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ネコ20匹を世話するため、本を書いたりバイク乗ったり。見えない世界ととその狭間を見ながら日常を生活する一人の男の物語。

アトランティスの記憶 ①

2013-01-12 17:36:07 | 『日常』

ということで、最近ちょっと手直し入れていたので、そっちをこちらのほうに上げていきますんで。
興味のある人はぼちぼち読んでみてくださいね、新しくカテゴリー分けしてますんで。
はっきり言って長いです。
なので、いつ終わるかわかりませんが、ぼっちぼっちとアップしていこうかと思います。

イラストも、絵師の方に当時書いていただいて入っていたものをなんとか載せていきますので、
そちらもお楽しみに。

比良坂ヒーリングサロンは、ヒーリングの手法についての雰囲気をお伝えするためにかいたようなものですが。
こちらは「生まれ変わり」とか「人の意識」とかそういう概念的なものを「感じて」いただくために書いている感じになります。
とはいえ、楽しんでいただけましたら。
一応、リーディングを元に書いてますので。
まあ、そういう感じ、という感じで見てみてくださいね。

スピリチュアルな概念をお伝えするための小説、とも取れるし。ただのジュブナイル小説とも取れますか。

それでは、以下お楽しみに

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僕は目覚めると、建物の一番下にある食堂へと降りて行った。

もうルームメイトのカシェットはいないので、朝のユウション(ヨガのようなもの)をしに行っているようだ。
僕は朝から体を動かすのが苦手なので、なるべく時間まで個室で寝ている事が多い。

夜遅くまでゴーグル使って「情報接続」をしすぎると、朝は起きるのが辛いし。
でも、情報接続ばかりでは意識の発達ばかりが進んでしまうし。
肉体のエネルギーバランスを整えるためにもユウションをしにいったほうがいいのかもしれない。

そんな事を考えながら、頭にバンダナを巻きながら食堂へと入って行った。
このバンダナが大切なのだ。

これは脳波に指向性を持たせて『粒子』を操ることができる。
僕らがこの『家』(寄宿舎のような感じ)に入っているのは、粒子を扱う技を身につけて行くためなんだ。
これがないと、この家では食事も洗濯もできないし、外の街に出たら、それこそ移動する事も出来なくなってしまう。

僕らの脳波が安定する年になると、これまでに居た『小さな家』から、今僕らの暮らしている『大きな家』に移動する。

これまでの『小さな家』ではどちらかというと体を使って、意識を使って、そういう人間としての基本的な部分を学ぶ場所だったのだが、
『大きな家』では自分の肉体と、それ以上にこの国の重要な、空気と同じくらいに存在している『粒子』を扱う術を身につけるのと、この国の仕組みを知るために集められてきている。

だから、『大きな家』にはたくさんの、僕と同じような『家族』(同じ学校の仲間、みたいなイメージ)が居て。
同じ時期に大きな家に入ってきた家族は、『メンバー』と呼んで、他の家族と区別をしている。
一応、僕は正式には『21103メンバー』となっている。
数字は他のメンバーと区切るためのもの。

同じメンバーが1つの単位でいろいろと学んでいくのが、この家でのやり方。

でも、食事はどのメンバーでも同じように、同じこの食堂で食べる事になっている。

だから、やたらと広い。

食堂の壁は薄青い光をぼんやりと反射し。
僕が入っていた入口の反対側には、壁の上、僕らの背丈の2倍くらいのところにまるい2重になった筒状のものが並んでいる。

そこから、この部屋には「力粒子」が放出され、満たされているのだ。
粒子は目に見えないし、色も味も無いので空気とほとんど同じだけど。これを操る事ができないと、この食堂ではご飯が食べられない。
なぜかというと、食事がぜったい手の届かない上のほうへおかれているからだ。

厨房で出来上がった料理は、「基本食」、「補助食」、「強化食」と分かれて出されるのだか、それが一方の壁の上の方に並んで出される。

それを、力粒子を操る事で自分で手に入れないといけないのだ。

力粒子は、粒子を取り扱う上では初心者向けなのだが。
バンダナへの意識の伝達、力粒子へ指向性を持たせる場の調整。
そして、空間に満ちている粒子量の把握。
そういうものができないと、手でモノを運ぶくらいにスムーズにはできない。

だから、「新しいメンバー」はまだその扱いが得意ではない。
古いメンバーは、好きな料理を次々と選んで上の棚から取っていくのだが。
新しいメンバーはその料理を取るところからして時間がかかる。
食堂でもたもたしているので、すぐにわかるものだ。
それに、彼らは粒子の吹き出し口の下に座っている。

実は、そこの場所は粒子の濃度が他の場所に比べて薄いので、古くから居るメンバーは座らない。
僕も、それに気付いたのはついちょっと前だけど。
吹き出し口のずっと下には粒子回収用のスリットが空いていて、ちょうどそこにテーブルが置かれているし。そして、誰も古くからいるメンバーは座らないので、自然と新しいメンバーの席になってしまうってのもあるけどね。
濃度が薄いと、細かい操作がしにくくなるから、慣れている人ほどそういうものに敏感になってくるから、そういうところには座らない。公共の機関でも、粒子の薄そうな場所はたいてい人も少ないものだし。

まあ、新しい家族はまだ慣れていないから、この場所でも問題ないのだけれど。

僕はもう2サイクル(だいたい4年くらい)はここに居るので、料理も「基本食」以外に選んで運べるけど、新しいメンバーは基本食を手に入れるだけで一苦労している。
目の前で、一人の新しいメンバーが、粒子の扱いを失敗して基本食の料理を落としそうになったので、そっと力を加えて手伝ってあげた。

朝から料理が食べられないのは辛いからね。
もっとも、本人は自分の力量で危機を脱したと思っているだろうけど。

僕も覚えがあるから分かるんだけどね。
最初の頃は慣れるまでに苦労したものだ。でも、それをそっと、いつも同じ家のメンバーが支えてくれているのだよね。
だから、僕も同じように新しいメンバーには、気付かれないくらいに手助けをするようにしている。

もたもたしている新しいメンバーを見ながら、僕は基本食から、今日の強化食まで平らげて。
食器を力粒子を操って元の棚に戻して、外に出る事にした。
今日は外部の施設見学があるので、時間までにその場所に集まらないといけないのだ。

僕と同じメンバーは、もう食堂にはいない。
今日、遅くまで寝ていたメンバーは僕以外居なかったみたいだ。

たいてい、朝から意識の調整、脳波を安定させてバンダナと粒子を使いやすくするために、ちょっとした体操や瞑想をするメンバーが多い。
僕も、週に(現在の地球時間で10日くらい)3日くらいはそういうエクササイズをするのだけど、夜でないとできないエクササイズもあるから。

朝と夜と、交互にエクササイズをするようにしている。

食堂の中は、薄青い光が全体に満ちている感じになっていて。
食欲をあまり刺激しないような配色で、長居しないように作ってあるのだ。

僕は外に通じる通路に向かい、扉を開いた。
とたんに、まぶしい光が差し込んでくる。

目の前に見えるのは、白く輝く建物群と、まぶしい朝日。
太陽の光をエネルギーにするため、建物全体が光を拡散し、その光を集めて町のエネルギーを作り出している。
だから、朝の町は、太陽の光で輝いているのだ。

鉱物のような表面をした無数の建物は、効率よく光を反射するように配置され。
都市の中央にある、塔へとその光が届くようになっている。

建物の表面にはクリスタルが貼り付けられていて。そのクリスタルは水晶とはまた違って、人工的に作られている。一説には無重力空間で作られた一枚の結晶体をそのまま建物の外壁に使っているって聞いたこともあるけど。
そのあたりの話はまだちゃんと勉強してはいない。バンダナから情報粒子の情報を下ろしてきても、僕らには制限がかかっているので、中途半端な情報しか読み取れないのだった。
この人工の水晶は光のエネルギー損失が限りなくゼロに近い反射率を誇るのだそうで。
もしも光を直接浴びたら、そのまま黒焦げになってしまうらしい。
だから、街の作りはその反射した光が、絶対に人の生活する部分を通らないように、そういうふうに設定してある。
ギャロットの通路も、人の歩く道も、窓も、それらは全て反射する部分以外に存在していた。

それだけの光が集まる『塔』は白く輝く感じで。集まってきた光を吸収して反射しないようになっているということだった。
全て反射しないで光を吸収していたら、ブラックホールのように真っ黒になるはずだけど、そうならないように、自ら白い光を出して光っているんだって。
白い色、というよりも月の光りのような色になって輝く塔は、この町のどこからでも見上げられる、巨大な建物。
そして、僕らの生活はこの塔によって支えられているとも言える。

その塔には、『粒子』の噴出孔が多数開いており、町中にいろいろな種類の粒子を放出している場所でもあった。

塔が光のエネルギーを受け、粒子の生産と循環を行い。
町全体に粒子が満たされる。
塔の内部には様々な粒子のリサイクルシステムが存在していて。膨大な量の粒子の生産、循環、保管、を行っている。
だから、塔の大きさは一つの山ほどの土台と、宇宙へと通じるくらいの高さの存在となっている。
一番てっぺんでは、空と宇宙空間の境目が見えるらしい、という噂だけど、僕は登ったことないので分からない。まだ制限かかっててそういう情報も見れないし。同じ家族の仲間が話す噂話しか知識としては持っていない存在でもある。

粒子はこの塔から放出されるのだけど、力粒子のような物質に直接作用する粒子は、特定の区切られた場所でしか使えないようになっている。そこに集まるように作られているのだ。街中に溢れていたら、僕らは自分で力粒子を使って飛んだり跳ねたりして移動できるのだけど、特定の場所でしか使えないようになっているから、町の移動手段は歩くか、指向性を持った力粒子を使って走るギャロット(バスのようなもの)に乗って移動する。

まぶしい太陽の光も、建物の下に降りて、都市の道路までくるとそれほどではない。
ちゃんと、人の歩く場所、人の移動する場所まではまぶしくないように作られているのだが。
力粒子がもしも街中にあったら、間違ってこの反射する光の中に飛び込んでしまうかもしれないから、だから特定の場所だけになっているのかな?

僕は、毎朝この、光り輝く街を見るのが大好きなので。
わざと中の通路を通らずに、いきなり外に出るようにしていた。

塔じゃないけど、僕も太陽の光の粒子を浴びて体が活性化されるような気がするから。
それに、太陽の光を見て瞑想する人もいると聞く。
僕はまぶしくて見てられないけど。
そういう事ができる人は、直接光の粒子を体内に入れることができる人なのだろう。僕らは「光人」と呼んでいるけど。
この人たちは、食事をしなくても、光を浴びているだけで長生きする人達だ。

基本的に、体のつくりが違うみたいだから、あまり真似をしようとは思わないけど。

そんな光人でなくても太陽の光は気持ちいい。

僕は、通りに降りて、ギャロットの来る場所へと来た。
街の中は、ギャロットの大きいものから小さいものまで。
町中に張り巡らされた道路を、たくさん走っている。
ギャロットの走る道には指向性を持たせた力粒子が満たされていて。その周りを固めるように、内向きの力粒子も配置されている。
これは、ギャロットがどんなに間違って走っても、道路の外に飛び出さないようにするためだ。

そもそも、このギャロットを運転できるのは粒子の扱いに慣れた大人だけだから。
僕らは運転することができない。

目的の場所に行くには、ちょっと待ち時間があるので。
音楽を聞きながら待つことにした。

胸当てから直径2センチくらいのまるい玉を取り出し、それを二つに分けて耳に押し当てた。耳の穴に当たる部分は柔らかい素材でできていて、僕の耳をぴったりっと塞ぐ形になってくれる、
これが、街に満ちている「音楽粒子」を拾って、僕の耳に音楽を届けてくれるのだ。

音楽粒子は、中央の塔から出ている拡散する粒子で。
町中の、区切られていないところで有ればどこでも使用できる。
同じように街に満ちている「情報粒子」をバンダナでキャッチして。
今の僕に合う音楽を探してみる。
すぐにそれは見つかり、バンダナから僕の脳に、情報粒子を通じてその曲の情報が伝わってきた。
それは、昔のちょっとアップテンポな曲。

それが耳の端子から流れてくる。
音楽にしばし体をゆだねていると、僕の隣に人が座る気配がした。
ふと見ると、それはヤーフルだった。
緑っぽい目で僕を見て、ちょっと膨らんだ胸元から取りだし端子を、すぐに僕の端子にこすりつけた。

こうすると、僕の聞いている音楽情報がヤーフルの端子にもコピーされて、同じものを聞く事ができるようになる。

白っぽい長い髪を揺らして、端子を耳にはさみこむ。ヤーフルの端子は青色。僕の端子も青色だ。

ヤーフルは僕と同じものを楽しむ事ができるので、いつも何かするときは一緒にいる。
将来はペアになる事になるんだろうな。なんて思うけど。
僕らはある時期まではほとんど外見上に差が無くて、未だに分かりにくいけど。彼女は女の子だ。

ちょっとしばらく、二人でハミングなどして音楽を楽しんでいると、目的地に向かうギャロットがやってきた。
気がつくとカシェットも傍にいて僕らを見てニヤニヤ笑っている。
「なんだい?そんな顔をして。」
僕が言うと、
「お前たちは本当、仲いいよな。」
と言って笑う。
「そういうカシェットだってラムンロゥスとはよく一緒にいるじゃないか。」
「ぼくらは同じような思考と同じような感性を持っているから一緒にいるんだけど、君とヤーフルは、どう見ても性格の方向性が違うのに、なんで一緒にいるのかが僕には分からないね。」
「カシェットの分からない部分で、共通項が多いんだよ。」
「なるほど、それくらいの仲ってことかい?」
と言って冷やかし半分に言う。
「なんだい、カシェット。私達の仲のよさに妬いているのかい?」
ヤーフルはそう言って笑う。
「別に、同じルームメイト取られたって僕は妬いたりしないさ。」
それからヤーフルとカシェットはしばらく戯れあうように言い争って楽しんでいた。

しかし、僕はヤーフルとそこまで性格が違っているとは思っていないんだけど。ほかから見たらそういうふうに見えるのかな?

そんなことを考えながら、ギャロットには端子を外して、胸当てに戻し、乗り込む。






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2 コメント

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Unknown (cord-S)
2013-01-13 09:35:25
2年前を思い出します。
ありがとうございました。
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寝る間も惜しんで読んでました (tugumi)
2013-01-15 10:52:05
 
今回は冷静に楽しみながら読めるかなぁ
 
たぶん又泣きそうです。。。。w
返信する

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