Time Out

英国はヴィクトリア朝をメインに創作関係や自サイト、雑記などを写真やイラストと共にお送りしていくのらりくらりなブログ。

ヴィクトリア時代の使用人・記事一覧

2020-01-01 00:00:00 | 使用人関係
ヴィクトリア時代の使用人の記事を一から探していただくのは手間を取らせてしまいますので、記事の一覧を作りました。
よければご利用くださいませ。


◆ヴィクトリア時代の使用人・記事一覧

  1. はじめに
  2. 英国での階級社会の誕生
  3. 使用人の成り立ち:お客様としての使用人
  4. 使用人の成り立ち:奴隷としての使用人
  5. 使用人の成り立ち:普及する使用人と男性使用人の減少
  6. 雇用と賃金:使用人になる方法と準備
  7. 雇用と賃金:職に就く
  8. 雇用と賃金:契約と保障
  9. 雇用と賃金:頭を悩ます賃金
  10. 雇用と賃金:命と同等の人物証明書
  11. 女性使用人:ヴィクトリア時代の女性使用人
  12. 女性使用人:奥様のおそばに
  13. 女性使用人:台所は治外法権
  14. 女性使用人:家庭の清潔が私の誇り
  15. 女性使用人:プラクティカリー・パーフェクト
  16. 女性使用人:希少な女中と一般的な女中
  17. 男性使用人:ヴィクトリア時代の男性使用人
  18. 男性使用人:影の支配者とうぬぼれた装飾品
  19. 男性使用人:食の王様を希少な装飾品
  20. 男性使用人:ミドリの親指と手綱さばき
  21. 階下の社会生活:使用人の階級関係
  22. 階下の社会生活:食事をするのも一苦労
  23. 階下の社会生活:蜃気楼の余暇
  24. 階下の社会生活:労をねぎらえと主人はいうが……。
  25. 階下の社会生活:鳥籠の中のカラスを躾ける孔雀
  26. 階下の社会生活:望まれた関係と一握りの幸運
  27. 黄昏が染める階下:消えていく貴族、消えていく使用人
  28. 黄昏が染める階下:諦めと折り合いをつける時
  29. 黄昏が染める階下: 使用人の栄光は過去の世界のものに  
  30. 黄昏が染める階下: 羽を得たカラスと色を失った孔雀 
  31. 最後に
  32. 参考文献

◆ヴィクトリア時代英国関係の書籍、覚書 ②:研究所

2009-01-01 14:18:16 | 使用人関係
◆ヴィクトリア時代英国関係の書籍、覚書 ②:研究所

○ヴィクトリアン サーヴァント
パメラ ホーン,Pamela Horn(原著)子安 雅博(訳)
英宝社(出版)

英国の使用人の研究書の中で世界で一番有名なものです。英国の使用人の成り立ちから衰退までを網羅し、女性使用人、男性使用人に関して事例を多く入れながら解説し、また雇用者側からの使用人の雇用や、使用人の社会生活をこと細かに解説しています。英国使用人の研究書として多くの参考文献に取りあげられており、信頼性は一番です。
実際に使用人として働いていた人物の手記が豊富で内面に迫った部分も多く、大変参考になります。基本的に多くの使用人の解説書の基本はこの本にあると考えられるほどすべてを網羅していてるので、英国使用人をディープなところまで掘り下げる一冊となります。ただし、やはり、すべての使用人に関連したものを一冊にしているため、その職種、例えば執事なら執事、家女中なら家女中といったように一つ一つの職種についての記述は充実したものとそうでないものとがあります。その職種に特化した専門書がでることを期待しているところです。

○召使いたちの大英帝国
小林 章夫(著)
洋泉社(出版)

ヴィクトリアン サーヴァントの簡易版と考えられるような内容となっています。かなり読みやすく内容もそこまでディープになっていないので英国使用人の入門書ととらえられます。また内容が貴族に仕えていた上級使用人の解説が多く、中流階級以下の使用人に関しての記述は少なく、また解説についてもそこまで難しい説明もなく表面的なものがほとんどです。ヴィクトリアン サーヴァントを読んでいる場合はほとんどの解説にまんぞくできないかもしれません。
ただし、植民地や奴隷制度での使用人に関しての記述もあるため、無視できるものでもないです。ただ、その記述についても詳細なものではないため改めて自分で調べなおす必要がある内容でもあります。広く浅く使用人を知りたい人はまずこの本で英国使用人とはどのようなものだったのかを感覚的に知り、さらに調べたいと思った場合はヴィクトリアン サーヴァントに移行するのがいいと思います。

◆ヴィクトリア時代英国関係の書籍、覚書 ①:漫画・アニメ

2009-01-01 14:12:03 | 使用人関係
◆ヴィクトリア時代英国関係の書籍、覚書 ①:漫画・アニメ

○エマ (1)~(10)
森 薫(著)
株式会社エンターブレイン(出版)

『メイドに恋をしていけない時代がありました』
帯に書かれていたコピーが示すように、作品のメインテーマは「身分違いの恋」です。
そして時代はもちろん、英国ヴィクトリア朝。
主人公のエマは雑役女中(現代でいう家政婦のようなもの)で、その彼女が偶然働いている女主人(以前貴族宅で働いていた元家庭教師)のもとを訪れた教え子のウィリアム(貴族)と出会い、恋に落ちて、あれやこれやとありつつ、お互いの階級の差を超えての愛を深めるという話。現在はエマ本編は(7)で終了していますが、外伝という形で、エマの周りにいた人たちのその後や過去の話を連載され、(8)が外伝の単行本として発売されています。
よくある恋愛漫画とあらすじだけを読めば思うかもしれないが、実はこれを読んでみるとただの恋愛漫画ではなく、英国ヴィクトリア朝を再現したかのような緻密な背景の描き込みがしてあります。
また登場する女性達のファッションはもちろん、登場人物が住む邸宅から、そこにある装飾品、調度品、床、天井、あらゆるものが、その当時の世界のものと同じように描き出されているのです。
また、このような丁寧な世界観もさる事ながら、ヴィクトリア朝の文化をきちんと(しかしながら、やはり時代考証にて事実と違う部分もないとはいえませんが)表現されています。さらに外伝に移ってからはよりヴィクトリア朝色が強まり本格化していると思います。特に(8)巻に収録されているクリスタル・パレスの描写は必見です。
特に使用人という階下の住人の生活、仕事に関してはすばらしいものです。ヴィクトリア朝ではないですが、映画の「ゴスフォード・パーク」並みの使用人の描写があると思われます。
全10巻で完結しました。

○小説・エマ (1)~(2)
森 薫(原作)/ 久美 沙織(著)
株式会社エンターブレイン(出版)

こちらは漫画版エマを基本的にはノベライズしたものと考えてもらうのが一番だと思います。
しかし、こちらは漫画と違い、目でそのものを描き出しているものではないのである程度の予備知識がないと描かれているものの想像がし難いと思われます。
しかしながら、こちらは漫画と違い、色々と注釈が多く本編の中に含まれていますので、親切な作りとなっています。
作品の内容については、漫画本編で表現できなかった細かい人物描写が含まれており、また本編の裏で起こっていた出来事などが語られているので、漫画で話しはわかっている、という人でも新たな発見が得られると思います。
ただ、どうしても前述したように予備知識のない人に対して向けられた細かな注釈と説明が多く、物語のようで実はヴィクトリア朝の生活を物語調で語っている、と思える部分もあると思います。
また漫画と違う性格設定なのか、人物の口調が原作と異なる部分があり、そこがひっかかるという人も出てくるかもしれません。しかしながら、著者はヴィクトリア朝についてきちんと調べた上で作品を書かれているので、うわべだけのヴィクトリア朝、なんちゃってエマではないことは確かです。
ただ3巻は出るのかなぁ。

○エマ ヴィクトリアン ガイド
森 薫・村上 リコ(共著)
株式会社エンターブレイン(出版)

「ヴィクトリア朝イギリスの生活、文化にスポットを当てた『エマ』の副読本」
帯によると普通の漫画の副読本のように思われますが、残念ながら漫画のキャラクターなどの詳しい解説ではなく、本当に『ヴィクトリア朝イギリス』の解説本になっています。
文章表現は読みやすく、漫画からのイラストなども多いですが、内容は教科書のように英国の歴史や、文化背景、そしてエマという作品に欠かせない「使用人」についてを深く掘り下げて書かれているので、娯楽書のように思っていると、少々違和感があるかもしれません。
なぜここまで研究書であるというかといえば、この本を作るための参考文献が約100冊以上掲載されています。中途半端な作りでないのは保障できます。
この本は研究書の部類に入るくらいの出来であり、出版された当時はなかなか使用人の制服の描かれた英国使用人について、ここまで追求した本もなかったと思われるので重宝されたという話を耳にしたことがあります。
内容としては、使用人の職種の紹介、使用人の雇用、使用人の一日、ヴィクトリア朝の生活、階下の文化の変遷がメインに取り上げられています。

○エマ アニメーション ガイド
森 薫・村上 リコ(共著)
株式会社エンターブレイン(出版)

こちらは漫画版エマを基本的にはアニメ化したものの副読本と考えてもらうのが一番だと思います。
そして、本当にアニメの副読本に近い形だと思います。「エマ ヴィクトリアン ガイド」に比べると、内容は薄いです。タイトルが表わす通りアニメの解説がやはりメインにしているので、ヴィクトリアン ガイドほど目新しい内容は見当たらないと思われます。
アニメの各話の一場面、一場面について、製作者のコメント、またヴィクトリア朝に関連する注釈が申し訳程度についているという印象が拭えません。またヴィクトリアン ガイドと重複する内容もあり、残念なところもあります。
しかしながら、2、3巻に森 薫さんの描き下ろした「暖炉」と「コルセット」に関する濃い特集が入っているので、これに関しては一見の価値ありと思います。
全体的には研究書としてはなかなか高評価をだせなかったのですが、このアニメの製作に関わった方々も英国ヴィクトリア朝に関してかなり勉強されているため、アニメの各場面をみることで、漫画や写真では見られない、カラーの英国ヴィクトリア朝が見られると考えると貴重かとも思います。

○シャーリー
森 薫(著)
株式会社エンターブレイン(出版)

エマと違い、こちらは著者が同人誌として出していた作品であり、また内容はある少女メイドとその女主人のほのぼの漫画となっており、ヴィクトリア朝を追求した作風ではなく、かわいいメイドが描きたかった!という内容になっています。そのため、英国ヴィクトリア朝はあまり感じられないかもしれません。

○アンダー ザ ローズ
船戸 明里 (著)
幻冬舎 (出版)

19世紀英国を舞台にしたロウランド侯爵家の物語。エマと違い、貴族、貴族の嫡子、使用人、家庭教師、愛人、などさまざまな視点で物語りは綴られます。エマは使用人といえども少々ゆるい規律の生活をさせてもらっている描写が多い中、こちらの作品の中の使用人たちは厳格な規律の中を過ごしています。とはいいつつもこちらの家庭も少々変わり者なのか、使用人の扱いに天と地の差があるようです。エマのように自由な一面もないとは言えませんが、かなりの違いが見えると思います。
内容からは、かなりのシリアスさが感じられます。愛人の子どもが嫡子として引き取られるなか荒んでいる心が新しい家庭環境の中で暴走を始める場面、新しく派遣された家庭教師が見るキリスト教的家族のあり方とそれを打ち砕いていく家庭、などが繊細な画風と語り口で臨場感あふれる作品として仕上がっています。
基本的に物語りは侯爵家のなかで始まり、侯爵家の中で終わっていきます。なのでヴィクトリア朝の文化というよりかはヴィクトリア朝の貴族の生活を再現していると考えます。また登場人物の服装にも注目してみると、ヴィクトリア朝の初期のものから後期のものまでさりげなく使い分けられていますので必見です。

○レディー ヴィクトリアン
もと なおこ (著)
秋田書店 (出版)

ヴィクトリア時代、強運と凶運を持ち合わせた牧師の娘が家庭教師としてロンドンにやってくるが、そこで無実の罪で投獄されてしまう―というところから物語りは始まります。この作品はコメディ漫画で、どちらかといえばフィクション色が強く、ヴィクトリア朝の文化や生活がちりばめられているものの、それは作品を楽しむエッセンスとしての方が強く、個性的なキャラクターの多さに、この作品ではヴィクトリア朝の香りは少々薄められているような気がします。とはいいつつも、こちらの作者も相当ヴィクトリア朝を調べられていますので、なかなか実は陰鬱なヴィクトリア朝を少女マンガとしてのヴィクトリア朝に昇華していると考えれば納得の作品かと思います。

○螺子とランタン
桂 明日香 (著)
角川書店 (出版)

19世紀の英国、少女の女侯爵とスラム出身の家庭教師の小さな恋の物語というわけですが、こちらもコメディ色が強く、またヴィクトリア朝色も薄められています。使用人たちの関係や、主人と使用人の関係もなぁなぁな感じがします。読むのにあまり深く考えることもなく読めますが、英国ものというよりかは英国らしき場所を舞台にした恋愛コメディな気がします。

ビートン婦人の家政書 vol. 1  家政婦①

2008-02-17 12:14:02 | 使用人関係
以前から予告だけしていてまったく記事がでてこなかった「ビートン婦人の家政書」からの記事です。
今まではヴィクトリア時代の使用人全般についての記事を連載してきていました。今回は、ヴィクトリア時代に流通した家政書の翻訳に挑戦も兼ねて、それぞれの使用人が「当時の認識」ではどのように考えられていたのかや実際に要求されていた仕事がどのようなものだったのかを見てみたいと思います。
また、今回は「使用人」に関する部分の翻訳になるので、「ビートン婦人の家政書」すべての翻訳ではないことをあらかじめ連絡しておきます。時間に余裕があれば、「使用人」以外の部分の翻訳もしたいと思います。
最後に、初の翻訳作業ということで非常にぎこちない文章がでてくるとは思いますが、できるだけわかりやすいものになるように心がけていますのでご容赦ください。翻訳についてなにかアドバイスがありましたら、気兼ねなくいただけると幸いです。
では、今回からはまず女性使用人の長である「家政婦」についてみていきましょう。今回からはひとつのテーマで複数回の連載になります。


◆家政婦について

<o:p> </o:p>

家政婦とは家庭の第二の指令塔であり、強固の支配体制の確立が期待されており、家令がいる場合は家政婦は女主人の後継人としての立場をしっかり理解し、さらに自分自身の家庭と同じように家庭管理を誠実と勤勉と用心を総動員してその職務をこなす存在である。

使用人の仕事を滞りなくこなしているのかを注意深く観察し、家政が機能しているかを確認し、各役割がきちんと主人に仕えているかを見、また使用人のさまざまな職務を同時平行している時に支障がないかを確認する。

<o:p> </o:p>

敬虔であり、時間を厳守し、秩序を重んじ、規則正しくいることがよい家政婦の必要不可欠な要素である。

一つ目がなければ、家庭をうまく回すことはできない。

二つ目は同様に不可欠であり、家政婦の部下に指示を与えるうえと自分が行動を遂行するうえで時間の厳守は重要である。

秩序を重んじることも絶対に必要なことであり、「すべてのものにはあるべき場所があり、すべてのものがそこにあるべきである」ということを使用人が理解するために必要なことである。

規則正しくいることも同様に必要不可欠なことであり、仕事をうまくこなすために各業務内容の配分を変えると効果的かつ迅速に職務を遂行させることができる。

<o:p> </o:p>

家政婦に必要な資格は、家計を理解することである。

家政婦はすべての支出の正確な記録、家庭内の現状での高級品、商人への支払、それ以外の必要ごとを家計簿に記さなければならない。

私たちが「女主人」の項目(この項目は今後翻訳予定)で言及したとおり、家政婦の家計簿は周期的で調和が取れており、家庭の長に確認を取られるべきものです。

家政婦は以下の教訓を肝に銘じることで、雇用主と使用人両方を満足させることができる。「短い請求書は長い友達」他の教訓よりもこちらのほうが良い。

ちょっとした自分メモ

2007-08-14 06:45:03 | 使用人関係
ヴィクトリア時代の使用人の記事を一通り書き終えて、今は同人誌なるものを作ってみようと考えているところなんですが(といってももうネームもできて、下書きに入ってたり)、この暑さといろいろとある所用で創作意欲とかがだれてます。
誰か喝をいれてください!
と思いつつもぼわぁっとしてたら、エマの番外編の新刊が来月末に出る~♪そしてアニメ・エマの第二幕の設定資料集がさらに出る~♪
第二幕のアニメの評判と自己評価はそれなりに合致していたのですが、その合致さからアニメ第一幕のようにアニメーションガイドブックが出るのかどうか不安になってたんですが。
そして今回は、小分けガイドブックにはならないようで、以前このブログで自分の希望で書いたようなムックになるみたい。値段は2000円の155ページ。確かに以前のは3冊で2500円以上するのに微妙な感じだったので、これはこれで期待です。
とりあえずこれでモチベーションをあげつつ、次回のブログ記事のネタとサイトの更新と同人誌とがんばろうと思います。
最後ですが、拍手を押してくださるみなさん、ありがとうございます。みなさんの拍手で更新のやる気もかなりでるので感謝しています。
これからも英国ボンクラ紀行、このブログともどもよろしくお願いします。

ヴィクトリア時代の使用人 vol.32 参考文献

2007-07-06 19:16:52 | 使用人関係
今回のヴィクトリア時代の使用人の記事を書くに当たっての参考文献の一覧です。今まで書いた記事はすでに下記の参考文献を利用して完成してあったものをブログ用にしたものですので、少々情報が古い場合もあるかもしれません。というか、今ではこれ以上に参考資料が増えたので、これを書いた当時の自分に増えた蔵書を送り付けたいくらいです。とりあえずこれも何かの参考になれば嬉しいです。
あと、オマケといっては何ですが、自分が参考にした本の紹介をAmazonのマイリストで一部紹介しているので、興味があればそちらもご覧ください。(リンクはこちら


◆参考文献

(和書)
青山吉信『世界歴史大系 イギリス史1 -先史~中世-』山川出版社,1997
ECG編集室『ヨーロッパ・カルチャーガイド① イギリス 街・ひと・暮らしの体感ワールド』トラベルジャーナル,1997
井上健二『ワールドガイド街物語 イギリス』JTB,2001
岩田託子 / 川端有子『英国レディになる方法』河出書房新社,2004
ヴァージニア・ウルフ 著 富田彬 訳『ダロウェイ夫人』角川書店,2003
桂明日香 著『螺子とランタン』角川書店,2004
木内信敬 監修『総合研究 イギリス』実教出版,1992
小林章夫『召使いたちの大英帝国』洋泉社,2005
小林司 / 東山あかね『図説 シャーロック・ホームズ』河出書房新社,2005
小林司 / 東山あかね『ホームズのヴィクトリア朝ロンドン案内』新潮社,1999
指昭博『図説 イギリスの歴史』河出書房新社,2002
田中亮三 / 増田彰久『ショトル・ミュージアム 英国貴族の邸宅』小学館,1997
田中亮三 / 増田彰久『図説 英国貴族の城館 カントリー・ハウスのすべて』河出書房新社,1999 谷田博幸『図説 ヴィクトリア朝百科事典』河出書房新社,2001
高尾慶子『イギリス人はおかしい 日本人ハウスキーパーが見た階級社会の素顔』文藝春秋,2001
パメラ・ホーン 著 子安雅博 訳『ヴィクトリアン・サーヴァント-階下の世界-』英宝社,2005
船戸明里 著『アンダーザローズ( 1 )-( 3 )』幻冬舎,2003-2005
もとなおこ 著『レディー・ヴィクトリアン』秋田書店,1999
森薫 著『エマ( 1 )-( 6 )』エンターブレイン,2002-2005
森薫 著『シャーリー』エンターブレイン,2003
森薫 原作 久美沙織 著『小説 エマ( 1 )』エンターブレイン,2005
森薫 / 村上リコ『エマ・アニメーションガイド vol.1』エンターブレイン,2005
森薫 / 村上リコ『エマ ヴィクトリアンガイド』エンターブレイン,2003
山内史子 / 松隈直樹『ショトルシリーズ 英国貴族の館に泊まる ロンドンからの小旅行』小学館,2005
ロンドン探訪団『情報事典・情報館シリーズ9 英国サブ・カルチャー情報局』ゑゐ文社,2000

(洋書)
Beeton, Isabella / Humble, Nicola. Oxford World’s Classics Mrs Beeton’s Book of Household Management. Oxford University Press, 2000
May, Trevor.The Victorian Domestic Servan.Shire Publication, 2003

(インターネットサイト)順不同
http://www.geocities.jp/kasai200228/bookbc-15.html
http://kw.allabout.co.jp/glossary/g_shikaku/w001213.htm
http://www.ivorspencer.com/butler.htm
http://www.waseda.jp/sem-muranolt01/KE/KE0103.htm
http://www.sqr.or.jp/usr/akito-y/tyusei/106-europe6.html
 http://eri.netty.ne.jp/realvoice/eng/06.htm
http://www13.ocn.ne.jp/~uk_fan/jpage/library/lb_q006.htm
http://www.tamano.or.jp/usr/osaka/pages/b-data/8/class.htm
http://www8.cds.ne.jp/~kousetu/maid/m-13.html

ヴィクトリア時代の使用人 vol.31 最後に

2007-07-06 18:26:23 | 使用人関係
最終回です。とりあえずヴィクトリア時代の使用人というか英国の使用人をかなりの駆け足で見てきました。まだまだ不明瞭な点が多く自分としても満足した内容ではないので、これをさらに詳細にした内容のものをまたお披露目できるように勉強を続けたいと思います。
次回のテーマは「ビートン夫人の家政書」に絞ってみたいと思います。家政書の中の使用人関連のところを翻訳したのをまとめてみたいと考えています。
ではでは、最終回をどうぞ~。(参考文献は別記事になります。)


◆最後に

終焉を迎えた使用人たちが現代の英国には存在しないかといえばそうではありません。確かに過去の輝ける使用人たちは消えたかもしれませんが、姿や形態は変わりながらも、伝統的な精神は使用人たちに受け継がれ現代にも生き残っています。

現代にも残った代表的な使用人の職種は2つあります。1つは「乳母」であり、もう1つは「執事」です。前者は現代の幼児教育のプロフェッショナルとして欧米で認知されています。しかしながら彼女たちは以前のように乳幼児に自らの乳を与えるという「ウェットナース」の仕事はせず、「ドライナース」としての職務をこなしています。幼児教育のプロといいながらも、乳母を資格化しているわけではないので、誰もが「乳母」になれるのではありますが、そのような形でも1つの過去の財産が現在にも残っています。さらに女性使用人の乳母の項目で述べたノーランド養成学校は今の英国にも残っています。そこを卒業することで乳母としての「箔」が付き、彼女達の信頼度を高めるようです。後者の執事については、主に現代の王族、貴族の邸宅に存在します。今では執事はサービス業の新しいビジネスとして成り立ち、アイヴァー・スペンサー卿 Ivor Spencer が執事養成学校 The Ivor Spencer International School for Butler Administrators, Personal Assistants and Agency を設立し、もう20年以上になります。ここは執事として働く人だけでなくサービス業、特にホテル関係の人間が通っています。もちろん英国人だけでなく外国人も多いです。さらに敢えて残った職種として付け加えるなら、「家政婦」です。しかしヴィクトリア時代のその言葉とは違い、かつての雑役女中の簡易版として現在認識される「家政婦」としての存在です。彼女たちは特権階級や社長、映画監督などの豊かな財源のある家庭に存在しています。

現代に残った使用人たちは、かつてのように「蔑まされる」心配もなく、胸を張って宣言できる職業の1つとなりました。そのためヴィクトリア時代のステータスシンボル的使用人は本当に裕福な家庭にしか存在せず、希少価値は非常に高いです。今後もこの傾向は変わることはないと考えられます。家庭事情と住宅環境は変化し、いまや「他人」を頼って家政が回らないことはなくなったからです。そして使用人は今は装飾品ではなくなったからです。これは幸せなことかもしれません。なぜならかつての「使用人」という立場のほとんどが非常に不利益なもので、この立場が存続することが「不幸な事件」をいまだに続ける「愚かしい」ことと人々が「正しく」認識できる世の中になったことを意味するからです。過去の使用人は過去にいるからこそ、今の現代で輝いて見えるのです。


ヴィクトリア時代の使用人 vol.30 黄昏が染める階下: 羽を得たカラスと色を失った孔雀

2007-07-05 11:44:11 | 使用人関係
ついに残すところ一回になった使用人特集。エマのアニメ第二幕の終了に合わせたかのように、こちらも最終回を次回に控えています。といっても、これでヴィクトリア朝の使用人に関した記事が終わるわけではないですけども。とにもかくにもひと段落がつけそうですが。まだ最終回じゃないから変に気を抜いてもいられないので、最後の最後まできっちりと書いておきたいと思います。それでは今回の記事をどうぞ。


◆羽を得たカラスと色を失った孔雀

1.最後の賭け

第一次大戦後にできた復興省
ministry of reconstructionは使用人問題に対応をしてきました。改善策として、使用人訓練施設の設置、勤務時間の削減、一定の食事と休暇の規定、また低年齢の使用人に関しての勤務携帯に関する規定を提示してきました。さらに雇用賃金に関する項目も提示されましたがこれに関しては内部で受理はされませんでした。多くの対策案を出し、使用人職の環境の改善を目指しましたが、これらの政府の対策が使用人不足の歯止めとはなりませんでした。その原因の主なものは金銭面的な問題でした。そこで政府はやむを得ず、制服を購入できないものに対する援助として政府から支給するということにした。しかしそれも効果的なものにはなりませんでした。


2.二つの大戦がもたらしたもの


第一次世界大戦を
1つの使用人の意識改革とし、第二次世界大戦はそれをさらに助長する形となりました。家庭の形も変化し、以前のように部屋には暖炉があり、地下から石炭を取りに行くようなことも減り、新しく各部屋にストーブが設置され、家も屋敷からアパートメントの形が増えていったのです。次に大きな変化として、人々の間に、使用人の存在の意識の変化が起こったことでし。戦後、使用人は過去のような階級差別における服従の存在として扱うことは好ましくないという考えが広まったのでした。特にそれは乳母たちの間で多く、彼女たちは自分達を使用人としてではなくプロフェッショナルな職業であるとし、また乳母は1つの過程であって将来は幼児教育の教師、託児所の保母を目指すという使用人としての自己を否定したのでした。


3.黄金の使用人の時代の幕引き

使用人職の評判の低迷は労働者側に広まるものの、それゆえの使用人不足は、しかしながら家事労働を引き受ける使用人たちの価値を上昇させる結果ともなりました。多くの雇用者は現在の軟弱な使用人に失望を示して、ヴィクトリア時代の「優れた」使用人を望む反面、現実的には家事を自分でしないという「優越感」への欲求が上回り、その呪縛から解かれることがなかったために、特殊な技能がない、ただ家事ができるというだけで労働者は「貴重な」使用人の職を楽に手に入れることも可能でした。そしてそのような状況であるからこそ使用人はすぐに辞めることも可能だったのでした。

このような使用人の質の低下は、使用人世界での階級という線引きをうやむやにさせる結果ともなりました。ヴィクトリア時代の使用人は「慎ましく」「自己主張しない」まさに従属的存在でした。しかし近代化による低所得者、労働者階級の引き上げによる意識改革で使用人の態度は一変したのでした。かつての使用人たちのように、はっきりとした秩序の関係で得られる家事の滞りない進行、がんじがらめの窮屈な生活でも長年勤めることによって受けられる様々な恩恵の存在は、自己主張を覚えた使用人には対価としては満足できないものになったのでした。そのために伝統的な主従関係は20世紀を迎えることで単なる労働契約の関係として消えていく状況になりました。そして過去に縛られた雇用者と、意識改革を果たした「新」使用人の間での問題は決して途絶えることがありませんでした。しかし、伝統的な関係は決してなくならず、かつての主人と使用人との関係が一切絶たれたわけではないことは忘れることはできません。
世紀を跨ごうとする英国の世界は、産業革命によってもたらされた科学の結晶で生まれた外注産業とそれによって底上げされた人々たちの意識改革における使用人の変化とそこから生まれた新たな使用人の形であるパートタイムと外国人労働者によって、使用人の世界は遂に終焉を迎えようとしたのである。


ヴィクトリア時代の使用人 vol.29 黄昏が染める階下: 使用人の栄光は過去の世界のものに

2007-07-01 09:45:41 | 使用人関係
あ~、旅に出たい。と思う衝動にかられてます。行き先はもちろん英国なんですが、その理由の一つが、ミュージカルのメリーポピンズのロンドン公演が来年で終わるからです。ただ、一応ワールドツアーが予定されているようなので、日本に来てくれるのを期待しているのですが。や~っぱり、本場で見たい!ただ、オリジナルキャストで出ていたバート役のギャビン・リーはブロードウェイの方に出ているので、彼は見れないのですが。自分がロンドンに行ったときにはまだギャビン・リーがいたので、もう一度彼のバートをロンドンで見たいなぁ。と思ったり。
それはさておき、今回の使用人特集。使用人特集も今回を含めてあと三回で終了です。ついに終わるのです。予定では次回で終わる予定が、どうも配分が合わず切りのいいvol.30で終わらないようです。とりあえずあともう少しで終了ですが、楽しんでみていただければ嬉しいです。では、どうぞ。


◆使用人の栄光は過去の世界のものに

1.新しい世界を見つけた使用人

多くの中流階級は家庭での楽しみを外の世界に向け始めました。その多くはオペラ、劇、ダンス、クラブ、などでした。また食事も家でとるよりもレストランやティールームがロンドンに増えたことから外出してとる人々が増えました。そこで今まで使用人として働いていた人々は新たな就職口としてそこで働いていくようになりました。使用人としての職の不満が大きく見え始めている第一次世界大戦後も、使用人の確保に必死な政府は兵役を終えた男性で職に困っていた者には需要の高い使用人になるように促していました。しかし男性たちは評判の悪い家庭内使用人ではなく、やはり上記のレストランなどの飲食店、またはホテルなどのサービス係や店員としての使用人として働きに出たのでした。しかし使用人として働きにでる人が途絶えたわけでなく、日雇いの使用人として中流階級に働きにでることもありました。ただし以前のような隷属的関係ではなく、雇用者と労働者というシンプルな関係を保つようになり、使用人同士の問題も表面的には減少していきました。使用人としての職が減るなか、産業革命による工業生産の発展の恩恵として家庭内の男性使用人のなかで新しく「運転手」という職種が生まれました。車の登場は上流階級と成り上がりたちのなかでの新たなステイタスの象徴となったことから、それを運転する人物の雇用を求めたのでした。彼らはかつての従僕や従者と同様に仕着せを着て、主人に召し仕えていましたが、このような存在はやはりこの時代では大変希な存在だったことはいうまでもありません。

2.使用人職離れの理由

さて使用人、特に女中という存在の変化を決めたのは第一次世界大戦でした。当時使用人になるよりも新たな活路を見出した女性たちは社会進出をはじめました。しかしながら使用人の存在がこれを機に消滅したわけではありませんでした。男性使用人も軍役を終えた後に仕方なく使用人職に戻るものもおり、また女性の場合でもまだ女性の職場の確率は発展途上だったために決して使用人以外の就職率が高かったわけではありませんでした。そのため、結局は需要の高い使用人の仕事に就くことも多かったのでした。しかし彼らの仕事は長続きすることもなく、また就職率が高かったとしても使用人が増えることもなかったのでした。例え日雇いだったとしてでもです。原因としては、以前のように終身雇用の使用人職と違って将来性が見えないことでした。また使用人人気を下げる環境が使用人達の不満を増幅させたのも
1つの要因でした。新聞、劇などのなかで扱われる使用人に対する扱いはひどく、使用人をさも悪人のように表現する風潮が蔓延していたためです。また、労働時間、同僚のいない孤独感、待遇の悪化、そして「使用人」という階級差別などの要因が挙げられました。さらにもう1つの要因として地方人口の減少が挙げられました。使用人となっていたのは地方出身者がほとんどでありましたが、多くの人は都市部へと移り、使用人となりえる人物が減少することになったのでした。


ヴィクトリア時代の使用人 vol.28 黄昏が染める階下:諦めと折り合いをつける時

2007-06-27 18:53:57 | 使用人関係
このところ英国女王映画やドラマが日本で流行っているようです。もちろんそれはアカデミー賞主演女優賞を勝ち得たヘレン・ミレンの存在のおかげでしょう。世界不思議発見でも取り上げられた王室も、もともとはヘレン・ミレン主演の映画クイーンあったからこそ。BS2で放送されたエリザベス一世のドラマが見れたのもやはり彼女のおかげであり、自分としてはヘレン様、ありがとう!と声を大にして言いたいところです。そんな英国ブーム?なのか以前ケイト・ブランシェット主演のエリザベス一世の映画の続編が撮影されており、またどうやらヴィクトリア女王の映画も撮影されているとか。女王ブームなんでしょうか???とりあえず自分は嬉しい限りですが。
で、そんな英国映画の中で九月公開のミス・ポターが今一番気になる映画。前売りも特典つきでゲット済み。ピーターラビットの生みの親のベアトリクス・ポターの半生を綴った映画で、すでに英国では公開済み。クリスマスシーズンの映画だったので実は向こうの公式サイトは以前からチェックして、日本はいつかと首を長くして待っていました。うふふ。映画の中に使用人も出てくるのはチェック済みです。うふふ。当時のファッションが今非常に気になるところ。早く観たいでげす。
さて、で、今回の使用人特集。前回使用人が消えていくという話でしたが今回はもう少し具体的な話になっています。それではどうぞ。


◆諦めと折り合いをつける時

1.広がる使用人不足

使用人事情が苦しくなっていく中、エドワード朝
(19011910)に入ると、雇用者たちによる使用人の節約と使用人事態の減少が大きく目立つようになりました。多くの雇用者は負担の大きい住み込みの使用人から負担の少ない日雇い、またはパートタイムの使用人を雇うことでなんとか屋敷の使用人不足から逃れようとしました。また大勢の使用人で行っていた業務は機械を導入することで代用する家庭も出てきました。女性使用人の項目で触れた
洗濯女中も、洗濯工場という新たな仕事口を見つけ、雇用者側もそれを追うかのように洗濯を洗濯工場に委託するようになりました。
多くの使用人の減少は都市部でも見られましたが露骨に見られるようになったのは都内ではなく実はカントリーにありました。使用人の雇用問題が大きくなった当時、カントリーハウスの改装が行われ、その改装部分の多くは使用人の領域でした。改装部分を見ると、使用人寮が縮小し、食料貯蔵室、洗濯室がなくなっており、そこから使用人を大勢雇用しなくなったことがわかるのでした。

2.産業革命という使用人革命

使用人の減少は確かに進んだのですが、それに対して雇用者側は使用人を雇い続けるために何もしなかったわけではありませんでした。19世紀を終える頃、このような使用人不足の解消として色々と対策案が練られていました。まず雇用費用の低い外国人を使用人として雇うことでした。多くの外国人は英語を学ぶことと引き換えに、住み込みで働き、それは忠実かつ勤勉で、英国女中よりもはるかに早く仕事をするとして一部で絶賛されました。その職種がオペアガールau pair girlです。フランス、ノルウェー、スウェーデン、ドイツ、スイス、またフィリピンから雇うことが多かったようです。しかしながらこのように絶賛されながらも彼女とたちが利用されることは少数の家庭のみでした。その原因の一つとして、雇用者にとって使用人は使用人であって、教育するという考えがないことと、英語を教える手間もかかる、コミュニケーションも不自由になることで雇用費用との釣り合いが割に合わないと考えたからだろうと思われます。しかし一番の原因は、雇用者達は残念ながら彼女たちを「使用人」以上の人間としては見れないことでした

他の解決策として、使用人の領域に新たな場所を作るということでした。上流階級の女性を狙った「淑女手伝い」です。彼女たちの仕事は、女主人のしゃべり相手になるということでした。彼女たちは基本的に出のいい女性がなる職種であったのはいうまでもありません。雇用者と会話が成り立つ教養などがなければならないからです。実は彼女たちの出現はこの時期がはじめてではありませんでした。すでに1870年代から彼女たちの存在は検討されていましたが、階上とも階下ともどちらの世界にも属していない人間は、家庭内の人間関係の不和の原因になる、特に使用人との関係の摩擦が起こるということと、自分の出がそれなりなために決して使用人のするような仕事をしない、ということで彼女たちの評判は悪く1890年代にはその存在は一旦姿を消すことになりました。しかしながら、使用人不足を解消するための案として再び日の目を浴びることになったのでした。しかし、結局は同じ問題が浮上しこの案が使用人不足を解決するには全く役に立ちませんでした。
最終的に使用人の不足する家庭を助ける効果を上げたのは、機械に使用人の代わりをさせることでした。残念ながら使用人を増やすこともできず、また新しい使用人を確立することもできなかったため、産業革命で開発された機械を使用人の代わりに家庭に導入することで少なくなる使用人の節減に挑むしかありませんでした。毎日交換や手入れの必要な蝋燭やランプは電灯に受け継がれ、書いて郵送したり、運ばせたりした手紙は電話に代わり、誰かが洗わなければならない洗濯物は洗濯機に放り込み、何度も掃いては集めを繰り返した掃除も掃除機で二度手間をなくし、石炭などを燃やして手入れがひどくかかるレンジはガスレンジの導入でらくになり、それに伴いガス管も引かれ、何度も井戸や貯水地に汲みに行った水も、水道管の整備で蛇口をひねれば出るようになりました。工業界では家事に関する家庭用品の開発を行い、大掛かりで手のかかる自家製の家庭用品を大量生産し、ナイフの錆止めクリームや今では普通である小分けされた石鹸などの販売をはじめるようになりました。これも今までは使用人が作っていたものでしたが、その役目も機械に奪われてしまったのでした。