ジョナサン・コットというアメリカのジャーナリストが、『メアリー・ポピンズ』の作者、P.L.トラヴァースに行ったインタビューがあります。そのなかに、トラヴァースの印象的な言葉がいくつかありました。
どれも、ちょっと長いですが、こんなことを彼女は言ってましたよ。
●来るものは拒まず、それを宝と考えよ、ですよ。
あなた自身の物語では、あなたが主人公になれるということ。
あなたがそれを全面的に受け入れればですが。
(これは、こういうことだと思います。
自分に起こることはすべて、いいことだと思って受け入れるということ。
たとえば、試験に落ちたり、会社をリストラされてり。そんなことさえも、「これでいいのだ」と受け入れる。
トラヴァースは、「宝だと思え」とまで言っています。
すると、「人からこうされたから」とか、「あの人はこうなのに」とか、被害者意識やねたみにとらわれることもない。
そうやって真正面から、自分の人生を受け入れてはじめて、自分自身の物語の主人公になれる。つまり、いい人生を生ききることができるということだと思います。)
●時を惜しまなければ、人は永遠のなかに歩み入ることができる。
もし、物事に時間をかけなかったり、時間を割かなかったりすれば、時を超えるのがどんなことなのか、わかりっこないでしょう。
「これをする時間がない、あれをする時間がない」ってよく言うわね。それはその通りよ。
でも、そんなふうじゃ、永遠を見つけられはしない。もちろん、時間があり余っているのは、時間がないのと同じね。パラドックスだわ!
●非凡なものを理解するためには、いや、かかわりを持つためですら、平凡なものが必要なのだ。
ちょうど、飛ぶためには離陸する硬い地面が必要なように。
空気のようなものの中にいて、空気を意識することはなく、ましてや大地となればいうまでもない。詩的なもののなかでは詩、子どもっぽさのなかにあっては、子どもを意識することはできない。
わたしたちに翼を与えてくれるのは、固い確かなものなのだ。
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