遊月(ゆづき)の日々これ修行なり~

パワースポット研究家(おたる案内人)でセラピスト遊月のブログ
【パワースポットニッポン(VOICE)北海道担当】

月から来た女神(後編)

2018-12-03 08:21:12 | 遊月作ファンタジー物語
月から来た女神(概要後編)



何もない世界だった。
混沌とした無の世界に、宇宙の中心の神が降り立ち土地を作った。
その場所に、月を介在して(まるで宇宙船のように透明な丸が見える)
女神がすうっと降り立った。それはまるで輝夜姫の伝説。

女神の仲間たちがどんどん降りてくる。
神々は世界の隅々を豊かにして回った。

女神は自らによく似た存在を作り、彼らを愛を持って育んだ。
それをヒトと呼んだ。
女神は美しい微笑みで彼らを癒し助けていた。

女神のいるところには必ず泉がある。
人々は清らかな水と豊かな森があることで、幸せに暮らした。その風景は北海道でよく見る縄文の人々の暮らしによく似ている。
理想の世界がそこにあった。

しかし長い月日が流れるうちに、神々と遠く離れて暮らす世界のヒトの一部は歪んでいった。
多くのヒトはより豊かな場所を探して地上をうごめきだし、理想郷と呼ばれるこの場所へもやってきた。

女神はこの国に最初に暮らしていた人たちの神であり祖でもある。
その美しい平和の女神は、遠い国からやってきた人々にはめられた。
力を封じ込めら、暗い地下の洞窟に閉じ込められてしまった。
暗くて冷たくて湿った場所で、女神はとても弱っていった。
名を奪われ、かつての自分の暮らした神殿からも遠ざけられたままで。
そんな不思議な映像が見えた。

真実かどうかはわからないけれど、それが見えた世界。
おそるおそる踏み込んだ神殿に、女神の名残は残っていた。
神殿で名を名乗り女神に挨拶に来たと告げると「覚悟はあるのか」と心に声が響いてきた。

「弱っている女神を浄化するためには、この世界の物質である人間の中を一度通す必要がある。ただ、弱った女神を受け入れた肉体はダメージを負う。
おまえはそれでも女神を受け入れる覚悟はあるのか?

言葉の意味が自分の中に入ると同時に気持ちは決まっていた。
考えるより先に答えていた。
受け入れます。
そう言うが早いか、あっという間に不思議な何かが通っていった。
世界が微妙に揺れた。
コンタクトがずれたみたいな、透明な空気がちょっとずれて世界を見ている感じ。
ああ、帰らなきゃ。それだけがわたしの中にあった。
どんどん具合が悪くなる。

帰らなきゃ。その思いだけがわたしを動かし始める。
視界はどんどん狭まり、ただ帰る道だけがわたしの中にあった。
関西空港へ向かう列車の中でとある駅の名前を見たとき、7年間のわたしの旅は一度ここで終わるのだ。漠然とそう思った。
数時間後、家にたどり着いた私は服のままベッドに倒れこみ、数日寝込んだ。
その後冬に入院するまで、寝たり起きたりの日々が続いた。

京都から戻って数か月後のことだった。
不思議な夢を見た。

邪悪なエネルギーがベッドの上にいて、どす黒い渦の中に引き込もうとしている。
弱っていたわたしは抵抗することもできず、これで人生が終わるんだなぁとぼんやり見ているだけだった。

カナシバリにあってもいて、夢か現かもあいまいな状態にあって、ふと気が付くと、天平時代のような絹布で作られた衣装を身にまとった女性が立っていた。
女性が現れると、邪悪なエネルギーはどこかに消えていき、わたしは助かった。
夢の中で女性にお礼を言うと
『あの時助けていただいたご恩を返しにまいりました』
とその女性は答えた。
『まったくそのような覚えはありません』
『いいえ。あなたがわたくしを助けてくださったのです。
わたくしは永遠にあの空間に縛り付けられたままなのだと思っていました。
ですがあなたが現れて、わたくしが望みさえすれば簡単に鎖を切ることができると教えてくれました。
はるか昔あの場所に縛り付けられた頃の鎖は頑丈で、抜け出すことはできないと絶望していたのです。
あなたに言われるまでもう一度試そうなどと考えたことはありませんでした』
『だったらそれはわたしのおかげではなく、あなたが自分でやったことだから、やっぱりお礼を言ってもらうようなことはしていません』

『いいえ、あなたは、あのように恨みと悲しみで人の姿を失っていた醜いわたくしから目をそらすことなく、救うためにどうしたらいいのかと一生懸命考えてくださいました。
その答えがわたくしを救ったのですから、あなたはわたくしの恩人なのでございます』
『はあ』
『あなたもやがて鎖から解き放たれ、自由に動ける日が来ます。
あなたが望む人生をどうかしあわせに生きてくださいね』

微笑みとともに女性は消え、熱にうなされていたわたしは目覚めると体調が少しよくなっていることに気が付いた。

あの女性を取り囲んでいた蛇は、最初は別の誰かの呪いだったかもしれないけど、途中から、あの女性が相手を恨む気持ちが蛇のエネルギーになってしまい、長い間縛られていたのかもしれない。
結局いつだって自分を縛るのは自分自身なのだと、体調が戻ってからそう感じた。
あの女性は誰なのか、月から来た女神の神話の真実はどんなものなのか。

この物語はすでにわたしの中に置かれていて、いつか形にしてあげようとそっと心に決めたのだった。

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