土木の工程と人材成長

土木建設の工程管理や組織運営、そして人材成長の話題や雑学を紹介します

先読みのできるひとできない人

2017-09-18 10:09:08 | 人生経営
 先読みとは、メタ認知とは少し異なるが、出来る人は先を読むことに長けている。ただ、先読みはメタ認知能力が高いほど精度が良くなっていくので関連がある。高い工事成績を獲得している人も、これから先のことを読んで新しいことを積極的に取り入れている。先読みとは「段取り力」でもある。

ところで、元気のいい経営者は、新しいことに果敢に挑戦している。必ずしも新規に取り組んだことのすべてが成功していないかも知れないが、多くの人から「あの人は出来る」とか「腕がた立つ」と言われている人は、新規に取り組む点では元気がいい。片や、宴会やゴルフだけには元気が出る経営者もいる。社員で言えばどうなるのだろうか?恐らく先を読まない、行き当たりばったりで、受身の仕事をしている人だろう。

 仕事の出来ない人の共通点は、①まず、能力が無い人②やる気が無い人、③先読みできない人、④客観的事実ではなく、自分の感情が先行してしまっている人、⑤結果に一喜一憂して振り回されてしまう人、ではなかろうか。

①と②は専門家の判断が必要と考えられるのでさておいて、③の人は周りのことにほとんど気を回すことがない。自分のことで精一杯のようである。例えば、何かを頼まれた時、指示されたことだけをすればいいとの受け止めになっており、頼んで来た人の立場やリソース(時間的、人的)などの周辺状況に少しの配慮も感じられない。頼まれたことの前後関係を想像することも皆無である。だから信頼性が低くなる。「気がきかない人」とも言われる。時がたつにつれ、困った時にも手を差し伸べる人がだんだん少なくなって孤立してくる。忙しい職場では怒られてばかりになるだろう。

④の人は物事の判断を、自分の感情(価値観ではなく、その場の反応)でしており、物事を広い視野ではなく、狭量なところ見ているように思われる。そして、持論に固執し縛られているようにも見える。我流なのでその人なりの確たる思考を持つと言う点では感心するのだが、なにせ思考が狭くて小さく、いかんともし難いのである。また、思考が狭いが故に自分の目の前のことだけに集中している。

⑤の人は、エネルギーを使い果たしてしまい、先読みの余裕がなくなってしまっている。しかし、時間がたてば回復してくる可能性はあるだろう。

 前述したように先読みとは、「段取り力」であるが、「危機管理能力」でもある。そして、先読みのできる人は「情報収集力」にも長けている。だからこそ、新規を取り入れるのも早いのだ。

自分を許す

2017-09-14 11:26:05 | 人生経営
 数年前、新大阪駅近くで開催された中土井僚氏が主催するU理論入門セミナーに参加した。その前年には、東京で開催されたU理論の説明会にも参加していたが、東京会場では全員が会場を歩き廻り身体を動かすことが行われた。今回の大阪では、手を挙げた私が自己開示をして、自分の過去を許すセッションであった。最初は自分の過去の全てを認める言葉が出てこなかった。どうも、無意識のうちに、自尊心の低さもあいまって過去の全てを認めることに対して抵抗していたようだ。何回か挑戦して、なんとか自分の過去の悪いことも含めて全てを認め、許す言葉が出てくるようになった。

 そこでは、それなりにすっきりしたような気分になったが、その時点では蛇が脱皮するようなわけではなかった。が、徐々に効いてきたようである。神社でのお払いやお寺の参拝などとは少し異なるが、キリスト教の懺悔に似た儀式ではなかったのかなと思うようになってきた。
 
 最近になって自尊心の本を読むに至り、自分を許すことの意味がだんだん分かりかけてきた。つまり、自分を許せない者は他人を許すことが出来ないのだということが分かってきたのだ。これは、私にとっては大変大事なことのように思えた。自尊心を育むことと、自分を許すこと他人を許すことは同時進行するのだ。自分が見え、他人が見え、人間というものがどういうものかが、少しずつ分かりかけてきたような気がしてきたのだ。つまり、自分の価値観、他人の前提とするもの、生育歴がどういうことだったのかが、見えてくるように思えてきた。

 なによりも、おおらかな気分でいられることが嬉しい。モノゴトの真意は別にして、自分なりの理解が深まり、精神的に楽になるのである。正にしろ負の事象にしろ、「ああ、そういうことなのね」と、納得できるような形で見えてくるような気がするのである。もしかしたら、俯瞰するとかメタ認知するというのは、これに近いのかも知れない。

最重要事項に集中しよう!

2017-09-06 16:48:25 | 人生経営
 スティーブン・コヴィー「7つの習慣最優先事項」キングベア出版、2000.8.10,P61に、緊急度と重要度という二つの軸によって四つの領域に分けた図がある。第一領域は「緊急かつ重要な活動」、第二領域は質の高い領域であり、「重要だけれども緊急でない活動」をいう。

 世界の優良企業は、この第二領域に7割程度の時間を費やしていると言われている。第二領域の時間を増やせば実行力が高まり、反対に無視すればストレスや疲労、深刻な危機が増えてしまい、第一領域に費やす時間が増えるのである。

 ある時、高知県の土木部長や所長が、建設業の社長さん方にヒヤリングを実施した。この内容を四象限に振り分けてみると、高知県の建設業の社長さん方は、第一の「緊急かつ重要」な領域と第四領域の「急がないし重要でない」無駄な領域と言われる部分に費やしている時間は優良企業と然程変わりはないのだが、第三領域とされる、「緊急でわあるが重要でない」錯覚の領域に半分以上の時間を費やしていることが分かった。第三領域はみせかけだけの領域であり、第一領域に似ている。しかし、「緊急だけれども重要ではない」活動(意味の少ない電話や接待)なのである。危険なのは、緊急なことは重要なことだと思い込んでしまうことである。この領域は自分ではなく、他者にとって重要かも知れないが、自分の価値は生まない。このことを常に弁えて対処しなければならない。

 最後の第四領域は無駄な領域(暇つぶしなど)である。生きるために必要なことではなく、生活の質をただ悪化させるだけだ。

 では、世界の優良企業そして、一流の人たちが、ほとんどの時間を費やしている第二領域とは「健康的な身体づくり、豊かな人間関係づくり、価値観の明確化、ビジョンの策定、自己啓発」などである。くれぐれも第一や第三領域の「緊急」なことに「忙しい、忙しい」と言いながら、快感を得ることにどっぷりと浸からないようにしたいものである。

 重要だが急がない第二領域は、最も進化した脳である前頭葉を使っており、主体的な対応で、創造的な思考が実現できる。これに対し、緊急かつ重要な第一領域は、古い脳を使っており、受動的な対応であり、それなりに満足感しているが、中毒になるので気をつけていないと進歩について行けず、いつの間にか取り残されてしまう。

 なお、世界優良企業の四象限の時間使用割合は、堀公俊「問題解決ファシリテーター」東洋経済、2003,2.P234に書かれている。