Mak_Sagami の≪デジカメ閑話≫

デジタルカメラとその周辺に関する“たわごと”

デジカメ閑話 7 ≪ISO感度と暗ノイズ≫

2005年03月31日 | Digital Camera

デジカメは、画像の大きさや画質などと共に、撮影感度を設定することが出来ます。
フィルムカメラ用の標準的なフィルムの感度はISO100ですが、暗い所で撮影するために、高感度用としてISO400などのフィルムを使う場合があります。デジカメでフィルムに相当するものは撮像素子ですが、暗い所で撮影するために、撮像素子を高感度用に交換するということはありません。

デジカメで設定するISO感度の違いとは、撮像素子の信号出力の増幅度の違いです。ISO100のフィルムと同等の感度が得られる増幅度をISO100とし、その2倍の増幅度をISO200としています。
つまり、増幅度を大きくすれば、ISO感度は高くなり、暗い所(即ち、撮像素子への入射光量の少ない所)でも撮影できるようになるのです。
所が、撮像素子のような電気的な素子は必ずノイズを発生します。撮像素子への入射光量が少なければ出力信号が小さいですから、後の電気回路で信号を大きく増幅しなければなりませんが、同時にノイズも大きくなってしまいます。デジカメのISO感度を大きく設定することは、予め光量の少ない場所で撮影する場合などに備えて、回路の増幅度を高めておくことなのです。従って、ISO感度の値を大きく設定する場合は、ノイズが大きくなることを覚悟しなければなりません。

写真はKONIKA MINOLTA DiMAGE A2のISO感度をISO64からISO800まで変えて、レンズキャップを付けたまま、0.5秒間撮影(?)したものです。理想的には真っ黒くなって欲しいのですが、ノイズが現れています。但し、そのままで比較できるほどノイズが大きいわけではありませんので、Photoshop Elements 3.0の“レベル補正”の入力レベルの値を2.01(初期値1.0)にしてあります。この値は、露出の設定に失敗した相当に暗い画像を補正する場合などに稀に使うレベルです。従ってこの写真は、ノイズの絶対レベルを表すものではなく、ISO感度別のノイズの相対比較を目的としています。ISO400,800はノイズがかなり大きいことが分かりますが、ISO64,100でもよく見ると、何やらブロック状のパターンが見えます。これはここで述べたノイズとは違う現象だと思いますが、今の所私にはその正体は分かりません。
なお、シャッター速度は通常の撮影ではこの程度が最長と思われますし、このカメラは1秒未満ではカメラ内部のNoise Reduction機能は働きませんので、0.5秒に設定しました。

ノイズの点からは、デジカメのISO感度はなるべく小さくした方がノイズの少ない写真が撮れることは間違いありません。一方、感度を下げるとシャッター速度を遅くする必要がありますから、手ブレの危険が確実に増えます。手ブレを恐れて、常にISO感度を高くしておくことも、逆に、ノイズの少ない写真を撮るために、常にISO感度を低くしておくことも、どちらも決して良い方法とは言えません。通常の戸外撮影ではISO感度を低く設定しておき、手ブレの恐れがある場合だけ高くするのが望ましい方法と言えます。
フィルムカメラでは、周囲の状況に応じて、ショット毎に感度の違うフィルムを使い分けることなど、普通は出来ません。しかし、デジカメではそれが出来るわけですから、積極的にISO感度の設定を変えて、良い条件での撮影を心がけたいと思います。

デジカメにはAUTOモードがありますから、多くの場合、ISO感度も含めてAUTOのまま撮影する場合が多いと思います。大抵はそれで良いのですが、カメラによっては、光量が不足気味の場合に、シャッター速度を遅くしたり絞りを開いて光量を増やすよりも、安易にISO感度を高める機種があるようです。その場合、手ブレの危険は増えないので、一見良い写真が撮れるのですが、何となくざらついた写真になりかねません。撮影時にカメラの設定まで考慮する余裕がある場合は、マニュアルモードでISO感度を使い分けると良いと思います。