村内まごころ商法 & 剛毅の経営

昭和53年に出版された本と、ホームリビングに掲載された記事でたどる、村内道昌一代記

日々新たなり(5)

2006年12月20日 | Weblog
お客さまを最上辺に置き、そのお客さまを支える形で組織づくりを図る逆ピラミッド運営を推進する村内ではあるが、その逆ピラミッドを社内により分かりやすく説明するために、道昌はそれを一本の木に置き換える。

逆ピラミッドという欧米人発想の組織図は日本的感覚では社長が組織の末端にブラ下がっているようで、全組職を社長という一点が支えるという力学図のイメージになりにくいからだ。

道昌は社員一人一人に逆ピラミッド型組織運営とはどういうことかをこう説明する。

社長は一本の木の根であり、幹部は幹。枝は組織で、葉は販売員。売り場や品揃えは花であり、お客さまにいかにその花を楽しんでいただき、住まい生活のエレメント、潤いの大切な要素としてご利用いただくか、その一点に向かって木は成長していかなければならない、と。

木は根だけでは成り立たない。幹があって葉があって、木は大木に成長していく。しかし、木の元は根であり、幹を太らせ、枝や葉を繁らせ、お客さまに花を楽しんでいただくために、木そのものを最下端で支えていく存在である、と道昌は考えるのだ。

力学的なイメージの強い逆ピラミッド組織を欧米人的発想とすれば、組織に水脈を通わせた「一本の木」論は、いかにも百姓商法を基本とする道昌らしい発想である。

「モネの描くお花畑のような売り場を創ろう」という道昌のかねてからの提唱と、昨年からのテーマである逆ピラミッド型組織運営は一つとして矛盾するところがないのは、やはり道昌の商哲学が骨太であるからだろう。