歌詞を味わうブログ

1980年代から1990年代の日本のポップスの歌詞を味わうブログ

『SOMEDAY』 作詞:佐野 元春

2021-09-25 05:39:00 | 歌詞を味わう
リリース:1981年

今週も当ブログを訪問いただきありがとうございます。
今回は佐野元春さんの『SOMEDAY』を取り上げます。
さっそく1番の歌詞から見ていきましょう。

「街の唄が聴こえてきて
真夜中に恋を抱きしめた あの頃
踊り続けていた
夜のフラッシュライト浴びながら
時の流れも感じないまま」

「窓辺にもたれ
夢のひとつひとつを
消してゆくのは つらいけど
若すぎて何だか解らなかったことが
リアルに感じてしまうこの頃さ」

「Happiness & Rest
約束してくれた君
だからもう一度あきらめないで
まごころがつかめるその時まで
SOMEDAY
この胸に SOMEDAY
ちかうよ SOMEDAY
信じる心いつまでも SOMEDAY」

若すぎて何だか解らなかったことが、夢のひとつひとつを消してゆくことであり、それをリアルに感じてしまう年頃。
きっと誰にもそのような経験ってあるのじゃないかしら?
あの頃とこの頃を対比させることでその喪失感にも似た感情を浮き出しているのかもしれません。
それでも「君」がいるからいつか(SOMEDAY)夢をあきらめないで信じ続ける事って素晴らしいですよね。
当時の佐野元春さんの年代だけでなく、年をとったらその年代のSOMEDAYがあるのだと思います。
続いて2番の歌詞を見てみましょう。

「「手おくれ」と言われても
口笛で答えていた あの頃
誰にも従わず
傷の手当もせず ただ
時の流れに身をゆだねて」

「いつかは誰でも 愛の謎が解けて
ひとりきりじゃいられなくなる
オー・ダーリンこんな気持に揺れてしまうのは
君のせいかもしれないんだぜ」

「Happiness & Rest
約束してくれた君
だからもう一度あきらめないで
まごころがつかめるその時まで
SOMEDAY
この胸に SOMEDAY
ちかうよ SOMEDAY
信じる心いつまでも SOMEDAY」

誰にも従わず傷の手当もしない生き方、それは一人きりだからできることであって、愛の謎が解けると一人きりじゃいられなくなる。
ある意味、それは人間の関係性において真実をついているとは思いますが、愛することは時に喜びと同じくらいの悲しみや重荷感をもたらす一面もあると私はつくづく思い考えています。一人きりの方が気楽だったなあと。
続いて3番の歌詞を見てみましょう。

「いつかは誰でも 愛の謎が解けて
ひとりきりじゃいられなくなる
ステキなことはステキだと無邪気に
笑える心がスキさ」

「Happiness & Rest
約束してくれた君
だからもう一度あきらめないで
まごころがつかめるその時まで
SOMEDAY
この胸に SOMEDAY
ちかうよ SOMEDAY
信じる心いつまでも SOMEDAY」

ステキなことはステキだと無邪気に笑える心。
今の私に最も欠けている心かもしれません。
白血病になって、本当に笑っていない自分にハッと気づかされた歌詞でもあります。
ですから、gooブロガーでたくさんの草花を紹介してくださっている皆様には本当に感謝しています。
土いじりができなくなった自私に代わって、ステキな草花を、そのままステキだと喜べる自分が、まだいるのだと感じているからです。
SOMEDAY、いつか完全寛解することを目指して頑張ろうと思っています。

今週も最後までお読みくださりありがとうございました。

『守ってあげたい』 作詞:松任谷 由実

2021-09-18 04:18:00 | 歌詞を味わう
リリース:1981年

今週も当ブログを訪問いただきありがとうございます。
今回は、ユーミンの『守ってあげたい』を取り上げます。
さっそく1番の歌詞から見ていきましょう。

「You don't have to worry.worry
守ってあげたい
あなたを苦しめる全てのことから」

「初めて言葉を交わした日の
その瞳を忘れないで
いいかげんだった私のこと
包むように輝いてた」

「遠い夏息をころしトンボを採った
もう一度あんな気持ちで夢をつかまえてね
Soyou don't have to worry.worry
守ってあげたい
あなたを苦しめる全てのことから
'Cause I love you'Cause I love you.」

初めて言葉を交わした日の瞳が輝いてたことを覚えてるなんて、素敵じゃないですか。
更にとんぼを採るような気持ちで夢をつかまえてほしいなんて、他の言葉には代えがたい表現力がありますよね。
それで私の気持ちは「守ってあげたい」なんです。
その理由が、「Cause I love you」なわけです。
守ってあげられないかもしれないという懸念はどこかへ、愛の力ってつくづくすごいなと思っちゃいます。
続いて2番の歌詞を見てみましょう。

「このごろ沈んで見えるけれど
こっちまでブルーになる
会えないときにもあなたのこと
胸に抱いて歩いている」

「日暮れまで土手にすわりレンゲを編んだ
もう一度あんな気持ちで夢を形にして
Soyou don't have to worry.worry
守ってあげたい
他には何ひとつできなくてもいい
'Cause I love you'Cause I love you.」

「Soyou don't have to worry worry
守ってあげたい
あなたを苦しめる全てのことから
'Cause I love you 守ってあげたい」

会えない時もあなたのことを胸に抱いて歩いているなんて、なんとピュアな感性なんだろうとも思うんだけれど、それゆえに沈んで見える時には自分までブルーになってしまうあたり、本当に青春だなあって思っちゃう。
私は日暮れまでレンゲを編んだことはないけれど、夢を形にしてほしい方法が、毛糸のセーターを編むような、周りから見たらチマチマしたやり方で形にしてほしい、という願望は相手次第かもしれないけど、ちょっと欲張り過ぎかしら。

詩人の言葉のマジックは「あなたを苦しめる全てのことから」の前に「守ってあげたい」を配置することで愛の形を提示してることに尽きると思います。
守ってあげること以外何一つできなくてもいい、とは言うけれどそれができたら十分だと思います。
言葉一つで救われる命だってあるんです。
私は愛を基礎においた言葉の力を信じ続けたいと思った一曲でした。

今週も最後までお読みくださりありがとうございました。
これから寒暖の差が大きくなってくる季節かと思いますので、どうぞご自愛くださいね。


『MyMr.LONLY HEART』 作詞:飛鳥涼

2021-09-11 08:00:00 | 歌詞を味わう
リリース:1987年

今週も当ブログを訪問いただきありがとうございます。
今回はCHAGE&ASKAのASKAがソロデビューした時の曲『MY Mr. LONLY HEART』を取り上げます。
私がこの曲を聴いていた頃は、まだカセットテープで、しかも音質の良くないラジカセだったものですから、「論理派」?、感情派との対立かと余計なことを考えていたのを思い出します。
思い出せば、あの頃はカセットテープが主流だったなあと思いつつ、せめてもっと音質の良いラジカセで聴きたかったと思いつつも、現代のクリアな音質の曲をパーソナルにイヤホンで聴くというのも寂しさを感じるもので、誰かと、「この歌詞いいね」とか聴き合う機会が減ったのは残念だなあと思うの。
前置きが長くなったけど、さっそく1番の歌詞から見ていきましょう。

「Dear Mr.Lonely oh tonight
一人言だよ I Just cry
Dear Mr.Lonely oh tonight
もう 壊れそうさ」

「いつも愛は心つらぬき
ひざを落とす 僕を打ち続けた
それでも 君を見つめてた」

「たとえ空がひび割れて 嘘を落としても
信じることをやめない
MY Mr.LONELY HEART」

歌詞としては、自分の孤独な心を外部化して語りかけるということになっていますが、「僕」と「君」との客観的な関係がどうなっているのかわからないので、それこそ一人言なのかもしれません。
でも、詩人にとって愛は心を貫き、ひざを落とす「僕」を打ち続けるようなものだと語られます。
それでも「君」を見つめてたという孤独な心を逆説的に表してもいるわけです。
続いて2番の歌詞を見てみましょう。

「たどり着いた朝
待ち伏せしてる 季節」

「人はもう一度
咲いてみたい花」

「時に冬は 幸福模様で
春の衣装 躯につけながら
何度も寄り添う振りした」

「僕には君しかないよ
愛に凍えても
夢の中のふるさとは 燃える夕陽」

たどり着いたことの意味はよくわかりませんが、待ち伏せしてる季節は冬なのでしょう。
そんな冬の中でも春の衣装をまとって寄り添う振りをしてでも、もう一度花を咲かせたい、「君」と恋に落ちてみたいということなのでしょう。
冬だから「愛」に凍えても孤独な心には燃える夕陽があるのですね。
また、歌詞の続きを見てみましょう。

「眠れない夜 息が詰まる夜
傷を押さえた LONELY HEART
熱い吐息が 胸を走る度 君を浮かべた」

「僕には君しかないよ
愛に凍えても
夢の中のふるさとは 燃える夕陽」

「僕には君しかいないよ 愛に凍えても
信じることをやめない
MY Mr.LONELY HEART」

孤独な心は眠れない夜や息が詰まる夜の傷を押さえることができたんですね。
もう、ここまで来ると信念に近いものを感じますが、外部化されていない本当の「僕」は非常に傷つきやすさを持っているのかもしれませんね。

これは逆説的な邪推かもしれませんが、「僕には君しかない」とは、「君」には「僕」以外に選択肢があるという不安が潜在的にあるのだと思います。
私も若い頃は、弱い自分の中に芯の通った信じる強さみたいなものを感じ取っていた気がします。
それでも、人はどこかの時点で限界や別の選択肢があることに気がついて、信念一辺倒ではなくなることでステップアップするのかもしれませんね。

今週も最後までお読みくださりありがとうございました。
私も白血病の長期入院のため筋力低下が著しく、少し焦っていますが、少しずつでも筋力アップを頑張ろうと思っています。
読者の皆さんもコロナ禍で苦しい状況とは思いますが、ご自分の体と相談しながら体力維持に努められることを願っております。ではまた。


『ファイト!』 作詞:中島 みゆき

2021-09-04 09:20:00 | 歌詞を味わう
リリース:1994年

今週も当ブログを訪問いただきありがとうございます。
今回は中島みゆきさんのヒット曲『ファイト!』を取り上げます。
さっそく1番の歌詞を見てみましょう。

「あたし中卒やからね 仕事をもらわれへんのやと書いた
女の子の手紙の文字は とがりながらふるえている
ガキのくせにと頬を打たれ 少年たちの眼が年をとる
悔しさを握りしめすぎた こぶしの中 爪が突き刺さる」

「私 本当は目撃したんです 昨日電車の駅 階段で
ころがり落ちた子供と つきとばした女のうす笑い
私 驚いてしまって 助けもせず叫びもしなかった
ただ恐くて逃げました 私の敵は 私です」

「ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ」

女の子は転がり落ちた子どもと突き飛ばした女に遭遇してしまったのですね。
それで助けもせず、叫びもせず恐くて逃げたんですね。
確かに子どもを助けたり、駅員に知らせるなどできたでしょう。
そうできなかった自分を「私の敵は私」と責めています。
ただ恐くて逃げた。そう判断をせざるを得ないほど、女の子はハラスメントや暴力を体で覚えてきた。
一体誰が女の子を責められるだろうか。
続いて2番の歌詞を見てみましょう。

「暗い水の流れに打たれながら 魚たちのぼってゆく
光ってるのは傷ついてはがれかけた鱗が揺れるから
いっそ水の流れに身を任せ 流れ落ちてしまえば楽なのにね
やせこけて そんなにやせこけて魚たちのぼってゆく」

「勝つか負けるかそれはわからない それでもとにかく闘いの
出場通知を抱きしめて あいつは海になりました」

「ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ」

魚に例えた比喩的表現ですが、鮭の遡上なんかを思い浮かべれば状況がわかりやすいかな

「薄情もんが田舎の町にあと足で砂ばかけるって言われてさ
出てくならおまえの身内も住めんようにしちゃるって言われてさ
うっかり燃やしたことにしてやっぱり燃やせんかったこの切符
あんたに送るけん持っとってよ 滲んだ文字 東京ゆき」

「ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ」

「あたし男だったらよかったわ 力ずくで男の思うままに
ならずにすんだかもしれないだけ あたし男に生まれればよかったわ」

「ああ 小魚たちの群れきらきらと 海の中の国境を越えてゆく
諦めという名の鎖を 身をよじってほどいてゆく」

「ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ」

「ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ」

「ファイト!」

ここでは、田舎での疎外のエピソードと、男に生まれれば力づくで男の思うままにならずにすんだかもというエピソードが語られています。
どちらも深刻なハラスメントや暴力がまかり通った状態とも言えます。

こうした身近なハラスメントに立ち向かうのに、「ファイト」と背中を押してあげるのも必要でしょうが、ハラスメントを受けた方は恐怖体験がプログラミングされてしまっているから積極的なサポートが必要だと思うの。

しかし、もっと広い視点で見てみると、貧しい者どうしが分断され争わされているという見方も必要。その裏で誰が漁夫の利をむさぼっているか、特に争っている者は気づいてほしい。

今週も最後までお読みくださりありがとうございました。
コロナ禍はまだまだ続きそうです。
どうぞご自愛くださいね。