八十八夜

学生時代から大好きなマンガの2次小説です

Redoing Love10

2024-06-08 13:37:06 | Redoing Love

 

 

俺は、記憶の女を探している。

そのはずだ─────。

でも、気付けば、牧野ばかり目で追っていた。

 

あいつのサラサラの髪を、触りたいって思った。

やわらかそうな頬に、触れたいって思った

 

俺が探しているのは、記憶の女だ。

牧野じゃねー。

こう思い、記憶の女を探す為に、何度も他の女を見渡した。

 

でも、気付けば─────。

俺は、牧野のことばかり探していた。



こんなことを繰り返していたある日。

授業も終わり、校門まで歩いて行くと─────。

校門付近が、英徳の生徒で埋め尽くされていた。

 

なんだよ、事故か?

こんなことを思いながら、近づいて行くと─────。

 

俺の視界に飛び込んできたのは、牧野と男。

しかも、その男は─────。

俺によく似ている男だった。

 

英徳の奴らが、俺に似ているとかで騒いでいたが…。

俺の耳に、その騒音は届かなかった。

 

ドクンっ。 

変な胸騒ぎがしてきた。

 

ドクン、ドクンっ。

嫌な予感しかしねー。

 

牧野と男が歩き出した後を─────。

あきら、総二郎、類、三条の4人が後をつけだした。

当然のように、俺もこいつらと同じように、牧野と男の後をつけだした。

 

俺が幼なじみの3人と三条に合流すると、

「道明寺さんっ、もっと小さくなってくださいっ!」 

っつー無茶なことを、三条が言い出した。

 

「俺の身長は、縮まねー。」 

こんな俺の反論も

 

「ホント無駄にデカ過ぎて、邪魔ですわ。人相も悪くて目立つんですから、帰られたらどうですか?」 

こんな辛辣なことを、三条は言ってきた。

 

理由はわかんねーが…。

事故後─────。

俺が学校に戻った頃くらいから、三条はかなり俺に辛辣だ。

 

無駄にデケーとか、邪魔とか、人相が悪いってなんだよ。

しかも、帰られたらどうですかって…。

こいつ、こんなことを言う奴だったか?

 

校門から歩くこと数分。

牧野と男の2人は、小さな公園に入った。

 

信じられねーが、俺たちは、生い茂っている木々に隠れた。 

これ、マジ通報もんだ。

不審者にしか見えねー。

 

俺たち5人は、牧野と男がよく見えるように移動した。 

 

木々の間から、男が見えた。

ドクンっ! 

ドクン、ドクンっ!!

 

俺は、この男を知っている。 

こいつは、俺の女を奪いに来た。 

 

!!!

なんでそんなこと思ったんだ?

こう思いながら─────。

この男が、俺の女を奪いに来たってことか?

っつーことを自問した。

 

牧野と男が話しだした。

「お前、メシ食っているのか?」

 

俺は、この男の声を記憶していた。

ムカつく声だ。

 

あの時もムカついたが、今?

あの時って、いつだ?

この男を見てから、俺の知らねー俺の記憶が溢れだす。

 

しかも、俺の女っつーのを話し出した。

俺に女なんていねー。

それなのに、こいつらは─────。

俺の女が、スタイルが良いだとか、顔が良いっつー話をしだした。

 

「道明寺の付き合っている人のことなんて、あたしは知らない。」

っつー牧野の声に、

 

もう一人の俺が、必死になって訴えてきた。

そんな奴、いねー。

そんな女、知らねー。

お前は、誰のことを言ってんだよっ!

 

しかも、この男が─────。

「女の本性に気付かねーで、スタイルと顔で女を選ぶのは、ヤリたい盛りのガキのすることだ。」

なんてことを言ってきた。

 

俺は、ヤッてねー。

そうだ。

俺は、スゲー大切にしていた女がいたんだ。

 

大切で、守りたくて、

振り向いてもらいたくて、

俺だけを見てもらいたかった。

 

何度も逃げられて、

永遠に手に入らねーって思っても、

諦めきれずに、追い求めていた女がいた。

 

この男は─────。

俺に似ているっつーので、寄越したんだ。

 

誰が、なんの為に寄越したんだ?

スゲー嫌な記憶が、どろって俺の頭の中から流れ出した。

 

それと同時に、

俺の頭が、割れるような痛みに襲われた。 

 

ズキズキと、頭に痛みが走る。

「泣けよ。俺の前でまで、我慢するな。」 

亜門の声がした。

 

亜門…。

そうだ、この男は国沢亜門。

俺に似ているっつー理由で、ババアが寄越したんだ。

 

さっきからの頭の痛みは、異常な程、ガンガンしだした。 

しかも、頭だけじゃなく、心臓まで痛くなりだした。

 

「今は泣かない、後で泣く。」

っつー牧野の声。

 

泣かないでくれ。

お前の泣き顔なんて見たくねー。

 

頭が割れるように痛い。

これ以上、耐えられねー。 

 

それなのに、牧野は話しだした。

「あのね、今からあたしが話すことに、何も言わずに聞いて欲しいの。

えっと…道明寺の代わりになってもらってもいい?」

 

止めてくれっ。

そいつは、俺の代わりになんてならねー!!

 

「ありがと、道明寺。道明寺と過ごした時は、かけがえのない時だった。バイバイ。」

今にも泣きだしそうな牧野の声に─────、

俺の心が、張り裂けそうになった。

 

牧野が俺に別れを告げたのを、

第三者として見ているような不思議な感覚。 

 

そして、牧野は亜門の胸に飛び込んだ。

 

「どうして、あたしのことだけ忘れてしまったの?」

 

亜門の胸で泣いているのは─────。 

牧野だ。

道明寺の全てを捨ててでも、手に入れたかった女。

 

全ての記憶が戻った時、

俺は猛烈な眩暈と頭痛で、意識を失ってしまっていた。






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更新が遅くなってしまい申し訳ございません。