12月18日、バイト中にメールが来た。
送り主は…アナモトだ。
アナモトは同じ小学校で同じ中学校だった一つ年下の後輩だ。
小学校の頃は存在を知らなかったが、出会いは中学。
俺はいつも中学校の音楽室でギターを弾いていた。
そこに仲のいい同級生や後輩なんかが集って、みんなでだべるわけだ。その中で、ギターという楽器、そしてロックという音楽に一際目を輝かせていた坊主頭の野球少年。
それがアナモトだ。
実際に彼の目はいつも輝いている。
↑2年前の夏のアナモト
年は1個下だが俺の友達、彼にとっての先輩とも仲がよく、気がつけば3年生の教室に一人だけ2年の彼が紛れ込んでいたりした。
その後、高校は別々になったが家は近いため、暇があれば遊んでは色々な音源を聞かせたりしたし、俺が福岡に引っ越す日も荷作りを手伝ってくれた。
その1年後彼も高校を卒業し、福岡に就職。
わりと近い距離に住んでいるのだが、お互いに忙しい生活をしているため中々会うに会えず、遊ぶ約束は何度も流れた。
しかし今日は会う。
俺がこの日のバイトを終えたら会う約束をした。
そしてバイトが終わり、俺は次の日の朝ごはんの納豆を買い、そこでしばし待つ。
すると彼から電話が鳴り、到着した旨が伝えられる。
俺は店の外に出る。
そこには「マッハ号」と命名したくなるような、ウィングの付いたスポーツタイプの白い車が待っていた。
マッハ号の中には少し髪の伸びた彼がいた。
俺はマッハ号に乗り込む。
積もる話をとりあえず喉の奥にしまって、再会を喜ぶ。
ほぼ二年ぶりの再会だが、全然久しぶりという気がしないのは「地元マジック」のせいだ。
そして「何を食べに行くか」という議論の意見が一致したので、俺達は天神へ向かう。
そう、行く先はタコスの世界一うまい店「ボニータ」だ!
出発の前にふと後を見ると、車体軽量化のため後部座席が取り除かれているのを確認。
運転席にも見たことのないメーターがいくつもあるのを確認。
「こいつ走り屋だ…」
車体を見た瞬間ふと感じた第6感は見事に的中したのだ。
そして数分後、俺はかつて経験したことのない事態を目の当たりにすることになる。
3号線を天神に向けて走り出した瞬間、俺は目を見開く。
地獄のハイウエィをまっしぐら…。
続く。