それは心の大切な場所にしまわれた、大好きな思い出である。
“自分だけの!”
なぜなら読書はごくごく個人的な体験だからだ。自分と本とのだいたい30センチの距離。
限られた小さな空間で本の世界に入り込み、ひとりで主人公たちとともに呼吸をし、情景を見、すべてを実際に肌で感じるように体感する。
まるでむこうの世界にもっていかれる感じ。
自分の部屋で本を読んでいたとしても、もう、そこにあなたはいない。
小さめのヨットに乗り、湖をタッグし、帆走しているのだ。
風をはらんだ帆は、素晴らしいスピードでヨットを運んでいく。
湖面と光と、湖の両岸に広がる森。
英国、ウィンダミア湖……。
1930年、アーサー・ランサムが描いた世界は、きらめきをそのまま本の中にパッケージしている。
ジョン、スーザン、ティティ、ロジャーの4人兄弟が、いかにしてアマゾン海賊のナンシーとペギィに出会ったか?
4×2の子どもたちが、いかに真剣に遊びに取り組んでいたか?
そこに大人の事件が絡んできて、心の葛藤や“現実”という壁が生じるのだが、それをいかに乗り越えるのか……?
ようこそ、冒険と笑いと活力に満ちた夏休みへ!
アーサー・ランサムは最高の夏休みの物語を書いたわけだ。子どもの頃に読んだのなら、もう4×2の子どもたちは、あなたの心の友である。
あなたの心の世界の大切な場所に今もいる友人たち……。
そう思っている人が、世界中に何百万もいる、……ということが、子どもの本の持つ素晴らしい力だと思う。
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