家の庭にあるスズランが咲いた
これはドイツスズランらしい
とっても可憐で、この家に20年近く住んでいる
黒田杏子さんをもっと知りたいと思い、
第一句集「木の椅子」を読んでみた
昭和56年に初版は発行され、
この句集により、第6回現代俳句女流賞と第5回俳人協会新人賞を受賞した
umeさんが手にしているのは2020年11月発行の増補新装版である
杏子さんについて、一言で語り尽くそうとは思っていない
前回のブログの「龍太氏への思慕」という観点から見てみると、
この句集に、原点とも思えるその接点が見られる
まだ新人であった杏子さんの第一句集を、女流賞に推薦したのは龍太氏だった
この「木の椅子」にその選評が載っている
この賞の選者は龍太氏の他
鈴木真砂女さん 野沢節子さん 細見綾子さん 森澄雄氏
俳句を始めた頃に、羨望の眼差しで見ていた人達だ
この句集は満場一致で受賞が決まった
全員がその新鮮さに着目している
当時の俳句界にとって、杏子さんはすい星のごとく現れた新人で、
ベテランらも凌ぐ勢いで俳句界を席巻した
どんな選評だったのだろうか、全文を載せてみよう
この選評(推薦)が後々続く龍太氏と杏子さんの関係に繋がっていく…
現代俳句女流賞・選評
明るい感性の魅力 飯田 龍太
<黒田杏子さんの作品は、決して巧緻精妙というのではないが、生得と思われる
明るく若々しい感性がのびのびと示され、読後の印象がまことに爽やかである。
感性そのものに瞭かな向日性がある。
見たもの、感じたものに余分の粉飾をつけないのがいい。
あるいは現代俳句の節穴に目を向けないのも、
作品の鮮度を生み出すひとつの原因になっているかもしれない。
今度のこの受賞は、他に例を求めるとすると、
さしずめ直木賞より芥川賞の色彩が強いように思われる。
すでに完成された俳人というより、
これから存分に伸びる可能性を持ったひとだろうと思う。
その期待に応え得るだけの確かな眼とこころを持ったひとだ。≫
黒田杏子第一句集「木の椅子」増補新装版より