土木の工程と人材成長

土木建設の工程管理や組織運営、そして人材成長の話題や雑学を紹介します

志と自尊心と自己効力感

2017-08-30 08:26:48 | 人生経営
 世界の少なからず国(U,G,Tなど)の問題大統領の言動を見るにつけ、「志」の高さが最大の課題だと思う。「志」とは、精神の方向性であり、人生の目的であり、目標であり、ミッションをどう設定しているのかである。

 次に、それぞれの国の文化もあろうが、個人としてブランデンらの称える「自尊心(self-esteem)」、つまり、自分の価値や重要性を信じている程度、自分を大切にする心、自分を信じているという感覚、自分はやれるという自信である。これは、親の励ましによって培われると言う。自尊心を高めるためには、自分を許し(他人を許す)、自分は素晴らしいことを認め(他人も認め)ることである。

 この自尊心に続き必要となるのが、心理学者のバンデューラが称える「自己効力感(self-efficacy)」である。「自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できるという信念」で、自己有能感、自己可能感とも言われる。こちらは、「自分はきっとできる」「できそうだ」という確信の気持ちを実感を伴って持っており、自分にはその能力があると認知している状態である。また、失敗しても挑戦し続けられるマインドであり、成功体験から身につくものである。自己効力感を持ち、挑戦し続ける、失敗にもめげず、成功するまでやり続ける、小さな成功体験を積み重ねる、大きな目標は、小さなステップに分解して取り組む、他者や歴史的人物を参考にする、ことが必要なのである。

 このように、人生において、思考(意識、理性、精神、知性)としての「自尊心」と、感情(潜在意識、心、信念、勘、英知、勇気)としての「自己効力感」を車の両輪として、高い「志」に向かって行動していくこと、これが重要なのだと言える。

 幸いなことに「自尊心」も「自己効力感」も育む方法がある。例えばシラルディの「自尊心を育てるワークブック」金剛出版、2011.10.1などがある。そして勇気は、歴史から学べると言う。




成功哲学が教える潜在意識の使い方

2017-08-14 09:35:52 | 人生経営
 ナポレオン・ヒル「新・完訳 成功哲学」アチーブメント出版、復刻改訂版20161121、には「潜在意識」という言葉がたくさん出てくる。例えば、117頁や121頁には、7箇所書かれている。

 なぜ、潜在意識に注目しているかというと、人が意識しているのは5%に対し、潜在意識は95%を占めているからだ。ナポレオン・ヒルは、カーネギーの提案により、20年に渡り成功者にインタビューし、その秘訣を研究してきた。その集大成が、成功者は「潜在意識」を使っているということの発見だったのではないか。

 つまり、我々凡人が500名の成功者に近づくためには、潜在意識をうまく使いこなすべきというヒルの教えであろう。では、95%を占めている潜在意識をうまく使うためにはどうしたらいのだろう?

 潜在意識は意識したことを無条件に受け入れてストックしていると言う。そのストックした潜在意識を、日常では無意識に使っているのである。だから、未だ成功していないのは、我々の意識が成功者の意識と異なっているということなのであろう。成功するためには意識、つまり自分の思い込みを書き換え、成功に導いてくれる意識に変更することが必要だということになる。意識が変れば潜在意識を書き換えることができるのである。

 潜在意識を書き換えるためには自己暗示(=アファメーション)を使うと言う。つまり、自己暗示の善し悪しが成功するのか、そうでないかを決めるわけである。自己暗示の内容は自分ビジョン(意識)である。自分がなりたい姿をありありと想い浮かべ、それを言葉にして書き、1日数回心を込め声に出して読み上げる。話しは飛ぶが、この「ありありと想い浮かべる」という方法は、リプトン「思考のパワー」ダイヤモンド社、2014.5.29によると、量子力学とも合致しているようである。

コミュニケーションの難しさ  -ラポール構築から価値観までー  

2017-08-11 10:37:28 | 人生経営
 自分の発言が思わぬ波乱を引き起こすことがある。特に、変革を進めようとすると、相手のコンフォートゾーン(心地よい領域)を犯すので、反発を招いてしまうのだ。それは覚悟で投げかけているのだが、それでも、やはり反論されると相手に怒りの感情を起こさせた反作用として、こちらも一定のダメージを受ける。

 さて、コミュニケーションは大事だと、誰もが言う。コミュニケーションなんかどうでもいいなどと言う人は、まずいないだろう。だが、この「大事さ」にも様々な意味があると思う。「自分への報告がない。自分の思いどおりにいかなかった。つまり、相手に自分の思っていることを受け入れてもらえなかった」など、コミュニケーションの難しさを痛感する場面は日常茶飯事にある。

 ところで、コミュニケーションを良好に保つには、相手の価値観に添った言い方をしなければならないとディマティーニは言う。では、相手の価値観を知るには、どうしたらいいのだろうか?それさえ分かれば苦労はないと、言われる方もおられるだろう。だが、相手の価値観を知る前に、自分の価値観が明確になっていなければならない。自分の価値観を知らないままで相手の価値観を知ろうとしても、どだい無理なことである。ただ、自分の価値観を知らないままでも、コミュンケーションが良好にできている人もいるのだろうが、ともかく自分の価値観を明らかにしてみる必要はありそうである。

 自分の価値観を明らかにする方法はいくつか紹介されている。簡単な方法として、キーワードの中から自分が大事だと思う言葉を選び、絞り込みながら優先順位をつけていくというのがある。キーワードは「健康、お金、人間関係、愛、成長、達成、家族、知性、創造、地位・・・」など100ほどある中から選んでいく。この方法などを使って自分の価値観が明らかになると、相手の価値観を考える手がかりが得られることになる。相手の価値観を知れば、モノの言い方も分かってくるのだが、最初からズバズバと、土足で相手の心の中に踏み込んでいくわけにはいかない。

 そこで、まず初めに必要となるのが「ラポール」だ。ラポールとは、相手の心の中に架け橋をかけることだ。ラポールを築くには、お互いの共通項を見つけると早く到達することができる。ラポールを築くことができると相当無遠慮な領域まで踏み込んでいけるようになるのだが、このラポールの程度の読みを間違えると、反発を喰うので気をつけなければならない。踏み込む領域に応じて、築いておくラポールの強さも関係する。

 また、コミュニケーションの良好度は、相手の理解レベルによっても違ってくる。こちらの言葉の意味が通じなければ、意図したことと反対の反応が返ってくる場合もある。人は自分の掛けている色メガネでモノを見ているので、見えないものがあるからだ。それでも、コミュニケーションを良好にしていくためには、失敗にもメゲないで視点を変えながらアプローチし続けることが必要なのではないだろうか?

どうしてi-constructionが遅れているのか?

2017-08-09 15:57:05 | 思考
 2012年、国交省の全国11箇所でCIMの試行が行われ、ガイドラインの策定などが進んでいるものの、その後の進展が見えにくい。

 この回答として、8月7日、日経14面に東大の松尾准教授が、「米国、カナダ、英国、中国のAI技術革新のスピードがすさまじい。このままでは、日本は大きなチャンスを逃しかねない。AI人材にも、日本は賃金面で優遇していない。これは、企業がAIに対する事業計画を真面目にたてておらず、きちんと考えている企業が極めて少なく、AI技術の本質を捉えていないからだ。さらに、人事制度や給与体系が硬直的で、例外が認められないことがある。不思議なのは、日本では設備投資なら高いものでも買えるのに、人には高い給料が払えないことだ」と、書いているのが興味深い。

 つまり、経営者や技術者の思考が時代にマッチしていない、第四次産業革命に対応していないということだと思われる。自身コンサルを行って感ずることだが、知財に対する価値がまったく見えていない経営幹部が多数いる。知財価値がまったく理解されていないのである。日本人は、幕末に大きく見えた黒船には対応できたのだが、松尾准教授が指摘するように、見えないモノには金を出そうとしないのである。これが、第三次産業が70%を占める現代において、サービスはタダ同然と考えている日本人の思考癖により、生産性が向上しない原因なのでもあろう。

 日本人は稲作の歴史がある。稲作は気候にまかせておればよい。言いすぎかも知れないが、稲は勝手に生長するので、先を想像する必要がない。一方、ヨーロッパの狩猟民族は、獲物がどの方向に逃げていくのかを予測しなければならない。見えないルートを想像して視る必要がある。日本人は、具体に見える物造りは得意だが、見えない価値を生み出すことは苦手のようである。これが近年、世界に遅れ続けている要因なのであろう。

i-Construction 

2017-08-07 09:30:01 | 人生経営
 ICT (Information and Communication Technology「情報通信技術」)とは情報処理や通信に関連する技術、産業、設備、サービスなどの総称である。

 国土交通省では、「ICT の全面的な活用(ICT 土工)」等の施策を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指す取組としてi-Constructionを進めている。

 i-Constructionは、建設生産性の向上と、今後減少する建設労働者に対応するために避けて通れない。つまり、米国に比べて77%と低い建設生産性、そして、2025年には65歳以上の人口が30%を占め、現在490万人の建設就業者が、2025年には130万人も不足すると予測されている。このため、AI(人工知能)やロボットの活用は、建設現場で必須の課題ともなっている。

 そこで、私が所属する会社では、2016年4月から専任者を配置し、鉄筋の干渉を3Dで確認したり、ドローンを飛ばして写真撮影し、それを点群処理して三次元データに変換、これを基に横断図を作成して土量計算などに活用している。今のところ活用範囲は、1起工測量と2設計・施工計画段階での使用であり、3施工における建機の自動制御や、4検査までには到達しておらず、4段階中2段階までであり、全段階使用はこれからである。