プラマイゼロ±

 某美少女戦士の内部戦士を中心に、原作、アニメ、実写、ミュージカル等問わず好き勝手にやってる創作、日記ブログです。

TACTICS

2012-06-30 23:59:16 | キリバン・リクエスト





 かちん、と火花が散る。
 ジュピターはそれに微かに驚いたように目を見開き、マーズは特に臆する風でもなく更に一歩踏み込む。マーキュリーはゴーグル越しの目を無感動に細め、ヴィーナスは感心したようにその様を見つめる。
 パレス内に設けられた、トレーニングルームの一室。トレーニングといってもそこに仰々しいものは一切なく、ある程度自由に動き回れる広さを有しただけの多目的用の空室。
 その場に四守護神はいた。というより四隅で互いの顔が辛うじて判別できるかという広さにも拘らず、その場には四守護神しかいなかった。
 そのほぼ中央に対峙するマーズとジュピター。二人の手には剣がそれぞれに一振り。二人はそれを使い文字通り火花を散らしていた。
 一手一手、刀身同士が擦れるたびにかちかちと剣は軋む。
 その様子をヴィーナスは面白そうに見ており、マーキュリーはゴーグルにポケコン装備で二人の戦いを記録していた。
「二人ともサマにはなってるわね。一応」
「今見たところ確かにある程度は使えているようだけど・・・ぎこちないわね」
「あたしもそう思う。なんでかしら~」
「あの武器そのものが彼女たちに馴染まないんじゃないかしら」
「ほぅ。その意見はコンピュータ解析から?」
 ヴィーナスは目線をマーキュリーにやることなく尋ねた。だがマーキュリーの意見に興味をそそられているようである。それを察したマーキュリーは、しかし抑揚のない言葉で返した。
「コンピュータはまだデータが集まっていないから…私個人の意見だけど」
「コンピュータのデータが揃ってないなら、じゃあ尚更今のうちに聞いておくわ。あなたの言うマーズやジュピターに向いてる得物ってどういうこと?」
「・・・・・・さぁ」
「うっわ、適当な答え」
 ヴィーナスは鼻で笑うような言葉をマーキュリーに向けた。その露骨に人の神経を逆なでするような態度にマーキュリーの眉間の皺が寄る。こう言う手合いは無視するに限ると頭では思うのだが、このリーダーに関しては必ずしもそうあるべきではないという思考も存在する。
「・・・なら言うけど、彼女たちの特性を考えるとジュピターはもっと力で押すような形状の武器・・・リーチのことも考えると槍や鉈状のものが適しているんじゃないかしら。マーズは集中力を考えると弓・・・」
「ふむ、優等生な答えね。でもそんなはっきり答えられるのに、さっきはさぁ、って」
「あなたは優等生な答えなんて私に期待していないでしょう。これは誰にでも言える意見よ」
「む」
「でも、私の頭だけで考えたものをあなたに伝えるには、まだあの二人に対するデータが足りない」
「むむ」
 ヴィーナスとマーキュリーは軽口ともとれるような会話を交わしながらも目線は一切お互いになく、ただマーズとジュピターが振るう剣を注視していた。マーズとジュピターも勿論ギャラリーのざわめきなど気にも留めず、ただひたすらに相手に向き合っていた。
 片手で振られる剣は真っ直ぐ長く伸びている。諸刃ではあるが針のような形状で、刀身は頼りないとも思えるほど細く、『切る』ことはできても『切り落とす』強度は持っていないだろう。また、あまりの細さに相手が刀身を見失いやすいと言うのもその剣の特徴である、とマーキュリーは二人の闘いを見ながら考察を進める。
 力より技遣いに向いている武器、というのが今のところマーキュリーが思うその剣に対する感想であった。
 本来は地球にあるその武器。その特性を掴み、そして地球国がそれを製造するに至った過程とその使用法、そしてそれに伴う技術力を推定するのが四守護神に課せられた任務だった。誰かに使ってもらわなければいけない、ということでジュピターとマーズに白羽の矢が立ち、それを使って戦っているのを現在ヴィーナスとマーキュリーは観察している。
 ただ特性を観察するためのその戦いは演武に近い。実際、最初のころはジュピターはおっかなびっくりといった様子で慣れない剣を振るいダンスのようにステップを踏みながらマーズと剣を交わしたのだが、どうやらその態度がマーズの気に障ったらしく、やがて二人の切り結びは真剣みを帯びてきていた。
 マーズもまた慣れない得物をどこかぎこちなく、だが明確に殺意にも似た闘気を伴って、まるで敵に向き合うときと変わらない様子でひたすらジュピターに向かい切り付けていた。ジュピターはどこか気圧されたような表情で、それでも何とかマーズの刃を刀身で捌いている。
「くっ・・・」
「ちっ!」
 マーズが一歩踏み込み、下から袈裟切りにするように剣を振るう。ジュピターは何とか刀身を真横にしその流れを止めようとするが、マーズの剣は止まらずしなるように刀身同士を擦り合わせ、高い金属音を立てた。
 ジュピターに俄かに焦りの表情が見える。
 真っ向から力でぶつかっても細い刀身は柔らかい木の枝のように根元からしなり、流れてしまうのだ。弾かれた刀身と金属音に顔を顰めるジュピターに、マーズは剣を振るい切った半端な体勢で尚、獰猛な瞳でジュピターを見つめる。
「今の一撃はジュピター、普通の剣だったら受け止められたかしら」
「そうでしょうね。マーズの体勢が半端になったのも剣同士で力でぶつかるほどの強度は持っていないから・・・私たちが使うには弱すぎるし、ましてやあの二人の特性を考えたら」
「二人共に向いてない武器なのね」
「でも、剣を作る技術問題で結果的にああいう形状や特性になってしまったのではなく、意図的に刺突に特化した形状にしているというのは分かったわ。恐らく鎧の隙間の関節や目などを狙うための・・・刃もがむしゃらに斬り込むためのものでなく、確実に、且つ最小の動きで急所を狙う。力がなくても使える」
「戦うためじゃない、潰す…殺すための武器ってことね」
 マーズとジュピターには説明をしていないが、剣の強さそのものは機械を使えば簡単に調べることができる。だが、実際に使用して、使用するのを観察する方がはるかに理解が深まる。そして、地球の技術は確かに進んできていると実感していた。
 二人の戦いは少しずつ熱を持っていく。ヴィーナスとマーキュリーにとっては想定内のことであるので、特に止めるわけでもなく二人の観察を続ける。
「刺突・・・急所に一撃必殺ってことね。それならマーズに有利かしら?」
「それは分からないわ。ジュピターはリーチも長いし器用だから」
「でもジュピターは優しいからマーズ相手に本気で剣先向けるかしら?さっきから防戦一方なのは果たして本気で自分に向いていない武器だからかしら?さっきだってマーズが変な体勢になったときは最高の好機だったのにねぇ」
 ヴィーナスとマーキュリーは淡々と戦いを見届ける。二人の関心ごとは既に得物の特性からこの『戦い』に移っていた。
 マーズとジュピターがその手に持っているのは、月の技術で作った剣には素材も強度も性能も何もかも劣る。だが、応手を間違えなければその刃は既に月の守護神すら殺せるところにまで届いている。
 
 だからこそ、この剣がどこまでマーズとジュピターに肉薄するかは二人の戦い方によって決まる。


「はっ!」
 戦いの戦士の名を冠するマーズは、ヴィーナスとマーキュリーが頭脳で判断した武器の特性を肉体で感じ取っていた。
 自分は慣れない得物を握っている。それが『戦う』ためでなく、刺殺するための武器であることも。そして自分がそれを向けるべき相手はジュピターであるとも。
 だがそのことに戸惑いはなかった。体が凶器に馴染み、今までやみくもに振り回していた剣は今はジュピターを射るために真っ直ぐに伸びた。
 鼻先まで高速で伸びてきた剣先をジュピターは何とか体を翻すことでかわす。だがそれを予測したようにジュピターのかわした方面にマーズの剣は動く。剣先がジュピターの喉を掻き切ろうとした瞬間、ジュピターは慌てたようにマーズの剣を下から弾いた。
「マーズ!何怒ってるんだよ!」
 ジュピターは少し泣きそうな声で言いながらマーズの剣を何とか捌くが、マーズは返事をしなかった。武器を用いて戦えと言われたから戦っているのであって、個人的な恨みでこんなことをやっているわけではない。
 だが、敢えて怒っていると言うのなら、優しさなのか甘さなのか哀れみなのかは知らないが、本気で自分に向き合おうとしないジュピターが腹立たしいだけで。
 自分たちは戦っているというのに。
 今だって剣を捌くにしても、力でぶつかり合うのに向かない剣なのが分かっているのなら、柄で叩き落すなどの術が取れたはずだ。マーズの知っているジュピターはそれが分からないほど愚鈍な戦士ではないし、それが出来ないほど落ちぶれてはいないはずだ。
 ジュピターがまともに戦いに向き合わない理由は、自分が舐められているのだとマーズは結論付けて再び剣を振るう。矢を放つときのように精神を集中させ、ただ刺突に徹する。突きに特化した剣はそのために使うべきであり、向こうが攻撃を仕掛けてこないのならばこちらが攻撃するまで。
「うぉっ!」
 まさに矢の嵐と見紛う程のマーズの連続刺突、それもでたらめではなく一撃一撃が明確に急所を狙っているそれを、ジュピターはすべて剣で捌いた。体でかわす余裕がないのか、それともあえて防御に剣を使うことで攻撃に転じる意思がないのを見せているのか、ひたすらマーズの剣を横薙ぎに払っては、また体勢を立て直しマーズの突きを横薙ぎに払うということを繰り返している。


「・・・むぅ」
「ヴィーナス?」
「ジュピター、やる気あるのかしら?あれ、わざと?」
 ヴィーナスはその様子を傍から見、口をむにゃむにゃと捻じ曲げる。マーキュリーもその言葉に応じはするが、やはり目線は戦う二人に注がれていた。
「もっとマシな手ないのかしら?攻撃する気がないんならないで、横っ払い以外にやることあるでしょうに」
「・・・さぁ」
「さっきからあなたも何?さぁとか、知性の戦士らしくないわよ」
「私はジュピターじゃないからジュピターが何を考えているかなんて分からないわ」
 マーキュリーの言葉は実に簡潔に完結していた。そんなこと言われなくても分かってるわ、という言葉をヴィーナスはぐっと飲み込む。それでもマーキュリーの言葉で聞きたいから尋ねているのに、このブレーンは円滑な会話をしようという努力が見えない。
「・・・というと、あなたはジュピターはその場しのぎであんなことやってるんじゃなくて、何か考えた上での行動だとは思ってるってことね」
「・・・さぁ」
「すっとぼけても、あなたのことは、この愛の女神はお見通しなのよ~白状しなさいよ」
「・・・何も考えてないわけではないとは思うけど、何を考えているかは全く分からないわ」
「あなたでも?」
「言ってるでしょう。私はジュピターじゃないからジュピターの考えていることは分からない。ただ・・・」
「ただ?」
 そこでマーキュリーは口元に手をやる。ヴィーナスはそれが、マーキュリーが物を考えるときの特有の癖だと知っていた。
 マーキュリーは分からないと言っていたが、彼女のその仕草から、マーキュリーが考えることで何かに辿り着く可能性はあるらしいとヴィーナスは少しだけマーキュリーに目線をやる。マーキュリーはゴーグル越しの目を更に細めた。
「彼女が戦うのを嫌がっているのは分かる。でもそのわりには戦いを終わらそうとしていない」
「む?」
「マーズもそれに違和感を覚えているみたいだから、刺突を繰り返しながら様子を窺っているわ。ジュピター・・・何かを狙っていて、機を待っているのかもしれない」
「何を?」
「・・・・・・さぁ」
「そこ一番大事でしょう!」
 ヴィーナスはマーキュリーに激しく突っ込みを入れた。答えはこれから見れば分かることで、見なければ分からないことだが、どうしてもマーキュリーの言葉で聞きたかった。マーキュリーはそんなヴィーナスに流され、諦めるようにこの先の展開の予想を呟いた。
「・・・さっき言ったけど、ジュピターは戦いを望んでいない。でも戦いを終わらせようとする様子もない。それはマーズを傷つけたくないからで、かと言って自分も怪我したくないわけだし、これは任務だから勝手に放り出すことも出来ない。剣で戦うからには電撃はもちろんフラワーハリケーンのような目くらましも使えないし」
「うん」
「だからきっと何かを狙ってる・・・それは何か」
「うんうん。何?」
「・・・ごめんなさい。やっぱり分からないわ」
「はいっ!?」
 だがあまりにきっぱり放たれる言葉にヴィーナスは声を出して大仰に驚いた。知性の戦士としての発言とは思えない。さんざんもったいぶっておいて、それでも結局は何か考えがあると思っていたのに。
「分からないって・・・何?」
 思わず聞き返すヴィーナスに対しマーキュリーは特に悪びれる様子はなく、ただ淡々と目の前に戦いに視線を戻す。
「私はジュピターのことそれほど知らないから」
「んなこたぁないでしょ」
「身体的データや性格や嗜好、癖はある程度知っているし、『力』はあるのに私たちの中で身内に一番甘いのも知っているわ。だけどそれは私でなくとも手に入るジュピターの一要素に過ぎない。逆に、こんなときでさえ甘いからこそ何を考えているのか一番読めないのよ。マーズや、そしてあなた以上にね」
「・・・・・・・ふーん」
「自信のないことは言いたくないわ」
「ヘタレ」
「・・・・・・・・・・・・」
 露骨な暴言に今度はマーキュリーがヴィーナスを見つめる。ゴーグル越しの目線に気付いたヴィーナスは、特に気にする様子もなくにやりと笑んで目線をマーキュリーから外す。
「ま、あたしはヘタレなあなたが好きだけどねっ。ヘタレじゃなきゃマーキュリーじゃないしね~」
「茶化さないで」
 マーキュリーはヴィーナスの言葉をぴしゃりと伏せる。そしてぱちんと音を立てポケコンを閉じ、ゴーグルをゆったりと外した。もう機械ごしのデータは必要ないと感じたのだろうか。
「ただ、マーズは今様子見をしながら戦っている。マーズとあの場で戦っているのが私で、マーズを傷つけないようにするとしたら・・・」
「たら?」
「そろそろ攻撃するんだけど」
「はい?」
 ヴィーナスは当然聞き返すが、もうマーキュリーは答えず、機械ごしではない目で二人を見つめるのみだった。


 未だにマーズはひたすらジュピターに刺突を繰り返し、ジュピターはそれをかわすことなく剣を振るい捌くと言う方法を取り続けている。
 本来刺突は槍のようなリーチの長いもの、或いは一点を突くという意味で弓術とも通じるものがあるが―遠方から一方的に相手を突き殺すことだ。だが剣の持つリーチでの突きというのは一撃必殺である代わり、技を放った後の体勢は隙が大きく、かわされてしまうと次の瞬間の相手の攻撃に対応づらいという欠点をもはらんでいる。
 マーズはそれを知った上で刺突を繰り返したが、ジュピターはかわすことなくすべて攻撃を弾いている。様子見で隙を作ってみても、わざとなのか本当に気付いていないのか見向きもしない。
 埒の明かないこの攻防にピリオドを打ったのは、マーキュリーの言葉に反しマーズだった。
「ジュピタ、ぁぁぁぁぁ!!」
 マーズは刺突の型をフェイントに、ジュピターに突き出した剣を横薙ぎに振るう。完全に捌く態勢に入っていたジュピターの剣と十字に交差し、マーズは更に一歩踏み込んだ。刀身同士が縦に擦れ不快な金属音を立てる。今度はジュピターは下がることなく、鍔迫り合いの形で状況は再び膠着した。
 鍔迫り合いは力押しの部分が強く、ましてや慣れない得物では余計自らの力に頼らなくを得なくなる。お互いの息がかかりそうなほどの距離でマーズは片手用の剣に両手を添えるが、ジュピターはやはり片手でマーズの迫りに応じるだけだった。マーズの額に筋が浮き、刀身はぎしぎしと軋み微かに揺れる。
 双方刺突は不可能な距離、そして力勝負となればジュピターに利が大きく、ジュピターがこのままマーズを吹き飛ばすことも可能な体勢だがやはりジュピターはそれをしない。
 敢えてこんな状況を作ってそれでも攻めてこないジュピターをマーズは睨むが、何を思ったのかジュピターはその様子を見てきょとんとした表情を浮かべ、そして、戦いにそぐわないいつものふわりとした笑顔を浮かべた。
「睫毛、長いんだな」
 そのからかうような言葉が起爆点だった。
 マーズを取り巻く空気が一瞬でがらりと変わる、様子を見ていたこれまでの剣の振り方とは違い、本気の殺意を伴った凶刃。その目には仲間でも味方でもなく、本気で殺すべき敵が静かに映っていた。
 マーズは引き技の要領で一歩引くと同時に再びジュピターの剣を横薙ぎに払うと、引いた足を軸に間髪入れずに再び突っ込んできた。スピードも戦い方も先ほどとは比べ物にならない。そのままジュピターの懐に体ごと突っ込み剣の柄頭を鳩尾に捻じ込んだ。
「ぐっ・・・」
 鈍く重い衝撃にジュピターの顔が歪み、体が前のめりになる。マーズはその瞬間を狙って、しゃがみこむとハイヒールでジュピターの足を払う。ほとんど無抵抗にジュピターは背中から倒れた。
 マーズは静かに素早く姿勢を正すと、直立の姿勢で無慈悲にジュピターを見下ろし、喉もとに剣先を向ける。向けると言うよりは実際突き殺しにかかっていて、ジュピターは自らの剣を喉の上に据え刀身を盾にしてなんとか命を繋いでいるに過ぎない状況だった。
 鋭い剣先とあまりにも細い刀身が交差する。少しでもずれれば、途端にジュピターは串刺しになる体勢だ。


「決まりね」
 ヴィーナスはそんな二人を見て静かに呟き二人を止めようとするが、マーキュリーはヴィーナスに手をかざしそれを制した。
「マーキュリー?」
 ヴィーナスがマーキュリーに怪訝な顔を向けても、マーキュリーは口元に人差し指を立てただけだった。ただ、何かを見極めるように目は細まっている。
 まだ黙って見ていろと言うことか、とヴィーナスは再びマーズとジュピターに向き合うが、仰向けに倒れるジュピターとそれに刃を向けるマーズ、と言う構図では既に勝負は決まっているかに思われた。
 だが、マーズがジュピターを射殺そうとしているのは、ジュピターが死に面している状態で笑っているのは、あくまでこれが真剣勝負ではないからである。つまり、マーズはこのままでいけばジュピターを殺してしまうの状況でいるのも、ジュピターがマーズに殺されてしまう状況でいるのも、『勝負』が決まった時点でヴィーナスやマーキュリーが止めてくれることを期待しているからだろう。
 なるほど相手を傷つけないようにするには、自分の命が危険にさらされない一撃のもとさっさと膝をついてしまえばいい。ジュピターの行動はすべてここにつながり、結果この状況は彼女の望んだものだろう。
 確かに『勝負』はここで決まっている。この先は本当に命のやり取りになる。だからここでギャラリーである自分たちが止めなければいけない。

 だが―とマーキュリーは思った。ここで止めなければ、ジュピターはどう出るか。


 剣を喉元に突き付けられ、諸刃の剣の刀身でそれを受け止めているこの状況でそれでもまだジュピターは、微かに不敵に、笑んでいるように口角を上げていた。双方から押している形で力は拮抗しているが、僅かでも力のバランスが崩れ剣先がずれれば瞬く間に喉に剣が突き刺さってしまうと言うのに、だ。
 マーズはそれがどうしても理解出来なかった。ジュピターは、こんな状態でどうして笑顔を向けてくるのか。未だ、本気で相手をする気にならないのか。
 射るような目線でマーズはジュピターを見下ろす。腕の力は緩めないままにジュピターの様子を見るが、未だに、或いは、既に、完全に闘志というものは感じられない。
「あなた、死にたいの?」
「・・・まさか」
 マーズは冷たく吐き捨てるが、ジュピターはいつも通りの口調で応じる。一体何が彼女をそうさせているのかマーズには分からない。自然、表情は険しくなる。
「マーズこそ、何怒ってるんだよさっきから」
 ジュピターは怒っていると言うが、マーズは怒ってなどいない。ただ任務を果たそうとしているだけで、そしてジュピターの考えていることが理解できなくて困惑しているだけで。
 きりきりとジュピターの刀の刀身が軋む。剣と言うのは形状上、横より縦の力が強いのは明白である。地球のまだ発展途上の材質と技術で作った剣は、刺突用の形状なことも相まって耐久性に乏しく、突きと言う一点集中の力を向ければどうしても刀身が脆くなるのは一目瞭然であった。
 それなのに抵抗する様子も見せずにいるのは、未だにヴィーナスやマーキュリーが止めてくれるのを待っているのか。
 ジュピターの考えることを考えるのをマーズはもうやめた。どうせ自分には及ばないことだ。そしてマーズが次に思うのは、やはり戦いのこと。
 自分の手にあるものは、地球人が使うにはともかく、月の戦士が使うには握っている得物はあまりにも脆すぎるとマーズは冷静に思う。実際、自分の刀身もジュピターの刀身も限界に近いのを感じ取っていた。序盤ジュピターの様子見を続けていたのもあったが、戦い方を把握できずいたずらに刀身をぶつけ合わせた分、酷く刃こぼれしていた。あのまま戦い続ければやがて刃が折れていたはずだ。
 相手を射殺す、という意味では自分には合っているのかもしれない。だがここまで脆くては、これでは戦闘のパートナーに選ぶことは出来ない―
 マーズが戦闘を完全に終了していない時点で思慮に陥るのは珍しいことである。戦士の性質上、戦闘時は考えるより感覚で戦うのがマーズのスタイルであるからだ。戦闘に集中しきらないこと、相手にとどめを刺す直前、自分が勝利を収めると確信してた瞬間が何よりも危険であることをマーズは体で知っていた。
 しかしこの瞬間それが出来ていなかった―相手がジュピターだったから。
 ジュピターはそんなマーズを見上げ―戦闘中とは思えないほど柔らかく笑う。
「・・・かわいい」
 マーズの脳に、ジュピターのからかうような言葉が下から沁みこんで行く。その言葉の意味も相まって、マーズの頭脳は一瞬真っ白になった。その瞬間初めてジュピターの表情が消える。
 次の瞬間マーズの剣先はジュピターの刀の刀身を削った。ジュピターの剣はジュピターの指により首筋に沿うよう下向きにしなっており、それに従い滑るようにマーズの剣先はジュピターの剣先まで、そして勢いで床に突き刺さる。かちん、と意外と軽い音がした。
 刀身がしなる柔軟性を持ちながら、刺突に特化した形状。マーズの剣は、ジュピターに導かれるように地に突き立った。
「・・・っく!」
「っこの!」
 マーズが剣を引き抜こうとしたそれより前に、ジュピターは体を転がらせ、寝転んだ体勢のまま腕を横薙ぎに大きく振るい、初めて攻撃に転じた。そして何のためらいもなく横っ腹をぶった切った―目の前のマーズの床に突き立てた剣の。
 きいんと言う音と共に、剣は折れた―双方の。
 マーズがその展開に呆然としていると、ジュピターは立ち上がり半分ほどになった己の剣を無感動に見つめ、興味なさげに床に放り捨てた。からん、と冷たく軽い音がして、金属片が転がった。
「―引き分けだ」
 そこでジュピターはようやく普段通りの表情に戻る。それは、危機を脱した者の、ようやく落ち着いた風な笑顔があった。
 こんなときでも彼女は笑う。
 マーズはそこで一度に頭の回転が戻ってくるのを感じる。ジュピターは勝利も敗北も狙っておらず、ただ誰も傷つけずに、尚且つ文句のつけようのない、戦いを終了させることをひたすら狙っていたわけで。
 刺突をかわさなかったのも柄を使うような実用的な戦い方をしなかったのも、双方の刀に平等にダメージをあたえるためであり、からかうような言動も双方の刀を同時に折るたった一撃のタイミングを見極めていたため。
 「しなる」剣の特性を戦いの中で理解した上で、自分の剣をしならせマーズが地に剣先を突き刺し剣を固定させて。切ることはできても切り落とすことはできない性質ゆえ、双方限界まで剣を刃こぼれさせた上で片方を固定させることで、初めて剣を折ることができた。
 その事実がマーズの頭に巡った時は既にジュピターはマーズに背を向けていた。そしてマーズの頭に血が上った。
 確かに任務は戦闘ではない。受けていた命はあくまで剣の特性を知ること。だが、どうしてもジュピターの行動を容認することが出来なかった。八つ当たりと言ってしまえばそうなのかもしれないが、今度は命令ではなく自分の意思でジュピターに対しての闘志が沸き起こってくるのを感じる。
 戦いを終え戻ろうとしたジュピターは、マーズから数メートルの距離を開けたところでふと足を止めた。背を向けたまま、今までとは違う静かな声を出す。
「・・・やめておけ」
 戦いの星を守護に持つマーズの気配は、背中を向けても、ギャラリーであるヴィーナスやマーキュリーにまで明らかなほど濃厚に漂っていた。隠す気もないらしい。
「あんたがその気だとあたしも手加減できないぞ」
 ジュピターとマーズの距離は、ほんの数メートル。ジュピターは背中にちりちりと殺意を感じながら、どこか諦観にも似た気持ちでティアラのアンテナを伸ばす。その仕草はとても静かなものだが、自然とアンテナに集う電気が空気を震わせぱちぱちと音を立てた。
 先ほどの、おもちゃのような得物を振り回しての戦いとは違う。体と技を使っての四守護神同士の戦いとなれば、お互いに戦闘力は未知数だ。お互いに強い者であるだけに、その結末がどうなるかは分からない。
 マーズが引く気配はなく、先ほどのような態度では今度は本当に殺されてしまうとジュピターは感じ取っていた。戦うことは決して本意ではないが、本気で臨まなければならない。
 せめてマーズに酷い怪我をさせなければいいが、とジュピターは奥歯を軋ませる。次の瞬間マーズが動く気配がし、雷を腕に纏わせジュピターは振り向いた。火球を手に携えたマーズがそのまま踏み込んでくる。


 一瞬の出来事だった。
 マーズの拳が肉にめり込む感覚。ジュピターの腹部に熱。だがそれに関し、互いに体に衝撃が来ることはない。

 二人の間に立ちマーズの拳を左手で受け止めている人物が一人。ジュピターの懐に入り折れた剣の先を突き付けている人物が一人。

「・・・二人とも、ご苦労さま~」
 水が流れるように自然に、何の気配も感じさせずにヴィーナスとマーキュリーは二人の間に割り込んでいた。ヴィーナスはジュピターの首筋を剣先で撫でながらいつもの軽い口調で二人をねぎらう。ジュピターの右手はヴィーナスのこめかみを掠めはしたものの、しかし紙一重でその攻撃は当たっていない。
 そしてマーキュリーは真っ直ぐ向き合った左手にマーズの拳を受け、衝撃を受け止めるように静止していた。だがマーキュリーは眉一つ動かすことさえなく、放つ言葉も嘘のように静かで冷たかった。
「・・・あなたたちのおかげでデータがしっかり取れた。残りの作業はやっておくから、二人とも帰って休んでくれていいわ」
 言葉の内容だけは優しいマーキュリーの語調はやはり淡々としている。ジュピターはその光景に驚きつつも一瞬だけヴィーナスを見た。彼女はいつもと変わらない笑顔に刃をきらめかせている。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・どきなさいマーキュリー!あなたには関係ない!」
 黙っているジュピターに対し、マーズが拳を握られたままマーキュリーを睨む。まるで関係ないわけではないとはいえ、単なるギャラリーであったマーキュリーに乱入される謂れはないとマーズは思う。
「そうね。でも、ここであなたたちに本気で戦われたら困るのよ。パレスに被害が出る」
「・・・いいから、どかないと」
 目を伏せるマーキュリーにマーズが声のトーンを落とす。それは、マーキュリーには最後通達のように思えた。
 そして次の瞬間薄氷が割れるような軽い音がぱきぱきと響き、マーズの拳から熱が奪われていく。
「―肘」
 マーキュリーのその言葉の刹那、マーズの拳、マーキュリーの掌に触れている部分から一気に肘に向かって氷に覆われる。強烈な冷気にマーズが一瞬ひるむが、それでもマーキュリーの掌から拳が離れない。
「っく・・・!」
「肩」
 更にマーキュリーの言葉は判決を言い下すように冷酷且つ簡潔なもので。一旦肘で止まった氷の侵食が一気に肩まで広がり、更に首から顔に向かいマーズを侵すように、ゆっくり、ぱきぱきと音を立て氷の面積を増やしていく。
「頭、冷やす?」
 絶対零度の目線と、肉体を侵食してくる冷気。
 そこでジュピターはヴィーナスを押しのけ突進するようにしてマーズをマーキュリーから引き剥がす。自分の目の前で揃って倒れこんだ二人をマーキュリーは興味なさ気に見つめ、煙立ち上る自らの掌を力なく下ろした。
「おいマーズ!しっかりしろ!」
 ジュピターに抱えられ倒れたマーズは右腕から肩、首、顔半分近くが氷に侵されており、既にぐったりと意識を失ってた。ヴィーナスは一部始終を見ていたが、ジュピターがマーズを引き離すためマーキュリーとすれ違う瞬間マーキュリーに何かを囁いていたのを見逃さなかった。
 マーキュリーはマーズがジュピターに抱き上げられても抵抗していないのを無感動な瞳で見つめ、踵を返す。心なしかゆったりした足取りでヴィーナスの元に戻った。ジュピターはマーズを抱え、足早に部屋を飛び出す。


「マーキュリーなにあれかっこよすぎでしょ!」
 ヴィーナスはそんなマーキュリーを両手を広げて迎えた。マーキュリーもまた、ヴィーナスに対し無抵抗で前からもたれこむように腕の中に入った。
「・・・困ったわね」
 だがマーキュリーの言葉は予想外のもので。ヴィーナスは思わず聞き返した。
「え?」
「・・・マーズと・・・ジュピター」
「ああ・・・マーズ、真面目よね~。あなたと違って単純だから扱いやすくはあるけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ジュピターも・・・技、当たってないのに」
 軽く言うヴィーナスのこめかみから頬にかけては血が滴っている。これはジュピターの拳を掠めた時だ。ジュピターに真っ直ぐ向き合った時、その拳は確かに当たらなかったはずだったのに―刃物でも使ったかのようにすっぱり切れていた。
 だがジュピターと真っ直ぐ向き合ったヴィーナスのこめかみを掠める程度ということは、本来あの場にいたのはマーズだからジュピターはマーズ相手にも最初から拳を直接当てる気はなかったということ。
 結局ジュピターは道具を使っても体一つの戦いでも、直接マーズを傷つける意思は全くなかったということ。太陽系最大の惑星の守護を持つその力を持ちながら、傷つけあうことを良しとしない、身内に驚くほど甘い―保護の戦士の性質。
「(・・・それは、戦士としては)」
 力はすでに誰も及ばないところまで来ているのに、その甘さがもし戦場でも出たら―そう危惧するヴィーナスの腕の中でマーキュリーが呻くような声を出した。
「・・・ヴィーナス、出来れば、医務室に連れて行ってもらえるとありがたいのだけど」
「え?」
「マーズの攻撃を受けた分体がぼろぼろなの」
「ああ…だからあたしの腕の中にいるってわけね」
 顔からだらだら血を流しているヴィーナスに医務室に連れて行けと頼むとは、マーキュリーも思いのほかダメージは受けたようだ。ジュピターと違いマーズは本気だっただろうから。属性的にマーズはマーキュリーに止めてもらった方がいいだろうと思ったのだが、その判断が正しかったかは分からない。だがジュピター相手でも結局こうやって傷を負った自分のことを考えると、やはりマーズはマーキュリーに任せてよかったとも思えた。
 口を利けるなら大丈夫だろう。ヴィーナスは余裕を見せるためいつものように軽口を叩く。
「ふーん…なら、今なら何をしても無抵抗ってことかしら」
「……別に…あなたが本気なら…構わないけど」
「あら、珍しく素直なのね」
「抵抗できそうにないもの」
「する気がないだけでしょ?しないとできないってのは違うわよ」
「・・・腕が割れた」
「・・・うえっ・・・!?」
 マーキュリーの抑揚のない言葉にヴィーナスは奇声を上げた。もう余裕ぶっている余裕はなかった―今なんと言ったのか、このブレーンは。
「骨が・・・でも、冷気で防御しなきゃ・・・体半分持って行かれるところだったわ」
「骨・・・割れて・・・ええええええ!!?」
 骨が折れるのは別に大したことではない。そういう形状だからだ。体を半分吹き飛ばすのも手段を選べばさほど難しくはない。あんなに弱いおもちゃのような剣でも、応手を間違えなければ守護神を殺せてしまうように。
 だが、マーキュリーは骨が割れていると言った―ヴィーナスが驚いたのはそこである。それは、剣が横薙ぎの一閃で折れはしても地に突き刺さる分には折れなかった事からも明白なことで。
 刀や骨のように縦に伸びている形状。折るのは然程難しくないが、縦に破壊するのは容易なことではない。
「あのぱきぱきいってたのって氷の音じゃなくてあなたの骨の割れる音だったの!?ていうか骨割れてるのに何でそんなに冷静に喋ってるのよ!神経ないの!?無神経なの!?」
「・・・あなたみたいな人と付き合ってたら・・・神経なんか磨り減ってもうどこかに行ったかもしれないわ」
「だからあなたの冗談は面白くないのよ!やめて!」
 マーズは決してやられっぱなしではなかったと言うわけだ。それどころか、ジュピターの乱入が無ければ先に意識を失っていたのはもしやマーキュリーの方であったのかもしれない。
 それだけの能力と、それを身内に向けられる精神―戦いの戦士の名を冠したその力。勝敗や戦術といった自分たちが執拗にこだわってきたものを根底から覆すほどの真っ直ぐな力には、圧倒的な恐怖がある。
 凶星、火星を守護に持つ戦いの戦士の名は伊達ではないということだ。ヴィーナスは、最後まで対峙しなかったマーズの力にようやく戦慄した。


「・・・・・・ヴィーナス」
「ちょちょちょちょっと待って今すぐ医務室っ・・」
「・・・私、さっき・・・自信のないことは言いたくないって・・・あなたに言ったけど」
「・・・・・何、遺言!?いや大丈夫よ傷は浅いからっ・・・・・・・・・・え、マーキュリー?」
 ヴィーナスはマーズの力に驚いていたが、そのマーズの力を体で受け止めたマーキュリーはジュピターのことを考えていた。
 ジュピターはマーキュリーとすれ違いざま、囁いた言葉は「ありがとう」だった。どうやらヴィーナスに喉に剣を突きつけられて尚、戦いを止めてくれたことに感謝してくれていたらしい。それはマーキュリーがマーズの意識を奪いはしても傷つけることはしなかったからであり、ジュピターはそれを知っていたからである。
 王国が誇る戦士の一柱。誰よりも周囲を見ている。そして誰よりも優しい性格。そして結果、この戦いは最初から最後までジュピターの手中にあった。
 実のところ、マーズとジュピターの戦いのとき、マーキュリーはゴーグル越しにマーズとジュピターの剣が刃こぼれし折れるのは時間の問題であったことは知っていたので、ジュピターはマーズの剣を折るのタイミングを待っていると読んでいた。普通に剣同士をぶつけても剣を折ることは不可能だから、彼女は期を待っていたのだと。そして誰も傷つかないようにするのだと。だがそれに関してどうしてあそこまで回りくどい展開に持っていったのかはマーキュリーには分からなかった。だからヴィーナスにも何も言えなかった。
 だがしかし、彼女は勝利さえ狙っていなかったのだ。
「私は、自信のないことは・・・自分で調べたいのよ」
 知性の戦士の名を冠しながら結局その結末が読めなかった。刺突に特化した剣の戦いは刺突では決まらず、ジュピターはどこまでも戦いを終わらせることだけを狙っていた。
 そして、今だって結局ジュピターに助けてもらうような形になってしまった。
「でも、あなたの言葉を借りれば・・・しないとできないを混同しては」
「え!?何!?はっきり言って!」
 太陽系最大の惑星の守護を持つ保護の戦士の力は―確かに誰かを守るために使われる。マーズとは真逆の性質は意外といい組み合わせなのかもしれない。
 戦いの結末そのものにもたいした意外性はない。しかし、やはり机上の空論をこねるだけではだめだった。やはり戦いの場でこそでないとわからないことはいくらでも出てくる。
 知性の戦士としては失格かもしれないが、割れた骨が軋む痛みに頭脳が冴える。薄らぐ意識と引き換えにわからなかったことが頭脳にひらめく感覚にマーキュリーはほころんだ。


 
 折れて地に突き刺さった剣先だけが、ただ鈍く輝いていた。







          *******************


 メディアも組み合わせも何でもいいということでしたので、内部好きさんからのリクなので全員出したらぁ!と意気込んだらこうなりました。正直お気に召す自信はまったくないんですが(すみません)、しかしありがたく書かせていただきました。
 キリ番を踏んでくださっためらみんさまに捧げます。10万打ありがとうございました!
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