さ~て今回のコラムさんは??
雇用と賃金パート2です。やっと使用人になるところまで話がきます。といってもまだ採用されるかな~?という時点までの話が主ですが。で、ちなみにこの雇用と賃金シリーズまだあと4回くらいは続きます。あは。
ではでは、どぞ~。
◆職に就く
前回で記したように職に就くには3通りのやり方がありました。家族や知人で家事奉公に出ている人間がいればそれを頼って使用人になるというもの、新聞広告に載せられている求人広告から探すこと、そして自分の地域の教会から口利きで奉公先を探してもらうか、就職斡旋所に頼ることが有効な手段とされていました。19世紀末では主に新聞広告と就職斡旋所の手を借りて雇用主は使用人を探したり、また就職希望者は使用人の職に就くケースが特に多かったようです。
産業革命以降の19世紀では、使用人は溢れるようにおり、また必要とする人も大勢いました。大勢の使用人希望者と大勢の雇用希望者が存在するなかで、使用人の需要と供給のバランスは気持ちとは裏腹に段々と崩れていきました。詳しくは後で出てきますが、広告に関していえば徐々に募集条件が厳しくなっていき、場合によっては国籍や宗教、服装にまで規制がかかるようになります。次に就職斡旋所も様々で、登録料を払わせておいて一切斡旋しない詐欺行為の横行も目立つようになります。しかしこれらの問題を含みながらも多くの人々は一番利用しやすいそれらを使って就職の手がかりを探しました。
多くの人はこれらの方法でなんとか就職応募先は見つかるものの、今度はなかなか職に就くまでにいたらないことが続くことがありました。それの大きな理由は「面接」でした。就職先での面接は必ず使用人候補たちの頭を悩ませ、また使用人を雇う側も頭を悩ませることになりました。面接される側を気遣い優しく接する雇う側がいる一方で、面接される側が強気に出て、逆に雇う側が面接される側に回ることもありました。面接を行う場合、大きな屋敷では主人たちは家令や、家政婦、執事にそれぞれ男性、女性の使用人の雇用と解雇を一任し、直接関わりのある使用人に関しては、主人、女主人が面接を行い雇用と解雇を行っていたのである程度気楽にいたのですが、多くの中流家庭では主人、女主人が直接面接を行っていたので頭を抱えるようになるのでした。
使用人の雇用に関してビートン夫人[Isabella Beeton (1836-65)]は『家政書』の女主人の項目に次のように書いています。「使用人との契約は厳格に頭を働かさなければならない女主人の決断の1つ」(Isabella Beeton Mrs Beeton’s Book of Household Management pp. 13-14)であると記しています。そして効率よく使用人を探すならばやはり面接をすることを挙げていました。そして面接するにあたっては使用人の誠実さと道徳面を問い、無用なトラブルを避けるためにも詳細な質問をするようアドバイスをしていました。そこで雇用者側はこれらの点を踏まえながら面接を行いました。「前の職場はどのような家庭だったのか、そこで働いたのはどのくらいか、そこでは何をしていたのか、なぜそこを辞めたのか……」というように使用人に細部に渡って質問をする雇用者に対して、では逆に使用人側はどのような対策をしていたのでしょうか。初めての職探しとした場合は、訓練校を出たか、出自がどのようなところなのか、などが重要になります。また、すでに働き転職として仕事を探している場合は、どれだけ良い人物証明書をもらえているかが重要になってきます。しかし雇用者側の要求などをうまく切り抜け見事採用とされても、使用人の苦難は途絶えることはありませんでした。また同じように雇用者も必ずしも面接で見込んだ使用人に対して安心してもいられませんでした。
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