花と文。(暮らしと本と花と)

日々の心に残る記しておきたいこと。

良い本でした。

2017年09月25日 | 

 


               「生きるとは自分の物語をつくること」  小川洋子 河合隼雄           


                                      新潮文庫 

 二人の対談は別の本でも読みました。そして、河合隼雄さんを追悼するかたちで、

 とある婦人雑誌では小川さんが河合さんへの思いや
 
 エピソードや著書を特集するというものも読んだことがあります。

 ふたりの息のぴったりとあった対話には、同じ価値観を持ち得るそれぞれの分野の知識の

 根底にある共通するもの、そこに引き込まれます。

 さらっと読めるのですけれど、ふむなるほど深いなと

 見逃して、きっと深く理解もせぬまま読み進んだ箇所もあるだろう

 それでも、私のような一読者が、尊敬して友愛の思いを抱かずにはいられない

 お二方の深く広い愛を感じるのです。

 
~ 小川 全部とっぱらって、本当に魂をむき出しにして生きざるをえない。

  河合 そう、すごい人を考えられたと感心しましたね。

  小川 それで、その魂と魂を触れあわせるような人間関係を作ろうというとき、

     大事なのは、お互い限りある人生なんだ、必ず死ぬもの同士なんだという一点を

     共有しあっていることだと先生もお書きになっていますね。

  河合 やさしさの根本は死ぬ自覚だと書いてます。やっぱりお互い死んでゆくということが

     わかっていたら、大分違います。まぁ、大体忘れているんですよ。みんなね。

      ・・・・・~途中省略~・・・・

  小川 あなたも死ぬ、私も死ぬ、ということを日々共有していられれば、お互いが尊重しあえる。

     相手のマイナス面も含めて受け入れられる。

  河合 それで、そういう観点から見たら、80分も80年も変わらない。

  小川 永遠を感じさせる、至福の時間というのは、そうして実現するんですね。

  河合 そのひとときが永遠につながる時間なんです。

        ~永遠につながる時間より・・・抜粋~


 「博士の愛した数式」を紐解いての対話です。

  わかるような気がします。けれど、そういう運命の時間も時がゆけば、薄らいでゆく。

  やはり、こういう出逢いや気づきも運命的なものを思いますよね。

  こんなふうに感じたことがある、誰しもあるのではないでしょうか。

  小川洋子さんの言葉の柔らかさや豊かさ

  心に染み入るものがあります。

  もっと、良い言葉に出逢いたい

  そんなことを感じました。

  ~・~・~・~・~
  

  少し涼しくなりましたけれど、今日は日中とても暑かったです。

  静かな秋を感じています。

  このような季節が長く続いてくれるといいですね。

  

  

  
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