マメゾウムシはきょうも

虫目、キノコ目、貝殻目・・・。
小さいものを、じーっと見るのが好き。

4月はタケノコ掘りの月

2008-04-20 22:37:58 | おいしいもの

 毎年4月はそわそわ心騒ぐ月。なぜなら、タケノコを掘る月だから。

 父の竹林へ、家族総出のイベントだったそのタケノコ掘りも、今年で終わり。82歳になり、もうここの管理は重荷になってきたよう。埋めて宅地として売る予定だとか。 タケノコが大好きで、もちろん自分の竹林で毎年掘り出すのを楽しみにしていた父にとって、かなりの決断だったにちがいない。いろんなことが変わっていきます・・・。

  それで、今年は最後のタケノコ掘り。朝9時に竹林集合。出てる、出てる!雨がたくさん降った後だからまさに「雨後の筍」ってやつ。掘り出すのは特別の道具を使いこなせる父だけにできることなので、他の者は地面に目をこらして、タケノコをさがします。厚く積もった竹の枯葉がちょっと持ち上がっているのが目印。もうすでにすっかり頭を突き出しているものも。 

  

 

 あっちこっちで、「ここにあるー」「大きいよー」などという声があがり、父が掘り出し、かごに入れて車まで運び上げる、というのが一連の流れ。 タケノコの根の方向を道具の先っぽでさぐりながら、ここと見定めたポイントに、グサッ、グサッ、っと。

 メリッ、っという独特の音とともにタケノコがもっこり掘りあがってくる瞬間がなんともいえません。

 私たちもやってみるものの、タケノコはそう簡単には掘れないようで。

  私はタケノコ以外の竹林のいろんなものを観察。オレンジ色のスライムみたいな粘菌と、キノコを見つけた。  

 

  この日は100本くらいありそうでしたが、そんなに掘っても困っちゃうので、40本くらいでストップ。その後、葉山の妹の家の庭で、友人知人に送る準備と、残りは皮むき。むいたばかりのしっとりとしたタケノコの皮、いいにおーい!

 タケノコは、まず掘ってから2時間以内、そして当日、翌日・・・と味が変わってく。時間との勝負でもあるので、むいたそばから大なべに放り込んで、ガシガシ煮る。新しいのでヌカとか鷹の爪なんかも入れない。穂先はほかほかの焼きタケノコに。

 近くのプレドールで焼きたてのパンを買ってきて、やっとお昼ご飯になった。その後はまた皮むき。すべてが終わったのは午後3時。サンルイ島のアイスクリームとケーキでお茶にしよう!こうして我が家のお祭り、最後のタケノコ掘りが終わりました。

長い間楽しませてくれた竹林と父に、ありがとう! 


宝本 ダレルの『虫とけものと家族たち』

2008-04-17 15:11:35 | 

 新聞の書評欄をみて本を買うことはあまりないのだが、なんだか「ギリシャもの」を久しぶりに読みたくなって池澤夏樹の『星に降る雪/修道院』をアマゾンで注文。

 届くまでにそもそも私がギリシャに興味をもった源、ダレルの『虫とけものと家族たち』を引っ張り出して読み返してみよう。  

 小さい時から「読むもの」がないとダメ。食べるように読んできた本のなかで、でも特に宝物のように大事な本、というのはそんなにはない。この『虫とけものと家族たち』はそんな中でも別格。無くすと哀しいので、4冊もっていた。すでに絶版になって久しいので、古本屋のネットなどでみると買っておく(今Amazoに出ているのは4000円以上。たっかー!)。うち一冊は、かつてヨットで旅をするので、その間に読みたい本が欲しい、といった知人に上げたのだが、彼はその旅で遭難して死にそうになり、すべての荷物を失った。『虫とけものと家族たち』も読まれる前に海に沈んでしまったらしい。  

 ギリシャ。行ったことがないけれど、一度行ってみたいような、行かないで想像の中だけで思い描いてずっとあこがれ続けたいような。池澤夏樹さんは、この本を訳してギリシャに憑かれ、コルフという小島に数年住んだという。だから私があこがれるのは、遺跡がたくさんあるアクロポリス的な場所ではなくて、小さな島々のほう。そこの豊かな自然と、ギリシャ的な人々。『その男ゾルバ』みたいな音楽と踊りと、取り付くしまもないような白い乾いた風景が生み出すもの、などなど。

 『虫とけものと家族たち』の著者はジェラルド・ダレル。あの『アレキサンドリア四重奏」で著名な作家ロアルド・ダレルの弟だ。池澤さんの心躍るような解説を引用しつつこの本を紹介すると・・・

 これは30年代に、ギリシャの小さな島へ移住したある一家の物語。語り手はその頃10歳だったダレル少年。ダレルは大人になってから、ジャージー島に小さな動物園をつくったほどの生き物好き。

 父親はいないけれど、おっとりした(いつもダレルをかばってくれる)母親と風変わりな兄ふたりと姉ひとり。そして頑固でお人よしでのんきな、典型的なギリシャ人、そして博学なすばらしい隣人セオドア博士との、めくるめく幸せの日々。

 ダレル少年はとにかく生き物と見れば、自分のベッドに連れてこないではいられない。ケムシやコガネムシはまだしも、サソリ、カササギ、水ヘビ、カモメなど、次々と家へ持ち込んで家族の顰蹙を買う。バルコニーでリクガメの剥製作りなんかもやっちゃう。

 ギリシャが海も陸地もすばらしい自然に囲まれているとは、この本を読んではじめて知った。これを読んでいると・・・幸福感に感染する。


あったー!!!

2008-04-14 20:17:49 | きのこ

  冬の間、ずっときのこの本を読んだり、図鑑をながめたりして、この日を心待ちにしておりました。そしてさっき、あったー!!!

 うちのそばの中学校の塀沿いの緑地帯で、ついにアミガサタケ発見。

 きのう、きのこ採り先輩のSさんから、「出てるよー」とくわしい場所を教えてもらって、雨あがりの春の光に輝くアミガサタケを、ついに見つけたのです。きのこを見つけよう、として見つけた初体験。なにごとも初体験というのは感激なものですが、興奮して何枚も写真を撮ってしまった。

 民家の近くに、こんなキノコが生えるなんて。しかも12,3センチもある!野生のきのこってこんな風に生えるんだ、っていうのは見てみないとわからないもんだと思った。 

 さっそく図鑑で、「アミガサタケ」を調べてみたら、これはチャワンタケ類のキノコで、アミガサタケ科アミガサタケ属、肉に触れると橙褐色に変化する、と書いてあるではありませんか。触ってみればよかった・・・。

 傘のぼこぼこの中には、大型の胞子が入っているとも。春に腐植の多い地に発生、特にサクラの樹下のツツジの植え込みに多く見られる、とありました。そういえば、そばにソメイヨシノの樹がありました。

 あ、パスタソースやシチュウに、和風の煮物にもいい、と書いてありますが、道端で採って食べるのは怖い。そういえば、前にパリの八百屋さんで見かけて、2本(高かったので)買って、おばさんに料理の仕方を教えてもらったのだが、フランス語が充分わからず、とりあえずアパートのキッチンでソテーして食べたことがあったっけ。あとで本を読んだら、よくごみを洗い流して食べる、と書いてあって、げっ、洗わなかった・・・・。味は、ごむごむしていて、珍味とはこのようなものか、と思ったのでした。

 これを機に、「きのこ目育成」に励みます。


ギンギラ・トートで輝けるか?

2008-04-13 21:19:25 | お買いもの

 「チーズ切れ」してしまって、伊勢丹へ。エディアールのパン屋さんの奥にあるチーズ売り場がこのところお気に入りです。 3月までパリのチーズショップ「マリー・アンヌ・カンタン」のチーズを扱っていたのに、4月から変わってしまったのがちょっと残念。

 カンタンが熟成したチーズの味といったら、その一口目のインプレッシブルなこと!もうパリへ行かないとあれが食べられないなんて、ほんとに残念。

 カンタンに代わって今はエルベ・モンス。フランスが誇る名チーズ熟成士だそう。伊勢丹のショップがいいのは、すべて試食させてもらえること。私がいちばん好きなのはウォッシュタイプとシェーブルで、香りも味も強いもの、くっさーっい!のが好き。いろいろ試食して、きょう買ったのは、初めて食べるリヴァロ・グランモデルっていう弾力のある食感のウォッシュと、いつも買うこれもウォッシュのラングル。

 ほんとは一刻も早くうちに帰って食べたいところだけれど、せっかく新宿まで来たので他の売り場もぶらぶら。この冬ずっとアンテプリマのバッグを愛用していたのだが、そろそろ季節が変わって何か新しいものが欲しくなってきた。年のせいか、とみに印象がくすみ勝ちなこのごろ。バッグだけでもキラキラしていてほしい、持ち物でなんとか輝きたい(汗)、と、光る素材のもを探していました。

 でも、なかなか好きになれるものがなくて。形はやっぱり使い勝手のいいトートがいいな・・・と、思いながら歩いていたら、見つけたのです、アニアのギンギラのトートを。

 光ってます!外ポケットもたくさんあって使いやすそう。バッグが自分の持ち物として愛せるかどうか、はとても大きなことだと思う。なので、考えに考えて・・・

買いましたぁ!

 これで気の進まない仕事にも、出かける気持ちになれるかも。


虫好きの親をもつと

2008-04-12 23:44:16 | 

ち ょっと早いけど、と娘からもらった母の日のプレゼント。虫模様の大判のクロスと同じ柄のお皿。パリのSTUDIO JOBのもの。

 ヨーロッパの虫や貝、植物モチーフモノは、細部が正確に描かれているのが特徴で、色もとてもシック。ここに描かれているのは26種類の、どちらかというと嫌われモノたちですが、『嫌われ者ほど 美しい』っていう虫の本がありましたっけ。

 さて、これに何を載せたら似合うかしら?

 私が虫を採ったり、観察したり、卵を孵して飼育したりするのが好きなので、プレゼントも必然的にこうなります。 虫モチーフのものはなかなかないし、あっても必ずしも好みに合うとか限らないので娘も探すのが大変だろうなあ。

 いつも心にかけてくれて、ありがとう!


つかのまの、お遍路気分

2008-04-11 01:16:01 | 

 高知へ行ってきました。

 仕事が夜8時からだったので、私だけ早く着いて観光、翌日はたっぷり観光して最終便で帰る、といういつもの自分勝手なスケジュール。

 四国は初めて。お遍路さんの世界をちょっとのぞいてみたい、と4つか5つお寺を回る計画だったのですが、着いた日は風と雨でお天気荒れ模様。夜の仕事までにあまりへとへとになっちゃってもまずいので、空港と町と駅でおみやげウォッチングをすることに予定変更。  

 高知県は人口密度が低いそうで、町を見渡すとなるほど、混んでいない。高い建物もほとんどないので、空が広々。道路沿いの中古車センターのとなりがいきなり水田だったり。

 そのなかを、路面電車がゴトゴト走ってる。そして、いますいます、遍路姿の人が、町のあちこちに。 

 しかし、水田がある風景って美しい。水が空を映して、地上のあちこちにパッチワークになっている。

 高知竜馬空港でアイスクリンを見つけたので、さっそく碁石茶と実生柚子フレーバーを食べてみることに。アイスクリームは私の「いやしグッズ」の定番。食べると気持ちが落ち着きます。そして世界中で日本ほど、いろいろな美味しいアイスクリームを食べられる場所は他にないのではと思う。だからご当地ものを見たら食べないではいられない。

 

 碁石茶っていうのは固形の香ばしいお茶で、その香りが乳製品とすごく合う。そして柚子。高知特産の実生の柚子の果汁が入っているというので期待。ああ、昔、冬の夜の鍋焼きうどんに母が乗っけてくれた一片の柚子の香を思い出した。昨今の柚子はほんとに許せないくらい香りが薄いです。甘さはあっさり、香りふくよか、で大満足のアイスクリン2種でした。

 悪天候のためにたっぷりできてしまった時間を、おみやげものの試食に費やした結果、私が買ったのは・・・・

 こしあんを求肥で包んで寒梅粉をまぶした「土佐日記」

四万十川の青海苔と柚子の香りいっぱいの「薄焼きせんべい」

皮をむいた小豆のじょうよ饅頭「白栴檀饅頭」

百合根ようかん

川エビの味が焼きこまれた「四万十川の川エビせんべい」

香りの濃い四万十川の青海苔

くじらジャーキー

10センチくらいの棒状の生節に味をつけた「姫かつお」

小麦粉と砂糖の素朴な美味しさで後を引かれる「ケンピ」

 目玉おやじの四国お遍路バージョン

 同上    土佐犬バージョン

 土佐文旦(これはホテルで食べた)

でした。

 中でもピカ一だったのが「白花栴檀饅頭」。他のアンコものがかなり甘さ強めなのに比べて、皮むきの小豆のなめらかさと、ぴったり決まった甘さ度が、さすが「皇太子お買い上げ饅頭」なのでした。

(あんこの色が美しい白花栴檀饅頭)

 仕事が終わった夜9時半。スタッフのみなさんとカツオのたたきが美味しい店へ。麦藁灰で焼いたカツオのたたきとウツボのから揚げをご馳走になりました。どちらもとびきり美味しい南国土佐の味。  

 

 さて、翌日はいい天気。

 ですが・・・・・・朝からお腹の調子がすごーく悪い・・・・・。別に食べたものが悪かったわけではなく、一昨日、きのうと生ものを食べ過ぎたせいだと思う。

 仕事の旅が多いので、大体の症状に対応できる薬を常備している。今までほとんど使ったことのない下痢止めの出番。チェックアウトぎりぎりまで、千年灸をしたり、痛み止めの薬を飲んだりして、なんとか出かけることにしましたが、この調子では予定していたコースはとても無理。『旅に病んで、夢は枯野を駆け巡る』という芭蕉の句が身に染みて。旅の便秘も悩ましいですが、下痢よりはマシです!!! いちばん近い四国巡礼31番札所の竹林寺と、その隣の牧野植物園だけにしようと、予定を大幅に簡略した。 

 四国という土地、そしてお遍路という民衆の祈りの旅をつなぐのが札所。その中の31番竹林寺は、高知市街を見下ろす五台山の上にある724年に建立された名刹。文殊菩薩という知恵の神さまを奉っている。 

 変化に富んだ地形をもつ緑濃い広大な敷地には、本殿をはじめとして、はるばる歩いて来たお遍路さんを満足させるような、お祈りポイントがたくさん。

石仏やお地蔵さんの顔もどこか上品。 

 ひとつひとつをふらつく足取りで回っていると、にわかに境内がにぎやかに。集団お遍路さんが到着したもよう。 

 五重塔の裏側に「一言地蔵」という、とてもいい雰囲気のお地蔵さんがあり、

そこで手を合わせているおじいさんがいました。「ああ、一言地蔵か・・・」とお祈りを終えたおじいさんはため息とともにつぶやきました。そして私に「ここは亡くなったおばあさんが、必ず願いをかなえてくれると、信仰していたお地蔵さんなので、一度来たいと思っていたんです。やっと来れてよかった」といい、しみじみした様子で、木漏れ陽のなか、坂を下りていきました。

 その後姿を見ていたら・・・・私もお地蔵さんお願いしてみたくなってきた。このお地蔵さんは、たったひとつしか願いをかなえてくれないらしいのですが、それがかえって効きそうな感じがします。接待所で買ったコケシの背中に、口には出せないけれど、今いちばん願っていることを書いて供えました。

  

 こんどは有料のお庭と宝物殿を見ることに。庭園は無窓疎石が造園した名庭で、江戸時代初期の池泉鑑賞式。枯滝や苔、石など、さすが県内三名園のひとつの美しさ。 

 そして宝物殿。見物人は私ひとり。400円払うと自動扉が開くようになっていて、しかし一歩入ると、いきなり17体の国宝の像とご対面という構造なのです。

(内部では撮影禁止なので、扉の外から撮りました・・・ダメ?)

 国宝ですから、温度湿度管理がされていて、窓もない密封空間。後ろで自動扉がピッタリ閉まった瞬間・・・・あ、だめー!!!しばらくなかった閉所恐怖症のパニックがいきなり襲ってきた。急いで自動扉を開け、仕方がないので扉を開けたまま、なんとか観ることができたのでした。でもこのぴったりと閉じた厚い自動扉

もし故障したら、外界とどうやって連絡がとれるのか・・・考えるだに恐ろしい。

  隣の牧野植物園は土佐出身の牧野富太郎博士を記念した広大な植物園。温室では「トビカズラ」と「ヒスイカズラ」という、珍しい豆科の植物がちょうど開花していました。青系の花がきれい。

   

 山あり谷ありの見ごたえのある植物園。でも、ああ、足元ふらふら。朝から水しか飲んでいない。でも他のものはとうていはいりそうもない腹具合。ここで虫さがしもしたかったのですが、その余裕はありませんでした。  

 帰りのバスを待つ間、あっ、土佐名物「アイスクリン」だ!

でもこの腹具合で冷たいものと言うのは・・・・と思ったけれど、せっかくだからひと舐めだけでもしてみたい、という欲望に打ち勝てず。

 しゃりしゃりと、さっぱりとしていて、なるほど昔のアイスクリンの味がする。酸味のないカルピスみたいな独特の風味もします。ひと舐めがふた舐めに・・・でもさすがに全部は食べませんでした。 

 空港に着くと、羽田が雨風で、欠航続出。この体調で足止めはいやだあ!と思ったけれど、なんとか1時間半遅れで離陸。 

 お天気もお腹も荒れ模様、の高知でしたが、でもやっぱり旅はいい。どんな旅でも。次の取材は盛岡。この仕事、つづくといいな ー。


桜のなかで逝く

2008-04-01 15:27:31 | Weblog

朝5時。

鳴り響く電話。

覚悟はしていたものの、ついに主人の父の訃報。

前日にはのんきこの上なく広島見物をしていたのが嘘のよう。あわただしく病院に向う主人を送り出して、すぐ前日のインタビューのテープおこしにとりかかる。締め切りのことを考えると今しかやるときがない。 普段では考えられないスピードでテープをおこし、プリントアウトを持って実家へ向かう。 

実家への坂道を登る。

桜が満開。

なんて美しい季節に逝ったのだろう。

そういえば、義母も満開の金木犀のなかで逝ったのだった。

急坂の上の、家の前で、よく手を振り、見送ってくれた父。

長い間、力いっぱい介護してきた主人は、どんな気持ちなのか。

主人が希望して「楽」の字を入れてもらった戒名は『楽翁茂玄居士』。

もうすぐ92歳だった。