「楽園」 宮部みゆき(著)
この作品は
模倣犯の続編である。
前作よりグロさは少ないものの、
全編を通してドキドキ感やハラハラ感は限りなく続く。
一読者である私が言うのもなんなのだが、
前作に比べ文章がすごく洗練されたと言う感じ。
「摸倣犯」そして「楽園」と読むことがオススメ
そしてここでもう一つ、
宮部氏の作品に、「長い長い殺人」というのがある。
1989年に発表された「模倣犯」「理由」の原点となるものらしい。
(昨年ドラマ化されたことを今知った)
原点であるどころか「模倣犯」は「長い長い殺人」の模倣だ。
ま、同じ作者の手によるものだから罪はない。
「模倣犯」が長編であるあまり、読む気にならないという人は、これを読めばOK
実は、私はここでかなりの勢いでガックリしたのだ

そりゃ、音楽にしても絵画にしても「個性だ」と一括りにしてしまえば作風も似通ったものでも構わないかもしれない。
「模倣犯」であれほど感動させていただいたのに。。。
となれば、未読である「理由」に賭けるしかない。
近々読もう
「木もれ陽の街で」 諸田玲子(著)
以前ここで紹介した
狸穴あいあい坂の著者。
時代ものしか書かない人だと、思い込んでいた私。
時代は戦後。
主人公「公子」さんが味わう恋模様
読みながら、ふと、いつかこれと良く似た話を読んだか、聞いたか?
数年前までお正月明けに「女正月」シリーズのドラマが毎年放映されていたこと、覚えていないだろうか。
私も記憶が曖昧で申し訳ないのだが、
確か、久世光彦氏の監督で、
加藤治子がお母さん、田中裕子が長女役、謎の男が小林 薫。
そしてエンディングは小林亜星の物悲しくもセンチメンタルなピアノの調べ。
そうそう、今、ソフトバンクのCMに流れているあの音楽
そう、あのドラマが頭をよぎるのだ。
時代背景も登場人物も、陰を背負った分けのわからぬ謎の男と恋に陥る長女と。
諸田氏がこのドラマを知ってか知らずか、
(女正月の原作は向田邦子氏だもの、きっとご存知のはず)
私にはとても近しい設定だと思うのだ。
しかし、女正月ほどおぞましくはなく(笑)爽やかである。
確信の持てる筆致と文体。
懐かしくもあり、正しくもあり、そうした感慨を私に与えてくれた貴重な一冊。
違和感なく読み進められる作品である。
「霧笛荘夜話」 浅田次郎(著)
「霧笛荘」に住む心優しい住人の話。
浅田氏の作品は「地下鉄に乗って」以来、2作目である。
これにも感動したし、映画も見た。
表装がとても美しい。
短編からなる連作集。
初出から10年をかけての完成。
彼の文体はとても柔らかで、優しくて、少し切ない。
「幸せな暮らしは似たり寄ったりだけど、
不幸のかたちは千差万別」
人生の真理だと、言い得て妙だと。
こんな言葉に出会えることが読書の醍醐味