歌詞を味わうブログ

1980年代から1990年代の日本のポップスの歌詞を味わうブログ

『翼の折れたエンジェル』 作詞:高橋 研

2021-12-19 12:00:00 | 歌詞を味わう
リリース:1985年

中村あゆみさんと言えば、ハスキーなボイスを思い出しますが、あの頃リンドバーグにしても、ジッタリン・ジンにしても、ハスキーな女性ボーカリストが多かったように思います。
この曲は作詞作曲ともにシンガーソングライターの高橋研さんによるもので、十代の気持ちを見事に表現していると思います。
teenの響きが耳に残りますよね。
それではまず1番の歌詞から見ていきましょう。

「ドライバーズ・シートまで横なぐりの雨
ワイパーきかない 夜のハリケーン
“I love you”が聞こえなくて
口もと 耳を寄せた
ふたりの想い かき消す雨のハイウェイ」

「Thirteen ふたりは出会い
Fourteen 幼い心かたむけて
あいつにあずけた Fifteen
Sixteen 初めてのKiss
Seventeen 初めての朝
少しずつ ため息おぼえた Eighteen」

「“もし 俺がヒーローだったら
悲しみを 近づけやしないのに...”
そんな あいつの つぶやきにさえ
うなづけない 心がさみしいだけ」

「ohhh... 翼の折れたエンジェル
あいつも 翼の折れたエンジェル
みんな翔べない エンジェル」

ねっ、teenの言葉が十代の心に引き戻すでしょう。
それはそうと、口もとを耳に寄せるために、「ILOVE YOU」が聞こえないほどの雨音という設定が何とも言えない憎らしい表現ですね。
そして十代はみんな「翔べないエンジェル」と思い込む未熟さも、十代ならではなんですよね。
そうやって挫折を味わうけれども、傷ついた事は決して無駄にはならない。
後で人生を振り返ったときに全ては無駄ではなかったと思えるものだと、私は信じています。
続いて2番の歌詞を見てみましょう。

「チャイニーズ・ダイスをふって
生きてくふたりの夢を
誰もが いつだって 笑いとばした
“I love you” あいつのセリフ
かすんでしまうぐらい
疲れきった ふたりが 悲しいね」

「“もし 俺がヒーローだったら
悲しみを 近づけやしないのに...”
そんな あいつのささやきにさえ
うなづけない 心がさみしいだけ」

「ohhh... 翼の折れたエンジェル
あたしも 翼の折れたエンジェル
みんな 翔べない エンジェル」

まずチャイニーズダイスという言葉が出てくるのですが、これは18面体ある中国のサイコロのことで、18歳と18面をかけて二人のこれまでの人生を表しているのでしょう。
私の場合はいつもくだらないことを言っては謝ってばかりいるから五面体かな?
(ヒュ~)寒かったね、ごめんたい。
それはそうと、2番の歌詞では「I LOVE YOU」のセリフが届かない理由は、二人とも疲れ切っているということになっています。
けどね、リアルの人生って、人生ゲームのようにサイコロを振って一喜一憂する面だけでなくて、突然襲ってくる災難やそれによって今まで見えなかったものが見えるようになる発見というのもあると思うの。
私の場合がそれで、白血病の宣告を受けたときは本当に頭が真っ白になって、長くつらい闘病生活を経て、今までできていたことができなくなって何度も悔しい思いをしたの。
だけど、そこで支えてくれる人の優しさにも気づいて、自分は一人でなんでも器用にこなせると天狗になってた自分にも気づくことにもなったのね。
私も貧血気味でいつも疲れている感じだけど、私に必要なのはヒーローじゃない。
折れたままの翼でいいよ、と認めてくれること。
私は池江選手のような驚異的な復活はないと思うけれども、残された人生を新たな発見をしながら生きていきたいと思います。

今回も最後までお読みくださりありがとうございました。
今年も残すところ2週間を切りました。
仕事に家事に充実した時期を迎えていますが、どうぞお体を大事にお過ごしくださいね。


コメントを投稿