土木の工程と人材成長

土木建設の工程管理や組織運営、そして人材成長の話題や雑学を紹介します

コーチング

2017-01-18 21:13:32 | 思考
コーチングは、部下を成長させるものだと言われている。

しかし、部下だけではなく、自分自身も成長すると思う。つまり、コーチングをするには、質問を考えなければならないのだが、この質問作成は自分自身をコーチング(パーソナル・コーチング)する時の訓練にもなるからである。つまり、部下を手助けするというだけでなく、同時に自分が助けられる側にも立っていると言っていい。

ところで、いい質問は答えを与えるよりも効果が高いと言われる。自分が出した答えは自らが考えることのできる範囲に限られてしまう。ところが、部下に質問をすれば、部下の答えの方が、自分が考えていた答えよりも、より現実的・具体的であったり、より高度な答えが返ってくる可能性が出てくる場合がある。

特に、現場の問題は、担当している部下の方が肌感覚的なものも含めて、よく知っているから余計そうである。

三人よれば文殊の知恵とも言われるが、二人でも文殊に近づけるというわけである。そう言った意味でも、おおいにコーチングをお勧めしたい。

現場第一主義も、過ぎたるは・・・

2017-01-09 23:37:00 | 建設経営
ある会社で部長クラスにコーチングをやってもらった。その効果は絶大であった。

が、コーチングがどの会社でもすぐに実行できるわけではないことが最近になって分かってきた。その会社の文化・風土が大いに関係すると思うのである。

コーチングがうまくいった会社では、目標管理が行われており、目標管理の功罪はさておき、一定の指示事項が現場まで届く仕組みが働いていたのだった。

反対にうまくいかなかった会社は、目標管理はなく、現場第一主義が浸透していた。現場第一主義は悪いものではないが、しかし行き過ぎてしまうと、本社の指示がなかなか浸透しにくいという体質にあるように思われる。つまり現場のことが第一に尊重されるので、現在の本社の意向はさておき、現場の担当者はそれなりに気持よく、過去に本社の意向とされてきたものを基準として、自分流で仕事を進めてしまうからなのであろう。

しかし、現場第一主義ですべてがうまくいくかと言うと、目まぐるしく変化すると言っていい変化の激しい時代においては、様々な外部からの要求事項に現場だけでは対応しきれないものがあるように思う。

現場の目の前の仕事は優先事項であることは確かなことだろう。だが、最優先しなければならないものが現場の仕事以外でもあるはずである。ドラッカーによれば、優先順位は「未来・機会・独自性・変革・外部」だと言う。さらに、これらを選択することは勇気がいるとも。

BSC(バランス・スコア・カード)のB、「バランス」の意味するところが、少し分かりかけてきた。

人は見たいものしか見ない

2017-01-02 09:41:07 | 人生経営
エレベーターの前でバスケットボール遊びをしている学生達の間を、ゴリラの縫いぐるみを着た人が横切るのだが、ほとんどの人がゴリラを見ていないという有名な動画がある。人は見たいものしか見ないという典型を、表したものだが、米国の自動車業界の人達も、トヨタの工場を見て、仕掛かり品が一つもないので偽物の工場を見せられたと言ったらしい。つまり、それぞれの人の思考の枠組みにあるものしか見ていないということらしい。この手の話をまとめて書いた本もあった。

 私自身も、骨董や蘭など、まったく値打ちが分からないものがたくさんある。先日も仕事の関係で「顧客価値」の話をしたのだが、相手にはまったく意味が通じていなかった。私が直接的に表現していないという、私のコミュニケーションの悪さにも問題があることは承知しているのだが、あからさまに表現するはどうかと思うので、抑えて言うのがいけないのだろう。

「大工には大工の言葉で」とソクラテスは言ったらしいのだが、相手に合わせてモノを言わなければ通じないことを実感することが最近多くなってきた。それは、知識量が増えると同時に、私の場合は逆に物忘などボケも多くなってきたことと、想像し過ぎること(妄想)も輪をかけていると思う事象も多々ある。

 論点がボケてきたが、成果とは数値で示せることができるなど、なんらかの形として誰にも理解できるものだろう。が、価値とは主観的で「感動」や「喜び」など感情的なものになる場合もある。つまり、成果の話は通じやすいが、価値の話はなかなか通じない場合がでてくるのも仕方のないことかも知れない。