探し物は・・・

何かを探して見つからない時、悲しくなるけれど
探すものがあるって、それだけで、すてきなこと 

「捜査官X」のおかねの話

2012年06月20日 | Movie T.K.

『捜査官X』で、政府の役人である徐百九さんの年棒は4両、と出てきます。
これが現在のいくらに当たるのか知りたいところですが、数字に弱い私には、お手上げです
ただ、1両=銀37.7994グラムだということは、わかりました。
銀本位制だった当時の中国で貨幣の基準となるのが、この銀一両。
重さが大事なわけですから、その形はいろいろで、コインというより銀の塊。銀貨ではなく銀錠と呼ばれるのも納得。

単純に一つが一両というわけではなく、常に重さをはかりながら使う必要があるそうです。だから、両替商が必要なんですね。

『捜査官X』でも、あの劉村の両替商のシーンで銀錠が出てきました。
二人の強盗に「金を出せ」と迫られた店主が、愛想笑いでごまかしながら、隠そうとしたもの。暗い中でも、鈍く光っていますね。
形は碁石みたい。

この強盗のセリフ、日本語だと「金(かね)」になっていましたが、香港版字幕は「銀子」。
これを見ても、貨幣の中心が銀だったことがわかります。

銀錠の中でも有名な形といえば、これじゃないでしょうか。
『LOVERS』牡丹楼で隋風が、「評判の踊り子を出せ」と、おかみに投げた銀錠。
床に落ちたとき、ゴツンと重そうな音がしていました。




馬の蹄に似た形から馬蹄錠とも呼ばれるそうです。

昔、中国旅行のお土産に、この馬蹄錠の形をした木製の箸置きセットをもらったことがあります。
当時は、これがお金の形だなんて知らなくて、なんで、こんなにお箸の置きにくい形なんだろうと、不思議に思ったものでした。
後になって、「お金持ちになれますように」という意味を込めてのお土産だったんだなと

基本となる貨幣が銀だとしても、庶民の生活では、小額の銅貨が流通していたそうです。
これは、スクリーンでは見ることのできないカットされたシーンですが、徐百九さんが個人的にいろいろな調査を依頼している探子に、お金を渡しています。

穴のあいた銅銭ですね。これは、鋳造したもの。
清朝末期からは、穴のないプレス生産の銅銭が流通するようになったそうですから、古代からある鋳造の銅銭は、次第に少なくなっていったころなんじゃないでしょうか。


それにしても、探子の報酬はいくらだったんでしょうね。
遠く荊州にまで調査に出向いたんだけど。交通費とか、宿泊費とか、かなりかかりそうです。

高給取りでもない徐百九さんが、毎度毎度、個人で調査を依頼して、その費用を負担しきれるのか、疑問ですね。
百九さんのあくなき捜査の陰には、これまでも、ずっと(元)妻の経済的な支えが、あったのではないでしょうか。
百九さんと、その妻の関係は、一言では表せない感じです。
「許さなければ、忘れられない」というセリフも、深い。

劉金喜逮捕のための書状をもらうための賄賂、自分の年棒の5倍に当たる20両、そんな大金を借りに来た百九さんに、元妻が手渡すのは、紙幣です。

銀錠では、20両=740グラムにもなってしまいますから、高額取引には、紙幣なんですね。

こういう細かいところも、きっちり考証できているのが、『捜査官X』の見どころの一つ

 


 


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