こんにちは
12月1日にイル・ヴォーロの初来日記念コンサートに行ってきました。
遅まきながらのレポートなのですけど。
ネットの友人から「コンサートどうでしたか?」というメールを頂き、レポートがブログに載る
ものと思っていらしたようで、ずっと心待ちにして下さっていたことを知りました。
すっかり嬉しくなり、今からでも遅くない。張り切ってレポート、します。
イル・ヴォーロというのは、カンツォーネなどをよく歌っている、イタリアの男性歌手のトリオ。
三人ともまだ20代前半という若さです。
2015年イタリアのサン・レモ音楽祭で優勝、全米のビルボードでクラシカルとラテン・ポップ
の2部門で1位を取っている若手実力派。
日本ではフィギュアースケートの羽生結弦選手が彼らの歌う「ノッテ・ステラータ」(スワン)を
エキシビジョンで踊って以来、誰が歌っているんだろうと話題になり、名前が知られるように。
コンサートでも、「ノッテ・ステラータ」で知ったというかたが近くの席に二人もいらっしゃい
ました。実はこのわたしもそうなのです。笑
東京、神奈川とコンサートがニ回開かれたうちの神奈川、川崎市スポーツ・文化総合センターの
ほうに行きました。
なにしろ初上陸ですから、どんなコンサートになるのか聴衆にどんな風に受け入れられるのか。
まったく想像がつかず、それを目撃できるのが楽しみで。
ところが、川崎駅からタクシーで会場までたまたま相乗りすることになった女性が、東京のオー
チャードホールのほうにもいらしたそうで、その盛況ぶりを話して下さいました。
「イルボロがイルボロが」と仰るので、いい呼び方が生まれたものだと感心。
確かにイル・ヴォーロって、わたしも呼びにくい名前だと思っていました。
VOLOは飛ぶとか飛行という意味だそうで、世界に羽ばたけ、という意味で名付けられたそうです。
というわけでタクシーの中で、もうすでにコンサートの盛況どころか「グランデ・アモーレ」
(サン・レモの優勝曲)は最後のアンコールで歌うということまで分かりました。
ところが実際にコンサートが始まってみますと会場はそれ以上で、まるで二次会の雰囲気。
初めてお目にかかりますではなくて、客席とイルボロはすでにすっかり親しい間柄といった感じ。
あなたたち、いつ、どこで知り合ったの?と訊きたくなるような。
イルボロについてかなりの予備知識を持っているようでした。
年配のかたを中心に会社員、大学生高校生のような若い人たちも多くて。
客席の空気は明るくて爽やか。
年齢男女を問わずみんな一緒になってとにかく音楽を楽しんでいる。珍しい光景です。
プログラムは、クラシック歌手のコンサートかと思うような曲目が並んでいるのですけど(後で
曲目を書きますね)、会場はライブ感覚で途中で手拍子をしたり、もちろんスタオベで立つ人も。
中にはイタリアの国旗を広げている人や国連の国旗を掲げる人もいて。面白いお客さんたち。
トゥーランドットもトスカも椿姫も良く知ってる、わたしたちの音楽よ、といった親しさです。
どうやらフィギュアースケートのファンがたくさん来ているようでした。
確かに、フィギュアースケートでは、このプログラムに載っているようなクラシカルな曲目が
いつも使われていますので。ファンはメロディーさえ知っているのです。
2020人くらい入るというホールは、見上げますと三階までぎっしりと入っていました。
コンサートのイントロのオーケストラ演奏が始まり、三人がリラックスした様子でステージに
登場しますと、わあっと歓声があがました。
わたしもYouTubeで見ていましたので、初めてという感じがしません。
彼らは、「まあ、いいからいいから、皆さんくつろいで」といった様子でステージの前面に立ち、
客席をフレンドリーに見まわしてウロウロ行ったり来たり。
それからおもむろに三人が縦に整列し上を見上げて「我々は、敬愛する偉大なる三大テノール、
パヴァロッティ、ホセ・カレーラス、ドミンゴに我々の今宵のコンサートを捧げます」と宣誓。
何故か会場は大爆笑。(女性の同時通訳の声だけが上のほうから聞こえてきます)
大爆笑を受けて、彼らはちょっと照れくさそうな、そんな様子のうちに「トゥーランドット」より
「誰も寝てはならぬ」のオーケストラ演奏が始まり、あの伸びやかな歌声で歌い始めました。
わたしはここでかなりがっかり。
スタンドマイクの音響が響き過ぎて声が割れているように聞こえます。ボリュームも大きすぎる。
これでは、バンドをバックにしてガンガン歌うポップス系の歌手のライブの音響みたいです。
お隣の席のいかにもクラシックファンといった感じの老婦人も、落胆していらっしゃいました。
イル・ヴォーロにもお気の毒でした。せっかくのいい歌声がほんとうに惜しい。
(主催者には申し訳ないのですけど、観た人は感想は正直に書いておかないと全体が進歩して
いかないと思いますので。次回以降のこともありますし。)
三人のMCはコントみたいで、会場は始終笑いが絶えません。一曲歌い終わる度にコントです。
客席の一列目二列目の人たちがぞろぞろとやってきて、フィギュアースケートのリンクに投げ込
むような細い花束をステージの下から三人それぞれに何度も手渡していました。
いつも同じ人たちが渡していましたので、各自で花束をたくさん用意していたのか、コンサート
の演出で頼まれたのか?とにかくフィギュアースケートの会場の光景みたいでした。
イルボロは、茶目っ気たぷりの人たちで、それは演出ではなく地のままのようです。
カタコトの日本語も飛び出しますし、「はい」というのが言い易くて好きみたいで、意味なく
「はい」という合いの手を入れるので、ナンセンス「はい」で会場は爆笑。
結構、お客さんたちに拍手や笑いでイジられていましたけど、ご本人たちもノリノリの反応で。
「初めて日本に来ていろいろいい経験をしました。ヨーロッパのスシではなく初めて日本のスシ
を食べました。すご~い」。浅草などに行ったようです。
「カワサキのオートバイは速い」などとカタコトで言っていました。何なんでしょうね?(笑)
途中、休憩時間は無く、通しで2時間半のコンサートでした。
全23曲でしたけど、そのうち2曲はオーケストラ演奏のみ。また、三人の組み合わせを変えて、
二人が歌っている間は一人が休んだり、一人だけで歌って二人が休んだり、何度か組み合わせを
変えていました。(たぶん交代で喉を休めていたのでしょう)
イル・ヴォーロの歌については、このブログで音楽動画を何度かアップしましたので、ここでは
省略いたします。
↓下は、チケットを切るときに頂いたチラシとプログラム。
↑左から、ジャンルカ(22歳 イタリア アブルッツオ出身)、イニャツィオ(23歳
イタリア ボローニャ出身)、ピエロ(24歳 イタリア シチリア出身)。
ジャンルカは大人しい、真ん中のイニャツィオがリーダー的、ピエロは真面目、そんな印象でした。
最後にプログラムの曲目を載せておきます。
Program
1. プッチーニ 歌劇「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」
2. ララ 「グラナダ」
3.レオンカヴァッロ 「朝の歌」
4.ドニゼッティ 歌劇「愛の妙薬」より「人知れぬ涙」
5.ロッシーニ 「音楽の夜会」より「踊り」
6.プッチーニ 歌劇「トスカ」より「星は光りぬ」
7.クルティス 「帰れソレントへ」
8.ビゼー 歌劇「カルメン」より第一幕前奏曲 (オーケストラ演奏のみ)
9.カルディッロ 「カタリ・カタリ」
10. サン=サーンス 「星降る夜」(スワン)=「ノッテ・ステラータ」
11. ムスマッラ 「アヴェ・マリア」、哀れみの聖母
12. タンニバーレ 「太陽の土地」
13. バーン・スタイン 「ウェストサイド物語」より「マリア」
14. ルヴォー 「マイ・ウェイ」
15. バーン・スタイン 「ウェストサイド物語」より「トゥナイト」
16. カンニオ 「恋する兵士」
17.マスカーニ 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
(オーケストラ演奏のみ)
18. ダッラ 「カルーソー」
19. コルテス 「シエリト・リンド」
20. ロドリーゴ 「アランフェス」
21. ソロザバル 「ありえない」
22. カプッロ 「オー・ソレ・ミオ」
23. ヴェルディ 歌劇「椿姫」より「乾杯の歌」
アンコール曲は彼らの代表曲「グランデ・アモーレ」でした。
「僕たちはイタリアの歌の凄いエネルギーを皆さんに送りたい」といった意味のイル・ヴォーロ
の言葉が何処かのサイトに載っていました。
このグループはまさにその一言に尽きる、と思いました。
来年も来日するそうです。
下は、川崎会場のコンサートのフィナーレの動画です。どうか削除されませんように。