蜥蜴座の夜

Bar NudEとYASUSHI 03のありさま

特攻~TOKKO

2007年09月24日 | 蜥蜴座電影
特攻~TOKKO


原題:Wings of Defeat
監督:リサ・モリモト
プロデューサー:リンダ・ホーグランド
2007年アメリカ・日本 99分


22日からやっと札幌で上映されたこの映画を観るために久しぶりにシアターキノへ行ってきた。

日系アメリカ人である監督兼プロデューサーのリサ・モリモトは親戚に特攻の生き残りがいた事を知って創られたというドキュメンタリーだ。

映画は彼女自身が映画制作前に持っていた『神風』についてのイメージを語る彼女の声で始まる。

『テロリストと同じ自滅的で狂人的な行為』

ほとんどのアメリカ人がそうだったように彼女もそういったイメージであった。
映画は完全ドキュメンタリーで4人の特攻生き残りの老人と、特攻を受けたアメリカの海兵隊の生き残りの証言を軸に未公開の映像を多数含んだ実際の映像やアニメなどで構成されている。

初めは監督である彼女の日本にいる親戚達への『特攻』にたいし持ってるイメージを聞く。解かりきった事なのにさも得意げに語る俺と同じくらいの年の従兄弟のコメントに俺は舌打ちをしてしまった。

『いいイメージはないね。だいたいあんな小さな飛行機で突っ込んで何になるの?無駄死にだよね?もっと別の解決方法があったと思うよ。馬鹿げてるね』的な事を言っていた。

文章で読んでも一字一句彼の言った事に間違いはないのであろうと思う。
では何故、強烈な違和感と嫌悪感をオレが抱いたのだろう。。。

彼は多くの日本人がそうであるように、刷り込まれた表面の知識のみで歴史を高所から傍観しているだけの発言だからだ。
そこにあった人間としてのドラマや時代背景、今何故俺たちが生きているのかという縦軸を完全に無視している。歴史は現代の常識や価値観を中心に振り返ってはいけないと思う。

劇中に出てくる4人の特攻生き残りの証言も全ての特攻隊員の言葉ではなく彼らの言葉としてそれぞれが違う主観を述べている。
親にも子供にもあまり話していない。という共通点を除いては。。。

アメリカの特攻を受けて沈没した駆逐艦の生き残りの証言がいい。
『俺たちは生きる為に戦っているのに奴等は死ぬ為に突っ込んでくるんだ!』
『恐かった。。凄い恐怖だった』と。。。しかしこうも言っていた。

『俺たちも日本やドイツに追い込まれたらやってたぜ!』と。。。

いいドキュメンタリーだった。
しかし、近年外人がつくる日本側の戦争映画、手記が何故こんなに多いんだろう。。。