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とまぴーSTYLE

よく食べ、よく笑い、よく遊び♪
元気が一番!
今日も豊かな一日になりますように・・・

「ホテルローヤル」

2013-11-08 22:59:06 | 



桜木 紫乃(著)

     湿原を背に建つ北国のラブホテル。
     訪れる客、経営者の家族・・・それぞれの人間模様。

ラブホテルが舞台だからと、妙な期待を持って読み始めるとぎゃふん!となります(笑)

読み進めるうちに、ぐっと胸迫るものがあります。
中盤辺りからどんどんよくなる。

どの人生も生活も平坦なものではなく、
他人から見れば、見過ごしてしまう日常であるけれど、
誰もが一生懸命で、そして、孤独で。

暗い小説ではありません。
だからと言って夢や希望に溢れる、そんなお話でもありません。
生きることに必要不可欠な「諦め」・・・全編にその空気は漂っています。
それを「暗さ」と言う人もいるでしょう。
しかし「諦念」は「暗さ」ではありません。
諦めることで見えてくるものや、わかることはたくさんあります。
言い替えるなら「明日への灯」かもしれません。
この感覚は私くらいの年代になって、多くを振り返りながら得られるものかもしれませんね。

七つの短編の連作になります。
私が好きだったのは「えっち屋」「星を見ていた」

大きな賞を受賞した、と言う前評判はともかくとして、
一つの小説として読んだほうが随分と楽しめそうです。


いつもだけど、いい小説に出会えるなぁ♪


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「もう切るわ」

2013-10-30 22:21:06 | 




井上 荒野(著)

     もうすぐ死んでいく男の妻と愛人。
     男が死んでいくまでの三人の心情が描かれる。

こうした「お招き文」を読むと、ぐぐっとそそられてしまいますね。
私もそうした一人であったことは否めません(笑)
まんまと引っ掛かりました。

男の名前は「歳さん」
これが、女心を掴むようないい男!
ふわふわしていて、だらしなく、どこか少年ぽく、
でも、しっかり大人のであって。
「女たらし」がぴったりで。

読みながら、この感覚、どこかで・・・

江國香織さんの作風を感じてしまいました。
江國さんほどぐたぐたでとりとめのない男女ではないのですが。

「もう切るわ」

「スイトルヨ」

どれも意味深ですよね。
そんな意味深な言葉が作中でさらりと使われている。

言葉選びの上手な作家さんです。
とてもお洒落な小説です。


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「下町ロケット」

2013-10-28 22:52:12 | 
池井戸 潤(著)

    元ロケットエンジニアの主人公がロケット打ち上げの失敗の責任を取って研究所を辞めた後、
    親の町工場を継ぎ、
    企業間の戦い、そして「生きることは?」と問いかけながら夢への挑戦を目指す。




「倍返し!」の半沢直樹のイメージはなく、
むしろ直樹の実家を彷彿させる。

私は半沢直樹の原作はまだ読んでいません。
この著書が初めてです。
勢いもさることながら、読みながらの緊張感は並大抵ではありません。
一気に読みたい!
でも、もったいない!(笑)

大手企業と中小企業の町工場。
町工場が主人公だから、大手ってずるい奴だなぁと思ってしまう。
でも、私たち一介のサラリーマンからすれば、町工場の社長も羨ましく思えてならない。

その社長にも夢があるのだ。
自分の夢の実現と、
工場、従業員、そして従業員を守らねばならぬ、そのせめぎ合い。

半沢直樹の時もそうだったけれど、
大人になると、社会に出るとそれぞれの立場があって、
誰が悪い、とか、誰がいい、と決められなくなる。
こういう読者っていけないのかなぁ。
勧善懲悪は小気味よいけれど、善と悪の区別って何?

若い時分の読書感とはずいぶん違う。
年を取れば取っただけ人生の経験も多様化し深くもなる。
表だけを読むには手薄だし、
だからと言って深読みすると素直に感動は得られない。

結局、私はレビューが得意ではないのかもしれない(笑)何を今さら(笑)
上手にレビューを書く人、羨ましい。
どうなんだろ、私は(笑)

でも、本が好きだから仕方ない。
文字が好きだから仕方ない。
書くことが好きだから仕方ない。

きっと、数日もするとまたレビューを載せるに違いありません(笑)
レビューではなく私の「読書メモ」くらいに思ってください。

話が脱線しましたね。
「下町ロケット」面白かったです。
老若男女を問わず、楽しめます。
裁判とか特許とか、ロケットのバルブとか、一見難しそうな語句が出てきますが、
決してそれ専門的なお話ではありません。
池井戸氏の上手いところか、難解な部分はサラッと書き流しています。
アレルギーを起こしそうになっても諦めずに読み進めて下さい。
スカッとします(笑)
大変気持ちいい。

すると、私もひとつ、夢を追ってみようかしらん~なんて勇気が湧いてきます。
仕事が楽しくなるかもしれません。
生きることも楽しくなりそうです。


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「きりこについて」

2013-10-02 19:24:55 | 



西 加奈子(著)


     きりこは、ぶすな女の子。
     だけど両親にとても可愛がられて育ったため、自分がぶすだ、なんて思ってもみなかった。


いい話でした。
とにかく面白い。
そして美しい。。。そう、美しいのです、このお話。
世の中にこんなに面白く美しい小説があるだなんて、私はまだまだ井の中の猫(笑)

うつうつ、めそめそ、ぐずぐず、もんもん・・・
そんな言葉が吹っ飛びます。

「うっとり」

この言葉が、この小説のキーワード。
とても好きです。

全ての人々への応援歌です。

きりこを取り巻く友人知人。
極端すぎる登場人物、と思うかもしれないけれど、
案外と私の身の回りにもそうした極端な知人友人が溢れているのです。
あの人もこの人も。
と言うことは、実は私も含め全員が極端な生き物であって、
その極端さが突出しているかしていないかの差であるだけで。

私は私でいいんだ。
私を愛していけばいいんだ。
でも、自分を認めるのは難しい。

小さなことでいろいろと考えをめぐらし、
ああでもない、こうでもない、なんてぐるぐる同じところを行き来していた私って馬鹿みたい(笑)
自分らしく、自分を認めて生きてもいいのよね。
強くなりたい!
強くなろう!
そして「うっとり」できるものを一つでもたくさん見つけよう。





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「通天閣」

2013-09-28 08:58:38 | 


西 加奈子(著)


     通天閣近くに暮らす中年男「俺」と、
     若い女性「私」の生活が交互に描かれていく。



この世界には多くの人々が暮らし、生きている。
その生き方は様々であって、何が正解か誰にもわからない。
私の生き方だって、他人から見れば不可解なものかもしれないし。
でも、私だけじゃない、私だって皆だって一生懸命生きている。

辺りをどう見回しても、
私の周辺には作中人物誰一人として心当たりがない。
私が気づかないだけかもしれないのだが。

最初のうちは眉間にしわを寄せながら、ではあったが、
次第に読み進めるうちに、段々と彼らとの違和感が薄れ始め、
それどころか、身近な存在に変わっていくのだ。
彼らが小説から飛び出し、生身の人間になっていく。
体温を感じ始める。

ぐだぐだで、享楽的で刹那的で、破壊的で。。。
日々を生きる、だなんてきれい過ぎる言葉だと、
日々をこなす、が、しっくりくる。
自分のことしか考えずに生きている。
愚痴を言い、悪態ついて暴れまわる。
でも、そうそう、わかるな~って共感してしまう。
嫌いではなく、共感。

型にはまった毎日から抜け出せる作品。
こんな生き方あるのかな。
あるのだよ。
ありなんだ。






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「和菓子のアン」

2013-09-17 18:25:12 | 


坂木 司(著)

デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)
彼女が職場で経験するささやかな事件を通して少しずつ成長していく。
青春ライトミステリー。


私は「あんこ」好きで、お餅も好きだ。
寒天も、求肥も、葛も小豆も抹茶も。

和菓子って職人芸なのです。
そして、ご存知の方もおられると思いますが、和菓子には一つ一つにちゃんと名前があるのです。
名前の由来のエピソードも。

和菓子屋さんのスタッフが個性豊かな人ばかりで、
彼女とのやり取りが面白い。
でもって、アンちゃんもすこぶる「いい娘さん」なんだな。




(yahoo画像からお借りしました)

左上から「紫陽花」「水流(渦巻き)」「菊」「水鳥」「紅葉(こうよう)」

和菓子を見ながら私なりに考えイメージしました。
違ってたらごめんなさい(笑)
でも、そう言われると、そんな感じがするでしょ?



mayuが隣の山口市のデパートで開催された「京都展」にて買い求めた和菓子。
これは葛であんを包んだもの。
夏らしい和菓子で、つるりとしてひんやり。



きなこクリームを求肥で包んだ和菓子。
大納言が3つ入ってた。

これらは近代の創作和菓子なのでしょう。
和菓子も変化をし続けるのですね。

守るものと変化、進化するもの。
和菓子の文化も奥深い。


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眠い

2013-07-28 00:55:00 | 
あと、
10ページだというのに、
眠い
眠くてたまらない
結末が気になるけど
ダメだ
文字を追えない

おやすみ
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「舟を編む」

2013-07-25 20:35:14 | 
三浦しをん(著)

     玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、
     新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。

馬締・・・「まじめ」と読みます。
そう知っていながら、私は作中ずっと「ばていさん」と呼んでいました。

言葉好きな私にとっては、とても興味深く楽しい小説でした。
三浦氏の魅力が余すところなくちりばめられて。

香具矢さんの「夜這い」のシーン(そう言っていいのか?)は、ちょっと唐突で、場面展開について行けませんでした。

馬締さんは、三浦氏の好むところの男性でしょう。
私も好きです。
そして西岡さんも好きです。

松本先生の話、そして「大渡海」完成のくだり、泣いてしまった。
本当に私って単純だわ(笑)

実家には、物心つく頃から岩波書店の「広辞苑」がありました。
それなりに国語辞典は持っていましたが、
何かの際には「広辞苑」を引っ張っていました。

そして大学入学の時に、父が「広辞苑」を贈ってくれました。
4年間、ずっと私のそばにいましたし、お嫁入りにも持ってきました。

今は「広辞苑」第6版があります。
これは発刊当時、長男が私の誕生日にプレゼントしてくれました。

「舟を編む」を読んで、編集者さんの御苦労もさることながら、
印刷屋さんの御苦労も知りました。
そうですね、「ぬめり感」大切ですね。

東京土産の「東京ばなな」をお礼に、明日には美容院にお返しに行きましょう。

実のところ、手元に置いておきたい一冊なんですけど(笑)



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本が好きだから

2013-07-11 23:10:01 | 
好きなものは大切にしたい。
大事に扱いたい。

またまた美容院に行った時に出会いました。
そう!
私が読みたくて読みたくてたまらなかった本に!

「舟を編む」です。
いまさら!ですか?(笑)
はい、いまさらなんです。
図書館での予約なしの偶然で、この本との出会いを心待ちにしていました。
でもでも、出会っちゃったのです!

ケープをかけてもらいながらも、気はそぞろ。
「あれ、貸していただけますか?」
身をくねらせながらお願いしたところ、「何日でも!」との快いお返事。
うひゃうひゃ喜び勇んで帰宅しました。

大好きな本。
大好きな作家さん。
ずっと読みたかった本。

必ずブックカバーをかけます。
以前は手作りのブックカバーを使っていましたが、ボロボロになってしまって。。。
また、お気に入りの布で縫おうね。
この最近は包装紙で作っています。



四辺を畳むだけの簡単なカバーです。



背表紙を差し込むと。。。



完成!(笑)

これで扱いもきれいにできます。

中学一年生の時の現代国語(今はそんな呼び名はないのかしら?)の先生が、
一番最初の授業の中で、カバーの折り方を教えて下さいました。
「本は大切に扱いましょう」と。
それ以来です、こうしてカバーをかけるのは。

その先生もきっと本がお好きだったのでしょうね。
はい、私もこの通り「本好き」な大人に成長しました!

大人になった今なら、その先生といろんな話ができるのだろうな。。。



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「また次の春へ」

2013-06-25 23:31:19 | 
重松 清(著)

震災によってもたらされた喪失の悲しみと再生への祈りを描く、7つの小さな物語。

     

私は山口県に住んでいます。
その日、私は職場の休憩室でテレビによって震災を知らされました。

「何?何なの?」

同じ日本なのに、とても小さな狭い国土なのに、
遠い遠い国の出来事のよう・・・


ごめんなさい。
何もできずに、何も知らずにのうのうと生きている私。
ごめんなさい。
どんなに言葉を連ねても、どんなに涙を流しても、どんなに心を痛めていたと叫んでも、
私は当事者じゃなかったのです。

私は、どの話にも涙しましたが、
とりわけ、カレンダーのお話の「記念日」、写真を探す「五百羅漢」に大泣きでした。


何があっても何が起ころうとも、
「また次の春」がやってくる。
そう思えるまでに時間は必要かも知れないけれど、
これまでの「春」とは違っていても、
きっと「春」はやってくる。



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