B,C,D,E,F,P,Q,Rと名前を付けてしまいましょう。
Pがスタート地点。n秒後にQにいる確率が求めたいものです。

この手の問題は確率漸化式を立ててそれを解く,という解法が
とても有効です
というわけで,とりあえず何も考えずにn秒後にA,B,C,D,E,F,P,Q,Rにいる確率をそれぞれ
a_n,b_n,c_n,d_n,e_n,f_n,p_n,q_n,r_nとおきましょう
ワーイ,めんどくせー

9つも数列があったらやる気が失せますね♪
でもまぁ実際やってみると,実はそんなに大変でもなかったりするんですが。
図形の対称性を使うと,数列の数を減らせます。
例えばn秒後にQにいる確率とRにいる確率は等しくなります。
同様にBとC,EとFにいる確率はそれぞれ等しいです。

そんなわけで,とりあえず何も考えずに9つの数列を考えた場合の解法を挙げてみます。


たくさんあった数列たちを消去しまくってq_nだけの漸化式を得ました。
3項間漸化式ぽい形が出てきましたね
出てくる項が1つおきになってるので,q_nの奇数番目の項を並べた数列 q_{2m-1} (m≧1) と偶数番目を並べた数列 q_{2m} (m≧1) に関しては
隣接3項間漸化式になっております。
特に奇数番目に注目してみると,
q_1=q_3=0 から順にq_5=q_7=q_11=……=0が得られます。
簡単な実験で分かることですが,球は奇数秒後には常にP,Q,R以外の部屋にあり,偶数秒後にはP,Q,Rのいずれかに入っています
実質的に偶数秒後の球の位置を考えればよいわけですね!

さて,与えられた3項間漸化式ですが,一般に a_{n+2}+Aa_{n+1}+Ba_{n}=0 において 1+A+B=0 のときは扱い方が比較的に楽チンでして,
a_{n+2}-a_{n+1}=B(a_{n+1}-a_{n})
及び a_{n+2}-Ba_{n+1}=a_{n+1}-Ba_{n}
が成り立つので計算がし易いです。



というわけで,答えが得られたのでめでたしめでたしです~。

では,今回も別解法を考えてみます。
上記のやり方では,何も考えずに9つの数列を用意しました。
でも,それをする前にちょこっと実験してみて,奇数秒後に確率は常に0で
偶数秒後には常にP,Q,Rにしか居ないということに気付いてしまえば,
わざわざ9つも数列を考える必要はなくって,p_n,q_n,r_nの3つで十分だったという事が分かるかと思います。しかも対称性から q_n=r_n なので,
実質的には2つの数列で事足ります。



先程よりもスッキリした解法が得られました。今度は3項間漸化式も使っていません。


ここからは敢えて面倒なことをしてみる事にしましょう。
今の解法で出てきた q_{2m}=1/6+(1/2)q_{2(m-1)} という2項間漸化式。
これは q_{n+2}=1/6+(1/2)q_{n},q_1=(任意),q_2=1/6 で与えられた
3項間漸化式という見方も出来ますね。
これを解く上では,q_1は任意の値で支障はありません。ただし,この漸化式で奇数秒後にQにいる確率を得ることは出来ません。実際,q_1=0としたとき
q_3=1/6が出てきてしまい,q_3=0は出てきません。
その理由は,漸化式を得る過程で全確率 p_n+q_n+r_n=1 という関係式を
用いているからであります。この関係式は偶数秒後でしか成り立ちません。
そんなこんなで,わざわざ3項間漸化式を解いて答えを得てみましょう。



随分と面倒くさい式が出てきましたね

最後に,もっと面倒くさい解法を1つ与えて終わりにしましょう。
0秒後,2秒後,4秒後,……,2m秒後の球のいる部屋を順に書き下すと
PPPQQPQRRQのような,P,Q,Rの重複順列が出現します。
PからスタートしてQで終わるような順列の数を利用して答えの確率を
求めてみようという,なかなか面倒なやり方です
最終的には2項定理まで出てきます。









2012年東大入試理系数学第1問

2012-05-13 23:25:00 | 大学入試問題
と,いうわけで(どういうわけで?),
このブログでは主に様々な入試問題などにゆるゆる~とチャレンジしてみようと
思うわけなのです(´ワ`*)

しかしながら,なかなか最初の1回目に何を取り上げてみようかというのは
悩みますね
とりあえず,最初ですので分かりやすく今年の東大理系数学の第1問を選んで
みることにしました~

問題文はこちらです
http://www.yozemi.ac.jp/nyushi/sokuho/recent/tokyo/zenki/sugaku_ri/mon1.html

数学の受験勉強をする上で,応用力をつけるトレーニングの1つとして
1つの問題に複数の解法を与えてみるというものがあります。
自分で1回解いておしまい,とか,先生の解答や問題集の解答をみておしまい,
とかにせず,同じ問題を色んな解き方で再考してみる。
発想の幅を広げるのにとても良いです
今回も幾つかのアプローチの仕方を考えてみたいと思います。


さて,図形と方程式の問題は非常に解法のパターンが多く考えられる単元ですね。



今回の問題はABの長さが最大になるときのcosθを求めよというものです。
主な解法としては大きく,直線lの傾きを変数に取るか角度θを変数にとるか
の2通りに分けられるかと思いますので両方やってみましょう

まずは準備としてP,Qの座標を求めておきましょう。



続いてABの長さLを求めます。はじめは直線lをy=mxとおいて,
mを変数にしてみます。



ABをOB-OAとして求めるのが楽そうですね

ちなみに -√2m^2+6m-√2=0 を解くと
OP,OQの傾き m=(3±√7)/√2 が出てきます。
L=0のときですから,まぁ当然ですね
これを利用してmの範囲を求めるならば
最初にP,Qの座標求める作業は省けそうです。

P,Qの座標を求めていると,方ベキの定理からABを求めてしまう,
なんて方法も考えられますね~(゜д゜)




続いては問題文で与えられた角度θを変数にしてABを求めてみましょー。



B(sin2θ,1-cos2θ)というのは下図を見れば分かりやすいかもですが
∠BCO=2θを用いた,シンプルな円のパラメータ表示そのものです。
((cos(2θ-π/2),1+sin(2θ-π/2))と書くと更に分かりやすいかも?)
さて,図形の性質なんかを利用すると簡単な計算だけで求めることができます。



同様にRを(0,2)として接弦定理を用いれば△OBRは∠Bが直角の
直角三角形になります。∠R=θよりOB=ORsinθ=2sinθ
が求まります。これはなかなかOB求めるまで素早いですね



では,求めたLを微分して最大となるときを求めてみたいと思います。
まずはmを変数としたバージョンからいってみましょう。



3次式の因数分解で因数 m-√2 を見つけるのが多少面倒かも?
m=1/√3 のときLは最大値 √6/3 を取ります。
m=tanθですので,あとはcosθを求めれば終了というわけです。

ではθを変数とした場合はどうなるでしょうか。



tanθの3次式にしてしまえば先ほどのmを変数とした場合と同じ式が
出てきますね。cosθの方程式を解こうとすると6次方程式が出てきますが
簡単な形なので,まぁ何とかなります。あとはLを求めて終了となります。

恐らく,基本的な解法は大体こんなトコでしょうかね?
最後にちょっとだけ変則的なこともしてみましょう。
θを用いるとLは比較的シンプルな見た目にはなるんですが,
戯れにこれを内積を使って L=(2,-√2/3)・(sinθ,1/cosθ) 
などと表示してみましょう。正射影の考え方からLが最大になる条件を
考えます。



他にも解法は色々考えられるのかもしれませんが,
今回はこれくらいにしておこうと思います。
ケアレスミスとか多い人なんで,なんかあったら教えてちょ

今後もこんな感じで,なるべく複数の解法アプローチなどを考えていけたらと
思います

では次回もゆるゆる頑張りましょーー







追記(2012年11月15日)
この記事に関する追記をこちらに挙げています~~
http://mathnegi.blog.fc2.com/blog-entry-43.html