goo blog サービス終了のお知らせ 

とまぴーSTYLE

よく食べ、よく笑い、よく遊び♪
元気が一番!
今日も豊かな一日になりますように・・・

「恋肌」

2015-01-19 20:12:45 | 
桜木紫乃(著)

北の国を舞台に、どうしょうもない男と、
そんな男を許し、枯れた心をもて余す女のお話を、
性愛を絡めて六つ。

暗い、とか、物悲しいなど、ネガティブな書評を背負う作者、桜木さん。
私はこの小説、とても気に入ってる。

「ホテルローヤル」で脚光を浴びた。
その時もネガティブな書評がたくさん。
いやいや、こっちの方がもっとネガティブ(笑)

「恋肌」は異国の女性の佇まいが切ない。
「海へ」は二人の男の対比に泣かされた。
一番好きなのは「フィナーレ」
ストリッパーの話だ。

桜木氏の小説は苦手、という人は多いかも、と思うのだ。
人生も生活も愛も千差万別。
ひとくくりにはできにくい。
どろどろしていて、どうしようもないもの。
そこから抜け出そうとしてもがく、あがく。
手探りで、覚束ない足取りで前に進む。
転んで汚れて、疲れて諦め果てようが、それでも這ってでも前に進む。
しかし、抜け出したとしても、その先に光があるとは限らない。
惰性と癖がどこまでもまとわりつく。

元気が無いときには元気の出る小説を、と言われるが、
元気が無いときほど、元気のない小説を読む方が元気が出る、と初めて知った。

私のどうしようもなさなんて、どうでもよくなる。
彼女ら彼らの心の内に寄り添うことで救われる。

秀作だと思います。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「遠くの声に耳を澄ませて」

2015-01-15 22:48:18 | 
宮下奈都(著)

短編小説が収められている。
後で知ったことだが、どうやら「旅」をモチーフにしているらしい。
私にとっては「旅」にこだわらず楽しく読めた。

「アンデスの声」よかったな。
「秋の転校生」も懐かしい気持ちにさせれくれる。

ブログのお友だちのレビューで知り得た作家さん。
「誰かが足りない」が出会い。
今となってはもう一度読まなきゃならぬ作品。
その後、「太陽のパスタ、豆のスープ」で彼女の食の豊かさを知り、
「メロディ・フェア」では女子の葛藤と成長を身近に感じた。
「田舎の紳士服店のモデルの妻」は、さらりと読んだ。
圧巻は「よろこびの歌」それに続く「終わらない歌」である。
実際には耳にすることができない歌声が、あたかも私の真横で奏でられているかのように届けられる。

作者は日常を慈しみ大切に思い、
そこから溢れ出る思いや感情を丁寧にすくいとる。
それが読み手に確実に届くのだ。
思いを共有できる。
本を閉じて眼を瞑り、
ふーと息をした後に、またページをめくりたくなるような、
一つ一つが大切な大切な文章です。

目立たない作家さんかもしれませんが、寡黙で実直な姿勢が好きです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

頭ん中、カーニバル♪

2014-07-13 00:22:25 | 
今回の台風は、当初はこちらにやって来る勢いでしたが、
日が経つにつれ進路を変えて直撃は免れました。
しかし、風の強さは尋常ではなかったです。
台風が来るのなら外出は無理だと判断し、
前日に図書館で本を借り、DVDもレンタルして万全の(何の?)体制で待ち構えること、準備万端。



「清洲会議」

折しもNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」と時を同じくしたとき。
「敵は本能寺にあり」から始まります。
娯楽映画ですね、ただ面白い。
余談ですが「軍師官兵衛」は、かなりの面白さです。
毎週日曜日が楽しみです。



「そして父になる」

取り敢えず、福山雅治さんの一人勝ちですね、アッパレです。
カッコよさが嫌みなくらい(笑)
だからか、逆にリリーフランキーさんが映えるんだな。
産みの親と育ての親、DNAか情愛か。
福山さんがもっと父だったら、この映画は別の方向に向かったでしょうね。
今になって父になるのは虫がよすぎるぜ、まったく。



「舞妓はーん」

なんだろね、私はヲサダも堤さんも好きだから、それだけで楽しめたけど。
これもテンポのよいドタバタでした。

小説の部・・・



「漁師の愛人」森絵都

プリン三部作は幼さや若さの勢いがぐんぐん読み手に迫ってくる。
このくらいのストイックさは、若者なら持ち合わせていると思う。
「あの日以降」は東北大震災を絡ませた作品。
女同志でハウスシェアすることから始まる物語。
友情もほどほどの距離感がある方が長続きするんだね。
「漁師の愛人」は妻子持ちとの恋愛の末、漁師町へ移住した紗枝。
二号丸と周囲から呼ばれ、なかなか町に馴染めない。
妻子持ちの男は嫌な男だと思った。
女々しさと狡さとしたたかさをない交ぜにしながら正妻と愛人の間を泳ぐ。
はっきりせーや!と唸ってしまった。



「さくら色 オカンの嫁入り」咲乃月音
これは秀作ですね。
いきなり大阪弁から入りますので、慣れるまで数ページ必要です。
登場人物すべてがいい人なんです。
男であれ、女であれ、惚れてしまう。
心が温かくなる。
涙溢れる話です。

いやぁ、こんなにたくさん見たり読んだりしたもんだから、
翌日は頭ん中、カーニバル♪お祭り状態(笑)
何かを考えようとしても、雑念が次から次へと頭に渦巻く。
思考の収集ができない。
リセットリセット!
真っ白にして柔らかくして、静かに思おう、考えよう。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「残り全部バケーション」

2014-06-29 20:21:11 | 
伊坂幸太郎(著)

どうして彼はこんなにも奇想天外な物語を産めるのか。
ひとつひとつが時空を超えてリンクしあい、
結末へと猛スピードで向かっていく。
最終話では泣いてしまった。
あまりにもカッコよすぎるぜ、溝口さん。

「友達になろうよ。ドライブとか食事とか。」

いやはや、今の私にはこのセリフは殺し文句ですね(笑)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ボックス!」

2014-06-26 23:51:50 | 
百田尚樹(著)

圧倒的青春小説決定版!だそうです。
運動の天才的センスを持つカブちゃんこと鏑矢義平と、
彼の親友である優等生で運動は苦手な木樽優紀。
この二人がボクシング部に入部するところから物語が始まります。

「ボックス!」とは、戦え!という意味です。
昔は「ファイト!」という掛け声で試合が始まっていましたね。

これは息子に薦められて読み始めました。
百田氏の作品を読むのは初めてです。
文庫本二冊の長編ですが、勢いがあってかグイグイ読めます。

男っぽい文章ですね。
さらりとしていて、湿度を感じません。
こうした文章は歴史小説家に多いと思います。
私にとっては新鮮な出会いでした。

息子と読後に話したのですが、彼は、
「高校生くらいの青春真っ只中!な子が読むと面白いのだろうね」と言っていました。
それも全うな意見。
だけど、振り返ってタイムスリップしたかのように私くらいの大人が読むのもいいです。

ボクシングは私の暮らしの中にはほとんど介在していなかった。
この作品を読むことで知り得た楽しさだと思いました。

気持ちの良いお話でした。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「向日葵の咲かない夏」

2014-06-18 23:19:10 | 



道尾秀介(著)

これはホラー小説だったのですね。
そうとは知らず読み始めました。
怖いし不気味だし気持ち悪い…でも、やめられない(笑)
怖いもの見たさ、ですね。

誰だって自分の物語の中にいる。
自分だけの物語の中に。
その物語はいつだって、
何かを隠そうとしているし、
何かを忘れようとしている。

ミチオ君が最後にお爺さんに言う言葉に共感しました。
人は負の感情に押し潰されそうになる時に、どこか逃げ場所を探してしまう。
防衛本能なのでしょうか。

好き嫌いはあるでしょうが、こうした小説も面白い。
気づかなかったことを気づかせてくれる。
人間の奥深い場所に佇む感情を浮き彫りにした小説です。

それゆえ、途中から気持ちが沈んでしまったのも事実です。
でも読み終えることができてよかった!
またひとつ、宝物が増えました。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「飛水」

2013-12-15 11:36:49 | 


高樹のぶ子(著)

     夫のいる身でありながら、
     わたしは知り合いの葬儀で出逢った妻子ある男からの強引とも言える告白に心惹かれる。
     その不器用なほど真っ直ぐな人柄に、ますます思いは募っていくが……。

久しぶりに作者の著書を手に取りました。
男女の性愛を描かせたら群を抜くほどに上手い作家さんだと思います。

いろんな物語の書き方があるように、
この作品も一種独特の言葉づかいと節回しに読者は気が滅入りそうです。
気が滅入りながらも読み続けさせる作者の意図、それに強引に引きづり込まれながら。

水墨画の世界に彷徨うような浮遊感を味わいながら、
それでいて恋愛の真髄を熱く感じさせます。

私もこんな相手に巡り合い、こんな愛を交わし、こんな最期を迎えるのアリ?かななんて。


高樹氏はここ山口県防府市の出身です。
2度ばかり講演会でのお話も聴きました。

さて、防府市と言えば!
今日の正午「防府読売マラソン」の号砲が鳴り渡ります。
公務員ランナーさんも防府の街を走ります。
私もこれから出かけて、道路からランナーの皆さんに声援を送ります。

いってきまーす!




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「55歳からのハローライフ」

2013-12-08 23:56:56 | 
村上 龍(著)

性と薬物に溺れる若者たちを書いた『限りなく透明に近いブルー』
1976年発刊と言えば、私は高校1年生。
田舎娘な私にとっては衝撃的だった。
何が描かれているのかさっぱり意味がわからない、のが率直な感想だった。

今回その著者の新刊は、意外にも老いがテーマである。
あれから私も年をとったが、作者も年をとったのだ(笑)
しかし、素敵な年の取り方だよね、お互い(笑)

作中人物全てに言えることだが、
人生の半ばを過ぎて、人生の転換期に真摯に向かっていく姿は生半可ではなく、
私の年齢を重ね合わせて読みながら、人ごとではないと鳥肌が立つ思いであった。
若くもないが枯れてもいない。
だからと言って、若者のように何にでもチャレンジできるのとは違う。
傷つくことを恐れて臆病になる、卑屈になる。
現実をあからさまに突きつけられ(再就職であるとか再婚であるとか)、
その現実を受け入れるに苦悶しながらも、淡々と受け入れていく姿に身につまされる。

5つの中編小説が含まれています。
どの話も良いです。
そして、どのお話にも「飲み物」が登場します。
読み終えてから何を飲むにつけ、飲む事自体が意味あることのように思えます。

私はおっちょこちょいなもので、
「55歳からのハローワーク」だとずっと思っていて、
実際にこの本を手にとっても正しい名前に気づかず、
読みながら、あれ~、タイトルと内容が一致しないよ、どうしてなんだろう?と数日考えていました。
「ハローライフ」だったのですね(笑)





コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「夜の国のクーパー」

2013-11-21 22:43:08 | 
伊坂幸太郎(著)

    これは猫と戦争と、そして何より、世界の秘密のおはなし。


猫が語り手になっているところが初めての経験でした。
話が進みそうで進まない、読んでも読んでも時間が経たない、
そうしたまどろっこしさはありましたが、読み終えるとやっぱり伊坂さんの世界だな~と痛感しました。
感動の肝は、トムがあげる合図でした。
ああ、伊坂さん、いろんな所に仕掛けがあったのですね。
私たち読者はその仕掛け探しが楽しくて伊坂さんの本をいつも手に取ってしまうのです。

伊坂さんが大江健三郎氏を崇拝しているとは初耳でした。
だったら、私も頑張って大江氏の話を読まないと。
それはちょっと、いや、かなり難解かも(笑)


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「パスタマシーンの幽霊」

2013-11-17 23:00:07 | 
川上弘美(著)

    恋をしたとき、女の準備は千差万別。

彼女の作品はどれも厚かましさがないと思うのです。
知らず知らずのうちに、私たちの心にそっと入り込んでいる。
それはとても居心地がいい。
心の動きがとても丁寧に描かれていて、
それていて淡々とした文章であるからか、
作中人物の感情も平かのように感じられるけれど、
いや、そうじゃない。
どの女子も強いのです。
恋をした女性、恋をしようとしている女性、失恋した女性・・・
恋の形もたくさんあるのだね。
読みながら、恋をしたくなってしまうよ。


「センセイの鞄」はもちろんのこと「これでよろしくて」や「古道具 中野商店」も好きな作品です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする