歌詞を味わうブログ

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『11月の海』 作詞:佐々木好

2021-11-18 05:30:00 | 歌詞を味わう
リリース:1987年
今回も当ブログを訪問いただきありがとうございます。
今回は2回目になりますが佐々木好さんの『11月の海』を取り上げます。

先週末に久々に海を見たくなって防寒対策をして出かけていったのですが、海はとても穏やかで、SUP(スタンド アップ パドル ボート)という海のスポーツを楽しむ人がいるくらい波も静かで、私なんか近くのカフェから美味しいコーヒーをすすりながらそれを眺める優雅がひとときを過ごさせてもらいました。それで脳裏にこの曲がわいてきたというわけなんです。

この曲は佐々木好さんの最後のアルバム『りらっくす』に収録されていて、メロディも歌詞も習熟感があるような気がします。

それでは、さっそく歌詞を見てみましょう。

「財閥なら老人とだって結婚するって
この世はお金が全てなのか
海の波は
いつも静かに聴いてくれるの
”そんな人のことは流しなさい”
雲が私のために開いた
”今すぐ来い”って迎えに来ている
階段をつけて迎えに来ている

「”おまえ優しいな”って言ってくれた
初めて言われた
手のひらのアリと遊ぶ私
見つめて ひとこと
鉛色した11月の海は
少しだけど温かく
空き缶やゴミ、木の枝だらけ
海を使うとき
人は喜んで
汚した時には
人は知らぬふり

「”静寂しきったおまえはきれい”
もう少し見せたい
私を見せたい
心を洗って
帰りましょ うちへ」

佐々木さんは、2つの不条理、財閥なら老人とだって結婚する事態や海が空き缶やゴミで汚されている事態に目を止めるのですが、なんとなく自然が醸し出す人間を包み込む雰囲気に昇華されていくような感覚を覚えますね。
財閥なら老人とだって結婚する事態は、性別を問わず起こりうることですが、この場合は女性が老人男性の財閥とというシチュエーションなのでしょう。
でも、こういった分断というのは別に財閥でなくても起こりうると思います。例えば、正規社員と非正規社員の間でも容易に。
5万円だの10万円だの100万円だの、億単位でなくとも、心が世知がなくなるようなことは本当に起きています。それをどうでもいいこと、とは思わないけれども、やはり心が疲れちゃいますよね。
そんな時に、穏やかな海を眺めて心を洗って帰ってくるのもありかもね。

今回も最後までお読みくださりありがとうございました。
不定期ですがまた書きたいと思います。

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