レンタル店で偶然手にした中国映画のDVD『こころの湯』。心に響く作品で、後日もう一度借りて見たほど好きです。その主演が朱旭さんという中国の名優でした。心惹かれたので他の出演作品を探し、友人が録画していたものを借りたのが『變臉 この櫂に手をそえて』(1996年)でした。
この作品を通して初めて「変面」という技を見たのですが、まさに神業!一体どうなっているのとびっくり。役者の顔に付けられたマスクが一瞬にして変わるのです。ちょっと横を向いて正面に向き直ったと思ったら、赤いマスクから緑のマスクに。顔の前に扇をかざした次の瞬間には白いマスクに。マジックも真っ青の技です。
マジックの種を明かさないのと同様、「変面」もその仕掛けは一族のものにしか伝えない秘密で、しかも男子しか継承できないとされてきました。
先の『變臉 この櫂に手をそえて』という作品は、「変面王」と呼ばれた役者が、後継者として一人の子供を買うことから始まります。もちろん男の子だと思って。ところが、買われたのは売れ残るからと男の子の格好をさせられた女の子だったのです。女の子には「変面」を継承できない。たとえ、どんなにかわいがっていても、秘密を教えるわけにはいかない。物語の軸となる設定に、”伝男不伝女”という「変面」の伝統がありました。
先日の新聞で、この「変面」の技が女性にも伝授され、伝統劇とは切り離されて街のクラブなどでも演じられるようになったという記事を読みました。20代の若い女性変面役者が、中国だけでなく、欧米や日本でも公演をしているのだそうです。
秘技として守られてきた「変面」も劇団の閉鎖などで伝承者が減り、存続の危機に直面し、女性にもその門戸を開いたというわけです。
さて、この続きによく知るお名前が突然でてきます。
「変面」を芸術として正しく伝えようと、香港の映画スター、アンディ・ラウさんを正式な弟子とし、後進を養成するための教室も作られた。
なぜまた、アンディーさんが???とびっくり。
ちょっと検索してみたら、弟子入りを断られたという以前の記事が出てきました。
何しろ、もともとは四川省出身者しか弟子入りの権利さえなく、今でも国家秘密とまで言われているそうですから、香港のスター、アンディーさんの申し出はかなり無謀なものだったのでしょう。でも、後に認められたのですね。
「変面」について紹介したドキュメンタリーの動画が無料配信されています。おもしろいですよ。こちら
この中でも、弟子にして!と楽屋に押しかけた上海出身の若者が「香港のアンディー・ラウにも教えたじゃありませんか」と言っています。金城さんは「変面」を見たことがあるのかな。
「すげぇ~」と手を叩いて喜びそうです。
変面の動画、面白かったです
見入ってしまいましたw
『国家秘密』という所がスゴイ!
謎めいた伝統芸です…
こうした素晴らしい伝統が、継承する人がいなくて
後世に伝わっていかないって悲しいですね。
誰にも知られずに、無くなってしまったものって
きっと、たくさんありますね。
それにしても、アンディーさん情報にはビックリです。
いつか、どこかでお目にかかることができるのでしょうか…?
動画もご覧になったんですね。
ご紹介した映画のほうはDVDもVHSも出ていないようで、残念です。
アンディーさんも努力の人という印象ですから、きっと一生懸命頼み込んだんでしょうね。
いつかどこかでその技を披露してもらいたいです。