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『ありがち日記』

寺地はるな『希望のゆくえ』

「希望」の意味が・・・


ストーリー
誰からも愛された弟には、誰も知らない秘密があった。突然姿を消した弟、希望(のぞむ)。行方を追う兄の誠実(まさみ)は、関係者の語る姿を通し弟の持つ複数の顔を知る。本当の希望(のぞむ)はどこにいるのか。記憶を辿るうち、誠実もまた目をそらしてきた感情と向き合うこととなる――。痛みを抱えたまま大人になった兄弟が、それぞれの「希望(きぼう)」を探す優しいエールに満ちた物語。文庫化にあたり、書下ろし短篇を収録。

あらすじにもある通り「希望」は突然姿を消した弟の名前「のぞむ」であった。兄の名前も「誠実」と書いて「まさみ」と読む。タイトルそのままに、希望の行方を追う兄・誠実が、弟の関係者に話を聞いて回るのだが…

誠実にとって弟は決して仲良かったわけでもないのに、なぜそんなに弟の行方を追うのか。弟とそれまで関わったことのある人々に行方を聞いても、誰も何もわからないのに。むしろ、それらの人を通じて知ったのは弟が自分の知らない複数の顔を持っていること。弟が本当はどういう人間なのか、誠実はそれを知りたかったのだろう。そして、過去の記憶を辿るうちに、誠実自身が目を背けてきた弟や家族に対する想い、ずっと抱え続けてきたものに向き合うことになる。

一方、最初は私自身も何を考えているのか分からない希望に対して不気味だなと感じていたのだけど、読み進めるうちに、希望は誰にでも優しいのではなく、相手の望む姿でその人の前に居続けた結果、自分の核となるものを持てずにそのまま大人になってしまったのだと分かって、苦しい気持ちになってしまった。失踪した際に一緒にいた謎の女性。彼女もまた痛みを抱え、彼の抱える闇に一番に近づくことができた存在だったのだろう。彼女は希望に対して一つのきっかけを与え新たな始まりに向けて背中を押した。

結局、兄弟は会って話すことはなかったけれどそれで良かった。やっと過去の呪縛みたいなものから自由になって、自分の人生を歩むことができる兄弟を応援したくなる終わり方。

寺地さんは今作でも、生き辛さを感じる人にやさしく寄り添ってくれていました。



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