蜥蜴座の夜

Bar NudEとYASUSHI 03のありさま

酔いどれ天使

2007年09月29日 | 蜥蜴座電影
酔いどれ天使

1948年 日本 モノクロ98分
監督:黒澤明
出演:志村喬、三船敏郎、山本礼三郎


先日店で映画の話になり、最近の洋画って観たいと思うのないよね。みたいな話になった。確かに面白そう!と思うのは邦画の方が多いかも。。。
CG不感症とネタ切れのハリウッドにみんな飽きてきたんでしょうね。
ファンタスティックフォーとか遂にアメリカは子供映画しか創れなくなったな。。。

そんな中久しぶりに家でゆっくりDVDを観ました。
改めて観るこの映画、素晴らしいです。
当時まだ新人だった三船敏郎を起用した記念すべき1作目。この後、黒澤×志村×三船の黄金三角形が始まる予兆がビンビンきてます。
背景が汚い『カサブランカ』や『第三の男』みたいな映画です。
戦後の廃墟の町並みはリアル。舞台となる町の中央でメタンの噴出すドブ沼や生活観溢れる街頭の看板、バー、ホール、闇市。。。ガチはまりです。

主役の志村喬が演じる酒好きの医者真田と結核に犯されたヤクザ松永(三船)の物語。
簡単な設定ながら奥が深い。展開のスピード感はさすがです。
劇中、本物の笠置シヅ子が出てきてホールで歌う『ジャングルブギ』
当時の熱い風俗が偲ばれます。

圧巻は劇中、真田の病院のシーンで必ず出てくるシーン。
病院の前にあるドブ沼の対岸で与太者が弾く下手なギターの音が聞こえてくる。
カメラは病院を捕らえているのでギター弾きの男は顔もわからないくらい小さく画面の端に写っている。
何度かそのシーンがあり真田が『ふん、あの下手くそめ、ちっとも上手くなりやがらねー』のセリフの時初めてカメラはそのギター弾きにクローズされていく。そこで後半物語を導く務所帰りのヤクザの親分がギター弾きからギターを取り上げギターを弾く。その演奏に込められた威圧感にギター弾きが『兄貴、なんていう曲で?』すると親分『人殺しの唄さ』
充分すぎる役付けでの登場である。素敵です。素晴らしいです。



ひとつ欠点はこの当時の日本映画、字幕がないと半分セリフが聞き取れません。
いつも日本語字幕で観ています。