
「カエサルの世界」は今回で2228回目くらいになると思うのだけど、そうした中で、SFというのは初めてだと思います。
自然科学ではなく、社会科学分野でのSFです。テーマは「家族」です。近未来での、あるいは異世界での「家族」の在り方を考えてみようと思っています。
現実社会での話ではないので、十分に留意してください。また、「そうあるべきだ」というのではなく、「そうだったらどうなるのだろうか」ということを考えてみただけだということもご理解ください。
そうしたことをきちんと理解しておいてもらわないと、今回の記事、かなりインモラルな内容ということになってしまうかもしれません。

この地球でのヒトの社会は、数百の州に分かれていて、各州には数十の市があって、各市には十くらいの区があるということにします。「国」というものはありません。実は、このへんのところはどうでもいいのだけど、要するに、「我々の住んでいる地球」とは違うということを言いたいわけです。

その言い方でわかりにくければ、「この地球では、親は子育てに関知しない」と言った方がいいかもしれません。
女性は、妊娠すると州立産院に入り、出産すると日常生活に戻ります。
生まれた子供は、州立産院から州立乳児院、州立幼児院、州立小学校へと移っていきます。
典型的な例を示すということで、いちいち「州立」とつけていますが、当然、市立や区立のものもあります。ただし、私立のものはありません。私立には学費などが必要になるわけですが、この地球で生まれた子供たちには学費を払ってくれるような「親」がいないからです。
遺伝的には親子関係が存在し、戸籍上にも記録され、管理されていますが、我々の住んでいる地球で言うところの「親子」というようなものはまったくないと言っていいと思います。

具体的な例を示すことによって説明したいと思います。
たとえば、25歳の男性Aと20歳の女性Bが結婚したとします。この時点では、一夫一妻の夫婦です。
この5年後、Aは30歳、Bは25歳になっているわけですが、このBが20歳の男性Cと結婚します。この時点で、二夫一妻の夫婦になります。
さらに5年後、Aは35歳、Bは30歳、Cは25歳になっているわけですが、そのAとCが20歳の女性Dと結婚します。二夫二妻の夫婦になります。
こうしたことが繰り返されると、「連鎖式の多夫多妻」ができていきます。
さらに50年後ということを考えてみると、男性A85歳、女性B80歳、男性C75歳、女性D70歳、男性E65歳、女性F60歳、男性G55歳、女性H50歳、男性I45歳、女性J40歳、男性K35歳、女性L30歳、男性M25歳、女性N20歳という7夫7妻の夫婦が成立することになります。こういうのが、この地球での夫婦ということになります。同時に、家族であり、家庭であるということになります。
14人もの人が一緒に暮らすということになると、かなり大きな家が必要になります。しかし、働き盛りの人が何人もいて安定した収入が期待できるし、リタイアした世代にもそれなりの資産があるでしょうから、経済的な問題はないように思えます。
妻たちは、妊娠すると州立産院に入りますが、出産した後は夫婦だけの生活に戻ることになります。この地球での家族・家庭は、あくまでも夫婦だけで構成されるというのが基本です。
ちなみに、この例では、5年おきに、男女交互に結婚するということにしましたが、あくまでも例です。この他にもいろんなパターンが考えられると思います。離婚したり、再婚したりということもあると思います。あるいは、複数の家族間でトレードなんてことがあるかもしれません。

我々の住んでいる地球の常識からすると、かなりインモラルな状態と言ってもいいと思うのだけど、有性生殖の「多種多様な子孫を遺す」という観点からすれば悪いことではないように思えます。
妻どうし、夫どうしの関係はどうなるのかを考えてみると、友人どうしというか、先輩・後輩みたいな関係になるのではないかと思います。まあ、異性間にしても同性間にしても、想像しかねるところばかりですけど、うまくいけば非常にうまくいくという気がするし、その逆の場合を考えると、恐ろしいことになるような気がします。そういうことにならないように、新しい夫や妻を迎えるときには、家族全員での真剣な話し合いがされることになるだろうと思います。
我々の住んでいる地球での家族は親子関係を中心にしているわけですが、子は親を選べないし、親だって子を選べません。そのことに伴うトラブルが日常茶飯事として起こっています。この地球では、新しい家族を選ぶことができるわけで、そうした意味では、悪いことではないような気がします。
家族内での経済関係については、基本的には個人の資産が担保されていて、それぞれの経済力に応じて共同生活のための出費をするという形になるんじゃないでしょうか。「家長」のような人がいて、その人が放蕩三昧をしたために家がつぶれてしまうなどということにはならないと思います。家がつぶれるとすれば、新しい夫や妻として入って来てくれる人がいなくなっちゃうような場合でしょうかね。

州立産院があり、州立乳児院があり、州立幼児院があるというところまではいいと思うのです。ダメだと言う人もいると思いますが、この地球は、我々の住んでいる地球とは違うのです。いいということにさせてください。ここで問題にしたいのは、こうして育てられてきた子供たちが、いつ、どのような形で個人として独立していくかということです。
州立小学校(6年制)については、基本的に全寮制ですが、ホームステイが導入されるということにしたいと思います。低学年のうちは短期間、高学年になるにつれて長期間のホームステイが実施されるということにしてもいいと思います。子供たちには遺伝上の親があり、その親の属している家族があるわけですが、子供たちのホームステイ先については、そうした家族をあえて避けるということにしたいと思います。「親子関係」の排除を徹底するわけです。大前提の繰り返しになりますが、そうした方がいいと言うわけではありません。そうしたらどうなるだろうかを考えたいわけです。
州立中学校(6年制)は、ホームステイが基本ということにしていいと思います。ただし、その配属のしかたなどについては考えてみなければなりません。各家庭では優秀な生徒(もちろん、学業成績が優秀ならばいいということではありません)を欲しがると思いますし、それぞれの生徒は裕福な家庭(もちろん、経済的に裕福ならばいいというわけではありません)を望むと思います。お互いに、選び、選ばれるということが必要になってきます。それぞれの家庭がしょっちゅう学校訪問をして、子供たちと頻繁に接触できるようなしくみが必要になると思います。
州立中学校を卒業したら、「成人」として扱われるいうことにします。成人したら、職業人として働き始めてもいいし、大学などに通ってもいいのだけど、基本的に、自活していかねばなりません。我々の住んでいる地球と違って、「親のすねをかじる」といったようなことはできません。こうした若年層のために、州立独身寮のようなものを確保しておく必要があると思います。
大学に通うような場合は、どこかの家庭にホームステイするのが一般的になると思います。生活費や学費なども、その家庭から援助してもらいます。もちろん、そうした援助を受けず、州立独身寮住まいをし、働きながら大学に通うような場合もあると思います。逆に、働くようになっても、ホームステイを続けるという場合もあると思います。
成人後もホームステイをしているという場合、数年後には「結婚」をして、その家族の正式な一員になるというのは自然な流れだと思います。寮住まいで生活していた人が結婚をする場合でも、結婚する前にはホームステイをしてみるというのが自然でしょうか。
もちろん、大家族の一員として結婚をするのではなく、若い二人だけで結婚して、自分たちから家族をつくり始めるという場合もあると思います。まあ、その他にもいろんなパターンがあると思います。
この地球の人々は、子供たち(州政府に養育されている)、既婚者(家族がある)、独身者(家族がない)に3区分されることになる・・・と、まあ、そこまで考えてみました。

いくつものデメリットを思いつくのだけど、それをカバーするための方策を考えることは難しくありません。いくつものメリットも思いつくのだけど、本当にうまくいくのかどうか、検証を重ねていく必要があります。いずれにしても、本当にそうなったら、実際にはどうなるのかということを考え続けねばならないわけです。
このようなことを考えて何になるのかというと、たぶん、何にもなりません。あくまでも、考えてみただけです。現在進行形で考え続けているわけですけど、ブログの記事としてはこのへんにしておきたいと思います。
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