Journal de Tsurezure

雑多な日常、呟き、小説もUPするかもしれません。

任せろと言われたので、告白はノックスさんに任せるそうです(不安と期待が半々ですとヒロイン)

2021-10-09 19:50:07 | ハガレン

 「なんだ、その顔は、いっとくが、患者の前では、そんな顔、見せんなよ」
 
 分かってますと答える声にノックスはコーヒーを入れると、元気出せとカップをテーブルに置いた。
 
 「その様子じゃ、進展なしってところだな」
 「わかります、どう転んでも告白して玉砕、振られるの構図しか浮かばないんです、下手したら助手としても居づらくなるし」
 「自分は年寄りだからとか、これから若くていい男が現れるとか、そんな言い訳するんだろう、思い切って潜り込んだらどうだ」
 「ベッドにですか」

 そんな図々しいことできませんという返事に、変なところで真面目なんだとノックスは感心したようにコーヒーを飲む彼女を見た。
 
 「言ってやろうか」
 「はい、なんですか」
 「俺からなら、あいつも断れないだろ」
 
 返事ができず、彼女はノックスをじっと見た。

 「それ、ちょっと、なんていうか卑怯ではないですか」

 「いいじゃねぇか、女ってのは元々卑怯な生き物なんだ、このままだとずっとバツイチで過ごすことになるぞ、確定だな」
 
 想像したのか、一瞬にして彼女の表情が暗くなった、だが、ほんの少しの沈黙の後、彼女は小声で呟いた、お願いしてもいいですかと。

 「おう、任せろ、大船にのったつもりでいろ」
 
 自分のことなのに他人任せにしていいのだろうかと思いながら、告白しようとしてもできなかったとを思うと、ここは任せよう、○投げしようと彼女が思ったのも無理はない。

 
 翌日のこと昼になったばかりの頃、友人が尋ねてきた、痛み止めをくれないかというマルコーの言葉に、なんだ、腹でも下したのかと聞くと自分じゃないとマルコーは首を振って彼女だと呟いた。
 ほんの一瞬、ノックスは考え込むような表情になった後、思い当たる節があるのか、生理痛かと尋ねた。
 
 「今朝から顔色も良くなくてね、寝ているよ」
 
 ノックスは友人の抱えていた袋を不思議そうに見た。

 「こ、これはだ、その必需品というか」

 どこか気まずそうな表情にノックスは、何を照れてるんだと聞くと、いや、別にという返事が返ってくる。

 「わからなけりゃ、女の店員に聞け、ちゃんと買えたのか、色々と種類があるだろう」
 
 頷きながら、専用の下着もあるんだなと呟いたマルコーにノックスは、にやにやとした顔つきになると、買ったのかと尋ねた。

 「い、色々と勧められて」
 「ほう、錬金術師のドクター・マルコーが買う女の下着、どんなのか、見てみたいもんだな」
 
 テーブルの上に置いた袋にノックスは手を伸ばすと中を覗きこんだ。


 「派手だな、こういうのが好みか、いい趣味してるじゃねぇか」

 友人の言葉にマルコーは眉間に皺を寄せ、顔をしかめながらも顔を赤らめた、だが、俺は褒めてるんだぞとノックスは訂正するようにマルコーを見た。
 

 「生理中ってのは、気分の浮き沈みが激しいんだよ、だから身につけるものが派手だったり、可愛いと、それだけでも気分がよくなるんだよ、女っていう
生き物は」
 
 友人の言葉にマルコーは迷ったが、もしかしたら必要になるかもと思い、店員に勧められるままに購入したのだと、視線を逸らしながら答えた。

 「湯たんぽも用意しとけよ、ネェちゃん、冷え性だからな、それから痛み止めか、待ってろ」

 口は悪いが、持つべきものは友達だと改めて実感した、ところが帰ろうとしたとき引き止められた。

 「ちょっといいか」

 真面目な話だ、すぐにすむという友人の顔を見てマルコーは、不可解な顔になったのはいうまでもない。

 「今話したら卑怯だなんて思うかもしれねぇが、先延ばしにしたところでどうしようもねぇからな、こういうのはストレートに言ったほうがな」
 「な、なんだね」

 卑怯、先延ばし、普段聞く事のないワードに何を言われるのかと不安になったのはいうまでもない。
 ネェちゃんの事だがなと友人の言葉に、何を言われるのかと思ったが。

 「あー、やっぱり、うん、今度にするわ」

 とノックスは早く帰れ、ネェちゃんが待ってるぞとマルコーを追い返した。

 


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