「生きるとは自分の物語をつくること」 小川洋子 河合隼雄
新潮文庫
二人の対談は別の本でも読みました。そして、河合隼雄さんを追悼するかたちで、
とある婦人雑誌では小川さんが河合さんへの思いや
エピソードや著書を特集するというものも読んだことがあります。
ふたりの息のぴったりとあった対話には、同じ価値観を持ち得るそれぞれの分野の知識の
根底にある共通するもの、そこに引き込まれます。
さらっと読めるのですけれど、ふむなるほど深いなと
見逃して、きっと深く理解もせぬまま読み進んだ箇所もあるだろう
それでも、私のような一読者が、尊敬して友愛の思いを抱かずにはいられない
お二方の深く広い愛を感じるのです。
~ 小川 全部とっぱらって、本当に魂をむき出しにして生きざるをえない。
河合 そう、すごい人を考えられたと感心しましたね。
小川 それで、その魂と魂を触れあわせるような人間関係を作ろうというとき、
大事なのは、お互い限りある人生なんだ、必ず死ぬもの同士なんだという一点を
共有しあっていることだと先生もお書きになっていますね。
河合 やさしさの根本は死ぬ自覚だと書いてます。やっぱりお互い死んでゆくということが
わかっていたら、大分違います。まぁ、大体忘れているんですよ。みんなね。
・・・・・~途中省略~・・・・
小川 あなたも死ぬ、私も死ぬ、ということを日々共有していられれば、お互いが尊重しあえる。
相手のマイナス面も含めて受け入れられる。
河合 それで、そういう観点から見たら、80分も80年も変わらない。
小川 永遠を感じさせる、至福の時間というのは、そうして実現するんですね。
河合 そのひとときが永遠につながる時間なんです。
~永遠につながる時間より・・・抜粋~
「博士の愛した数式」を紐解いての対話です。
わかるような気がします。けれど、そういう運命の時間も時がゆけば、薄らいでゆく。
やはり、こういう出逢いや気づきも運命的なものを思いますよね。
こんなふうに感じたことがある、誰しもあるのではないでしょうか。
小川洋子さんの言葉の柔らかさや豊かさ
心に染み入るものがあります。
もっと、良い言葉に出逢いたい
そんなことを感じました。
~・~・~・~・~
少し涼しくなりましたけれど、今日は日中とても暑かったです。
静かな秋を感じています。
このような季節が長く続いてくれるといいですね。