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タイのデモの真相

2009-04-16 00:00:07 | 政治(海外)
せっかく書いたデータが吹っ飛んだり、タイを調べるのにえらい時間がかかったり、更新に2日もかかり落ち込んでます…orz


〔タイはどうなってるの?〕
結論からいうと、ほとんどのタイ国民が思っているのは、「赤(タクシン派)も黄(アピシット派)もいい加減にしろ!!(怒)」というのが本音…。マスコミは“反政府”デモと言っているが全然違う。実際には地元住民(首都バンコク市民)がデモにブチ切れてタクシン派のデモ隊(反独裁民主戦線(UDD)〔通称:赤服〕)と衝突してたりする。反政府デモというより一種の内紛デモ(?)に近いのだが、人数をみれば分かるように参加してる人間はごく一部(おもに貧困層と背後で操る富裕層)しかいない。しかもこの貧困層、実際には日給いくらの金で雇われた“プロ市民の出来損ない(暴徒)”がほとんどで、本当の国民は平和的にデモで訴えるべきと呼びかけている。


〔極論すると何なの?〕
簡単にいえば、利権勢力同士のぶつかり合い(実はどちらも華人華僑が支配してたりするのだが)。要するに経済の自由化(金融の規制緩和)によって後から追い上げてきた新興財閥とそれまで都市(バンコク)にいた旧主財閥が対立し、そのおこぼれにあずかっていた地方の貧困層(農民)と都市の貧困層(工民)とが対立しているわけだ。分かりやすく例えれば、「拝金主義(タクシン派)」と「権威主義(アピシット派)」の戦いともとれる。


〔タクシン派とアピシット派の戦い〕
タクシン派などの新興財閥は「経済の自由化」の名の元に強力に政策を推し進め、どんどんタイを牛耳り始めている(もっともアピシット派も権威主義的で独裁だったらしいが)。しかし一方で、アピシット派はタイの象徴である国王とそれに取り入った軍部とも結びついており、度々政治に介入している。どちらも独裁に近い状態であり、これら政争の背景には経済のグローバル化(国際化)の問題と、振興する中国マネーの影響(政治的影響もあるかもしれない)もあるだろう。これについては日本の政治と企業の癒着や、かつての天皇と軍部の関係などでピンとくる人もいるのではないだろうか。


〔タクシン首相の光と闇〕
 タクシン首相の行った政策は上記に上げた経済の自由化と、一番大きいのは30バーツ医療制度だろう。これはどんな病気でも100円以内にみてくれるという画期的な制度なのだが、問題はバンコクなどの都市部に住む富裕層は対象とならないことだ。しかし、今まで多額の税金を収めてきたのはこの富裕層であり、当然、怒る。しかも、タクシン自身は職権で私服を肥やし、多くの華人にみられるように賄賂を受け取っていた。この為、「大多数の農民にお金をばら撒いて味方につけ(ばら撒き医療)、政権を掌握しようとしている」という非難の声が上がっている(ブログ主:気のせいか、やり方が共産党そっくりな気がする…)。

 また、麻薬一掃作戦などを掲げ、マフィアやテロ組織を撲滅し、麻薬の根絶を掲げるなど一定の評価ができる一方、邪魔な政敵や商敵も一緒に殺害しており、この人数がかなりの数に上ると思われる。実際、無実と証明されたのに後で謀殺されたり投獄されたりして非難が上がっている。他にも、親戚を軍や警察などの要職に配置し、閣僚がみな共産党(タイ共産党)中国よりの政策を採っている。さらにマスコミの自由な報道に対して規制を行い、情報統制をとっていたため反発を招いた。


〔私服を肥す華人のタクシン〕
さすが客家系の華人だけあって経済と政治はうまいです(もっともアピシットも華人だが)。これは一定の評価ができる一方、職権を乱用し私服をかなり肥やしてました。(以下、タイの株長者番付)

<タイ株長者番付2005年発表>
1位、タクシンの長女ピントンター・チナワット(23歳)、191・0億バーツ
2位、タクシンの妻の兄バンナポット・ダマポン、165・8億バーツ
3位、非タクシン系華人の住宅開発会社社長アナン・アサワポーキン、149・0億バーツ
4位、タクシンの長男パントンテー・チナワット(26歳)、120・6億バーツ

全部、家族・親族が独占(ちなみにタイは株の売却に税金がかからない!その挙句、相続税・贈与税もかからないので完全な資産隠し)。さらに新興財閥から多額の賄賂と献金を受け取っており、これが問題となっておととし退陣に追い込まれました。


〔激昂した軍部と旧主財閥〕
さすがにこれには旧主財閥と軍部も怒りと危機感を抱き、おととしクーデター(?)を挙行したようだ。このクーデターはタクシン首相が国連に出向いている留守の間に行われ、流血沙汰にならずに済み無血クーデターとして終わった。最終的に、混乱もタイ国王の鶴の一声で収束へと向かった。しかし、その後もタクシン首相は傀儡として義弟のソムチャイ首相を据え、政権の存続を図ったが、これも昨年のPAD(民主市民連合)〔通称:黄服〕によるデモで退陣へと追い込まれた。


〔はっきりしているのは…〕
とりあえず、はっきりしているのはアピシット首相がASEAN首脳会議で面子を潰され、タイが国際的信用を失い、ついで投資家の資金も逃げ出して、今後、タイ経済は大打撃を受けるということでしょう。この紛争デモ、どうも利権争いの臭いがプンプンするのですが(政争なんてみんなそうかもしれませんが)、これが如何に無益であるかはやはり肌で身に染みて感じないと理解できないということでしょうか。しかし、こんなときこそ日本企業の出番ですよ!企業戦士として如何なる戦況でもコツコツとインフラを整備できるのは日本以外にありません。あとは日本人の決断力なんですが…。



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