吉松真幸のボランティア報告書

鹿児島在住、吉松真幸(仮)の東日本大震災ボランティアレポート ボランティアから帰っても、他の形の被災地支援を模索中。

今日もまた泥の繁華街へ

2011-04-03 18:42:45 | 活動報告
今朝のマッチングは、だいぶボランティアの姿が少なかった。

「昨日ので、みんな懲りたかな?」
年配のボランティアが、苦笑した。

今日も、昨日と同じ、繁華街へ向かうバスに乗った。
そうしなければ、あの悲惨な地区を見捨てるような気がした。

バスは人数がそろわず、なかなか発車しなかった。
結局、空席を残して、発車した。

昨日と同じように、6列縦隊を作り、グループ分け。
昨日は15班できたが、今日は10班しかできなかった。

午前は、昨日よりも被害のひどい場所にある、インテリアショップへ。
周りは、木造の家屋はほとんど全て倒壊するか、流されていた。
鉄筋のビルでさえ、傾いているものがあった。
路上には、大型の漁船が傾いたまま道を塞いでいた。

インテリアショップも、中にあった商品も什器もほとんどなくなり、10センチくらいに積もった泥が床を埋めていた。
そして、流れてきた車が、真ん中に居座っていた。

泥やごみを外に出し、車を店の入り口まで移動した。

昼食をはさんで午後は、大通り沿いにあるテナントビルへ。
旅行代理店と、洋品店が入居している。
ここも、店内には泥が10センチくらい堆積していた。
床には、横倒しになったり、天地が逆になったりした陳列棚が、泥に埋もれていた。
旅行代理店では、航空会社のロゴの入った航空券発券端末も、泥まみれになり、店先に出されていた。
泥を漁ると、預かりものらしい、パスポートが出てきたりした。

旅行代理店の店先の泥をかき出しながら、泥に汚れ、ぐしゃぐしゃになったパンフレットが目に入った。

「ビジネスクラスで行くパリ」
「女子旅 グアム」
「地上の楽園パラオ」

地上の楽園なんて、そんなもの本当に存在するのだろうか?
そんな疑問が一瞬、頭をよぎった。

夕方まで活動し、集合場所のお寺に戻った。
冬型の気圧配置が強まったせいで、真冬のように冷たい風が吹いていた。

震えながら、かじかんだ指先で携帯を操作し、自宅のある鹿児島の町の現在気温を見てみた。
14.7℃だった。

(暖かいだろうな…)

ふと、何の変哲もない日常生活を送っていたあの町が、本当の楽園のように……日常生活こそが本当の幸せのように……日常生活を奪われた街で、そんな事を思った。


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