Mak_Sagami の≪デジカメ閑話≫

デジタルカメラとその周辺に関する“たわごと”

デジカメ閑話 3 ≪カラーイメージセンサーの原理≫

2005年03月02日 | Digital Camera
 デジカメに使われるイメージセンサーの多くはCCDまたはCMOSですが、これらの素子自体は光の強さに応じた電気信号を発生するだけで、色の区別は出来ません。即ち、このセンサーからはモノクロの画像しか得られません。

 色はR(赤),G(緑),B(青)の3つの要素に分解することが出来ます。そこで素子アレイ(素子の集合体)の前に写真左上のようなRGBフィルターアレイを配置すれば、それぞれの素子から、各色フィルターを通る光の強さに応じた信号が得られます。
 しかし、これでは、例えば赤色のフィルターが配置された素子からは赤色の信号は得られますが、緑と青の信号は得られません。従ってこのままでは、解像度の著しく悪い画像しか得られません。これを解決する方法としては、3分割した光線に、それぞれRGBを受け持つ3個の素子アレイを配置し、各アレイから位置毎のRGB信号を得、これを合成してカラー画像を作る「3板式」という方法がありますが、高価かつ大型になりますから、民生用のデジカメには使われません。

 これに対し、デジカメに使われる「単板式」と言われる方法は、1個のセンサーアレイからカラー画像を得る方法です。単板式では、写真左上のようなRGBフィルターアレイがセンサーの前に配置されています。前述のように、これでは各素子からはRGBの内、何れか1つの信号しか得られません。例えば、拡大図の中心にあるGの素子からは緑の信号しか得られません。しかし、この素子にはRとBの光成分も入射しており、RGBの比率に応じた色を作っています。そこで、この素子の周辺にある複数のR部分の信号を用いて、このG部分に本来ある筈のRの信号量を演算します。同様に、この素子の周辺にある複数のB部分の信号を用いて、このG部分に本来ある筈のBの信号量を演算します。こうして得られた2つの演算信号と、この素子から直接得られたGの信号とを合成すれば、この部分の正しい色を得ることができます。全ての素子において、自身の信号量と、周辺の素子から算出した他の2成分の信号量を合成すれば、全ての素子部分の色を作り出すことが出来、カラー画像を得ることができます。これを「補間処理」と言い、画像処理の基本ですが、実際の演算方法は、カメラメーカーのノウハウに属する部分だと思われます。

 この方法は、民生用のデジカメにおいては、十分に実用的な方法ですが、例えば、被写体の色の変化が極端な部分においては、色変化の境界付近に、本来は無い色を作り出してしまうことがあります。これを「偽色」と言い、撮影条件によってはかなり気になる場合があります。また、素子が規則的に配置されているため、被写体によっては「モアレ」という縞模様を生じる場合があります。偽色やモアレは、撮影画素数が少ないほど生じ易くなりますが、写真を拡大しなければ分からない場合が殆どです。特に画質を気にする場合は、一応これらも考慮して画像サイズを決めると良いと思います。但し、偽色はJPEG処理においても発生しますので、これについては後日取り上げるつもりです。

 昨年春ころから、米国のFOVEON社が開発した新方式のイメージセンサーを用いたデジカメが現れてきました。これは、写真の2に示すように、3層の素子に光が入射したとき、光の波長、即ちRGBによってシリコン内部への到達距離が異なることを利用するもので、理論上は個々の素子からRGBの信号を得ることが出来ます。つまり、3板式と同様に、補間処理によらずに色を得ることが出来るわけです。
 この方法の実力については、まだ情報を持っておりません。ただ、原理的には、銀塩フィルムの発色原理と同じという話もありますので、ひょっとする革命的なことなのかも知れません。既にこの方式のセンサーを搭載したカメラが日本のシグマ社から販売されていますし、ポラロイド社も3月末に発売するようですから、いずれ色々な情報が得られると思います。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿