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[自動車大百科]目に見えない技術「空気抵抗係数」

2011年01月22日 05時58分59秒 | その他
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風洞実験室のボルボの風洞実験室。人と比較すると途方もない大きさを感じることができる。時速250km/hの風を作ることができる8.2メートル、5メガワット級のファンがついている。<写真=ボルボコリア>

高速道路を走って窓を開けると、騒々しい風の音と共に強い圧力を感じます。これが風の力です。車が空気を切って走るからです。通常、速く走る姿を表現するときに「風を切る」という表現を使います。風にしても空気にしても目には見えないのに、速く走るほど車は巨大な圧力に耐えて力で切り開いていかなければなりません。これをどれだけ効率的な車に作成できたか示す数値がまさに「空気抵抗係数(Cd)」です。

空気抵抗がどのくらいすごいことに?

子供の頃読んだ本の「空気の大切さ」についての話を思い出します。要約すると、目に見えないけれど私たちが息をするのに非常に大切だという話です。当たり前ですが、目に見えないから気にせずにいられるということです。車の空気抵抗係数も同様です。目に見えないから、実際に空気抵抗がどのくらい凄いかを想像すらできないことがあります。しかし、空気抵抗係数に関するいくつかの既知の事実を見れば、車の走行に大きく作用することがわかります。

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ボルボの風洞実験ボルボC30 STCCの風洞実験の様子。強い風と一緒に白煙を送り、風の移動経路を確認するプロセスである。<写真=ボルボコリア>

一般的に空気抵抗係数は、自動車の速度の二乗に比例します。つまり、時速80kmで走るときに空気抵抗の強さが30kgと仮定すると、速度が時速160kmになると空気抵抗は約120kgになります。速度が二倍に増えれば、二倍の二乗で四倍の抵抗が加わることになります。空気抵抗係数が10%低くなると、つまり、空気抵抗を10%減らすと、燃費は2%程度良くなります。また、自動車の最高速度もエンジンの力、効率、空気抵抗、車の面積を基に算出することができます。それだけ空気抵抗が車に与える影響が大きいのです。空気抵抗が既に自動車を作るときに重要な要素として作用する理由です。

空気抵抗係数がずっと1位だった大宇「エスペロ」

空気抵抗係数が低い車は燃費が良いです。抵抗をあまり受けなければ大きな力をかけずに走ることができるので当然の結果です。だから自動車メーカーは、空気抵抗係数を減らすために多くの努力をしています。エンジンの力を強くしたり車の重量を減らすのに劣らず重要な要素として、空気抵抗係数を挙げています。

だから自動車メーカーは、「風洞実験室」を持っています。現代自動車も、1999年に450億ウォンを投じて南洋研究所の風洞実験室を完工しました。研究所内で最も高価な研究施設です。マンションの3階の高さの8.4mの送風機で時速200kmの風を出力します。風洞実験室の完成で、一日5000万ウォンかけて外国で実験していたことを、国内でできるようになりました。それだから現代自は、ジェネシスを発売した時に、空気抵抗係数が0.27であることを強調しました。空気抵抗係数は0から1までの数値で表され、0に近いほど空気抵抗を小さく受けます。

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現代自グレンジャーの風洞実験。現代自動車南陽(ナムヤン)研究所に作成された風洞実験室でグレンジャーの試験をする姿。風洞実験室は、ナムヤン研究所内で最も高い実験室に数えられる。<写真=現代自動車>

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大宇エスペロ。1990年に大宇自動車が出した準中型セダン。1997年に廃止された。当時としては画期的な空気抵抗係数0.29Cdを記録した。ジェネシスの0.27Cdが出るまで、空気抵抗係数では国内トップの座を守った。<写真= wikipedia>

現代自が誇るジェネシスの空気抵抗係数0.27は、事実かなり低い数値です。ベンツのS550、インフィニティのG35セダンなどが0.27Cdを記録し、ほとんどの乗用車は0.3前後、SUVは0.35程度です。もう一つ、国産車の中で空気抵抗係数が非常に良い車がありました。大宇エスペロです。1990年に登場してから20年が過ぎました。しかし、空気抵抗係数は0.29で、ジェネシスがリリースされるまで国産車の中で1位の座を守りました。空気抵抗係数が低い車を見ると、ほとんどが速そうな車体だと思いつきます。

ジェネシスよりも空気抵抗を受けるのがフェラーリ?

ところが、面白い事実があります。速さなら唯一無二ともいえるイタリアの高級スポーツカー「フェラーリ」。その中でもフェラーリF50の空気抵抗係数はなんと0.37Cdです。ジェネシスより0.1Cdの差があります。何か変ですね? 明らかに顔付きも速そうで、スポーツカーの代名詞と呼ばれる車がどうして空気抵抗係数は高いのでしょう?

その答えは、車を作った目的です。空気抵抗を減らして燃費を向上させることなのか、あるいは空気抵抗を利用してより安定的に動くのかの違いです。すなわち、ジェネシスは燃費を高くしてスムーズな走行のための車で開発されたものです。一方フェラーリは、空気抵抗を利用して、安定したコーナリングや高速走行を実現しました。

空気抵抗を利用して安定した走行をするとはどういうことでしょうか? 一般的に高速走行をすると、車が飛ぶようだと言われたりします。空気の力で車が聞こえたりします。実際にレーシングカーはあまりにも速く走り、空中に飛んでしまったりしています。このような現象を減らすために、飛行機の翼を逆さまにした形の「スポイラー」を装着しています。これによって空気抵抗を利用して車を押します。その力を「ダウンフォース」と呼ばれます。

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フェラーリスーパーカーF50。フェラーリF50の空気抵抗係数することは0.372Cdだ。意外に高い数値。しかしスポーツカーは、高速で安定したドライビングのために空気抵抗を使用する。<写真= wikipedia>

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0.212Cdの空気抵抗係数を持つ「Tatra T77A」。チェコ共和国で1935年に作られたTatra T77Aは、最新型のベンツよりも低い0.212Cd。初めてのエアロダイナミックデザインで、当時として革新的な空気抵抗係数を記録した。<写真= wikipedia>

スポイラーだけでなく、フロントバンパーの形状も空気抵抗に大きな影響を与えます。ヘッドライトの間のラジエーターグリルの形状、バンパーに開けられたエンジンにつながる風穴なども空気抵抗を考慮して、エンジンの冷却を考慮する原理が隠れています。

スポーツカーは、高速でも安定して走るために空気抵抗を利用しているのです。そのために燃費が悪くなっても。不足した力はより強力なエンジンを利用して補充しています。高速走行に最適化されたF1マシンたちも空気抵抗を利用しています。基本車体は空気抵抗係数が非常に低く設計されています。しかし、エンジン出力と車体が走る速度を考慮してコーナリング、加速、停止時の空気抵抗を利用しています。フロントバンパーもスポイラーを装着し、後ろには大きな大型スポイラーを装着することで、高速でも車が浮きあがりません。だからジェネシスのような乗用車が機敏なスポーツカーに比べて空気抵抗係数が低いのです。

空気抵抗を減らし、騒音を減らす

空気と車がぶつかって走ると、その過程で必然的にノイズが発生します。高速道路を走って窓を開けてみれば大きな音がするのが、空気の騒音です。ところがこの騒音は、自動車の形態に応じて異なります。だからサイドミラーの形状が特定のスピードで騒音を引き起こすかどうか、高速で窓を開くときに過剰な騒音を発生しないことを、実験によって改善することになります。だから自動車は、メーカーによって作成されたイメージのままが最適の状態と言えます。いわゆる「バイザー」をはじめとしたアクセサリーを付けると、不明な騒音の原因にもなります。

また、自動車の形状に応じて、空気が逆回転して「渦」が生じることもあります。普通の後ろが平らになっているハッチバック乗用車やSUVなどの空気は、水が流れるように通らずに車の後ろで渦を起こして再び戻ってきます。だからこれらの車は、後部ガラスのワイパーがついています。乗用車は後部ガラスを空気が過ぎて、雨水も同じようになりますが、渦が生じる車は強制的に拭かなければならないためです。


ソース:京郷新聞
2011/01/21 10:33:07


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