過去ログ５２より

[10184] 032:乾電池 織田香寿子 2005年03月29日 (火) 17時32分
死ぬるごと時計の針は乾電池切れし時刻を赤裸々に指す

止まった時計がここまで迫力を持って迫ってくるとは・・・。

[10190] 032:乾電池 廣西昌也 2005年03月29日 (火) 17時52分
乾電池抜いた空虚に指を入れ一子とつながらないか待ってる

これは連作と考えなくても十分に一首で意味の通じるものに
仕上がっていると思います。

[10223] 025:泳 みあ 2005年03月29日 (火) 21時59分
永遠にたどりつけない徘徊の廊下を泳ぐ母のたましい

お母様はどこを泳いでいらっしゃるのでしょうね。
いつまでもお元気でいられることを祈っています。

[10228] 091:暖 浜田道子 2005年03月29日 (火) 22時24分
満開の桜しろじろ遠景にみえて陽射しの暖かな部屋

春の柔らかな風景が目に浮かびます。

[10237] 024:チョコレート 八香田 慧（ようかだ　けい） 2005年03月29日 (火) 23時08分
とりあえず大きいことはいいことだ板チョコレート囓って砕く

山本直純を思い浮かべることができるのは、何人くらい
いるのでしょうか？

[10273] 037:汗 斉藤そよ 2005年03月30日 (水) 01時09分
汗かきのつららが告げるここからは春ここからはとめどなく春

とめどなく春に春の力強さを感じます。

[10321] 006：時 嶋本ユーキ 2005年03月30日 (水) 16時06分
ネクタイを外す瞬間ほんとうの俺へ時間が動きはじめる

サラリーマンの苦悩がにじみ出ています。

[10332] 092:届 ハナ 2005年03月30日 (水) 16時37分
いいことがあったらいいね１枚の届けを出して自転車を漕ぐ

一枚の届けが意味ありげですね。
何だろう・・・・。
春の中をスイスイ行くような感じも爽やか。

[10358] 032:乾電池 仁村瑞紀 2005年03月30日 (水) 20時40分
二個パック乾電池の片割れは果てを探しに転がってった

乾電池の片割れがおもしろいですよね。
たしかにパックを開けると破った方側の乾電池が転がって
しまうことが多いものです。
果て・・・・見つかったんでしょうか。

「題詠マラソン２００５」 （０６６～０７０）

066:消
金色のひかり消残るおおうみへ抱く人のなき裸身を還す


067:スーツ
スーツから湯気を立てつつ帰りくる君いとしくてスーツごと抱く


068:四
しあわせのほんとの意味もしらないで四つ葉さがしたゆうぐれの土手


069:花束
止めろとも好きにしなとも言えぬなら愚かな嘘を花束で打て


070:曲
一枚の極彩色の夏に立つ君を愛した裸婦の曲線

過去ログ５１より

[10131] 027:液体 すずめ 2005年03月29日 (火) 11時23分
孤独酒と云う液体に浸りつつ日々渇きゆく妻母女

妻としても母としても女としても孤独なのでしょうね。
女性なら誰でも分かるちょっと切ない歌。

[10136] 027:液体 青野ことり 2005年03月29日 (火) 13時12分
液体を容れる器として在れり　ある朝明るい色に満たされ

液体を容れる器とはご自分のことなのでしょうか。
その日によって自分の色も変わる。
結句に希望のようなものを感じました。

[10140] 080:書 風花 2005年03月29日 (火) 14時40分
たつぷりと墨ふくませて書く「海」の筆の勢い紙をはみ出す

大らかでいいですね～。

[10179] 027:液体 織田香寿子 2005年03月29日 (火) 17時12分
わが部屋の形なきもの吸いあげつ除湿器満ちる液体五リットル

除湿機をうまく表していると思います。
除湿機に貯まるのは水だけですが、もっともっと目に見えない
他のものも浮かんでいるような含みを感じます。