歌詞を味わうブログ

1980年代から1990年代の日本のポップスの歌詞を味わうブログ

『六本木心中』 作詞:湯川 れい子

2021-07-24 07:41:00 | 歌詞を味わう
リリース:1984年

今週も当ブログを訪問いただきありがとうございます。
本当に全国的に猛暑が続いていますが、皆さん体調はいかがですか

さて今週はアン・ルイスのヒット曲『六本木心中』を取り上げます。
作詞家の湯川れい子さんの話では、この曲のモデルになっている男性は、吉川晃司さんだとおっしゃっていましたが、それを同じ所属だった渡辺プロの先輩アン・ルイス目線で書いているようなのですね。

なんか、そういう前提があると歌詞の味わいようがなくなってしまいそうですが、エキスだけでも絞るように味わってみようかと思います。
ではさっそく1番の歌詞から見ていきましょう。

「だけど こころなんて

お天気で 変わるのさ
長いまつ毛が ヒワイねあなた
罪な目つきをしてさ「命あげます」なんて
ちょっと場末のシネマしてるね」

「この街は広すぎる
BIG CITY IS A LONELY PLACE
独りぼっちじゃ 街のあかりが
人の気を狂わせる」

「櫻吹雪に ハラハラすがり
あなたなしでは生きてゆけぬ
うぬぼれないで言葉じゃダメさ
男らしさを立てておくれ」

曲名に六本木とありますが歌詞には登場しません。
でも六本木を「BIG CITY IS A LONELY PLACE」と表現していますね。
そういった気を狂わせるような孤独を感じさせる街が背景となっているのですね。
私は昼の六本木しか知らないので、夜には別の顔があるのかもしれません。
そして曲名のもう一つのキーワードである「心中」ですが、「命あげます」という歌詞しか関係する歌詞は見つかりません。
その言葉さえ、本気でそう言っているというよりは、大見得を切っているだけのように感じます。
続いて2番の歌詞を見ていきましょう。

「遊び相手となら お手玉も出来るけど
いつか本気になるのが恐い
年下のくせしてさ ヤキモチ焼くなんて
あなた売れないジゴロみたいね」

「夜更けに目を覚ませば
BIG CITY IS A LONELY PLACE
人の寝息がベッドにあれば
夢のつづきが見れる」

「そっと横顔 息つめて見る
あなたなしでは生きてゆけぬ
あしたになれば陽はまた登る
女ですもの泣きはしない」

「CAN'T LIVE WITHOUT YOU BABE
CAN'T LIVE WITHOUT YOU BABE
CAN'T LIVE WITHOUT YOU BABE
DON'T WANNA LET YOU GO」

吉川晃司さんのことをヤキモチ焼きで売れないジゴロのようだと言いつつ、「あなたなしでは生きてゆけぬ」とは、女性ならではの気持ちの移ろいやすさを表現していますね。
でも、「あなたなしでは生きてゆけぬ」と言うのは、生きようとしていることの証左。

そこで少し考えてみたいのが心中という言葉。
現代の経済的に追い詰められて一家無理心中という場面とは少し趣旨が違うと思いますが、
江戸時代に相思相愛の男女が周囲の反対に抗しきれず、自殺または殺人幇助をするという場合の方が近いかもしれません。
でも、吉川晃司さんとアン・ルイスさんは、そのような本当に命を落とすようなことをすると表現しているのではなく、ついでに言えば吉川晃司さんが桑名正博さんにヤキモチを焼いてもいないわけで、そこは軽く考えましょう。

心中から自殺の要素を除いた相思相愛という言葉について考えてみたいのですが、
goo辞書の相思相愛の項目の注記では…

「相」は、相手の意と、相互の意と二つの意がある。「相思」は、相手を一方的に慕うことで、「相愛」は、相手を一方的に愛することであったが、この二語が結びついたら、お互いに慕い合い愛し合うという意になった。

ですから、一方的に愛するのではなくて、相互性が必要だということなんですね。
『六本木心中』の歌詞の中の二人はまだそこまで至っていないように感じますが、そういう相思相愛の仲になれたら素晴らしいですね。

今週も最後までお読みくださりありがとうございました。
まだまだ猛暑が続くと思われます。
水分補給もそうですが、アイスノンなどを使ってこの猛暑を乗り切りましょう。

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