昭和は遠くなりにけり

プログはいくつも作ってるのです。だけど本音愚痴を書くプログが欲しかった。

さくらんぼの実る頃と私の可愛い人

2017-10-20 20:27:49 | シャンソン
Merci, Monpti - Romy Schneider
「私の可愛い人」ってフランス文学があった。10代の頃毎日読んで泣いていた。
パリで絵を学ぶハンガリーの青年がアンクレールという可愛いパリジェンヌと恋におちる。

日曜日、アンクレールは「さくらんぼの実る頃」というシャンソンのレコードを大事そうに抱えてやって来た。恋人にこの曲を聴かせたくて来たのである。


ガスストーブつけてココアを飲んでお喋りして帰る。何故かヌードにならない。

それは昔の人達だからだ。


彼はアンクレールを疑い始めた。
彼女が住んでるはずの住所を訪ねてもそれらしい家がない。
彼女が勤めてるオフィスを訪ねてもそんな人はいませんという。

そういえば右手に指輪をはめてたことがあった。自分と逢った時、あわててはずした。
アンクレールは嘘つきだ。アンクレールって誰だろう。問い詰めたら泣く泣く喋りだした。

「私は天涯孤独の身でパリの場末に住み舞踏会のドレスを縫っています」どうりでいつも素敵なドレスを着てたわけだ。
「指輪をはめてたのはね。私職場で同僚に貴方と婚約したって嘘ついちゃったの。

不信感もたれたくなくて自分で指輪買ってはめてたの」

一方彼はハンガリーに帰れば大邸宅があって素封家だった。

アンクレールは恋人を失いたくない一心でこんな小細工してたのである。
アンクレールが孤児だからといって切り捨てるようなバンサンじゃなかった。結婚することになっていよいよ荷物を運ぶという朝病院から電話がかかってきた。


「奥さんが事故に遭って重体です」
病院にかけつけたらアンクレールは虫の息だった。
「モンプテイ。ごめんね。馬鹿な自動車がぶつかってきたのよ。モンプテイ、驚いた?夫を呼んで下さいって言ってしまったの。

私貴方の奥さんになりたかったものだから。
顔が青いのはね 出血してるためなのよ。  だけど明日になれば出血も止まって  モンプテイと  一緒になれる」


これがアンクレールの最後だった。

https://www.youtube.com/watch?v=dQh3cSbV0pE

私の可愛い人という邦題で映画化されてアランドロンとつきあう前の可愛いロミーシュナイダーがアンクレールを演じてた。


「さくらんぼ摘み取れば血の色の耳飾りゆらりゆれて。
人を好きになることは神様も止められぬ。 さくらんぼ実る頃 鳥さえも恋をする」


桜桃の実る頃という歌は1871年パリコミューンの闘士銅工職人ジャン・バテイスト・クレマンが作詞し桜桃の籠を持ってたルイーズという女性に捧げた詩だという。
パリ・コンミューンは戦士・市民3万人の虐殺により終わった。ルイーズも銃殺された。

クレマンはイギリスに逃げたが10年後パリにもどってみると自分が作った歌を人々が歌っていた。


桜桃の実る頃は単なる恋の歌ではない。裏の意味があって。さくらんぼの実る頃散っていった人を意味する。赤い流血と夭折の人と。
それはルイーズでありアンクレールなのだった。



さくらんぼの実る頃https://www.youtube.com/watch?v=jycvRlQI_hw

2007年楽天プログよりhttps://plaza.rakuten.co.jp/po523po/diary/200706220002/

河は呼んでいる  夜は恋人

2017-10-20 19:55:09 | シャンソン

_s.jpg" border="0">.jpg" border="0">河は呼んでる



私がまだ小学生だった頃ラジオから流れて来た。中原美紗緒さんが歌う映画「河は呼んでいる」の主題歌だった。

 「デュランス河の 流れのように  小鹿のような その足で
  駈けろよ 駈けろ
  かわいいオルタンスよ
  小鳥のように いつも自由に」
http://www.youtube.com/watch?v=NkV8JQKSvdA

https://www.youtube.com/watch?v=QkDtPIlRYcA



南仏プロバンスを流れるデュランス河とその畔に住む羊飼いの少女が出てくる映画だったがフランスではこの映画は忘れ去られてしまったという。ところが日本では忘れられてない。私を筆頭に懐かしく思い出す人がいる。

映画も覚えてるけどこの歌が懐かしい。紅白歌合戦で中原美紗緒さんが叔父の中原淳一さんがデザインしたドレスを着てこの歌を歌ってた姿を思い出します。

あの歌にはフランスへの憧れが圧縮されていて私にとっておフランスというとイヴ・モンタンの枯葉でなくてギイ・ベアールの河は呼んでいるなのだった。可愛いオルタンスを演じてたパスカル・オードレが事故死してしまったと聞き悲しいんだけど。

それから何年かたって中原美紗緒さんが今度は「夜は恋人」というシャンソンを唄いだした。ラジオから夜よ夜よというあやしいささやきが聴こえてきた。


「夜よ 夜よ 夜は素敵 優しい友よ. 何時いつの 日までも.
夜と私 私の夜 果てしない優しさよ. 疲れ果てて広い胸に眠ると. 苦しいことは みんな夢になるの
あの人と別れた夜は 泣いてしまったけれど」https://www.youtube.com/watch?v=uJGs1TrQjgE

その頃私はもう高校生になっていた。ラジオで深夜放送を聴いてると。毎晩0時になるとこのメロデイーが流れ出した。
「ただ今よりマルマンガスライターの提供で深夜放送をお送りします」アナウンサーまで怪しい口調で語りかける。

もの哀しい気分になり泣きたい気分になり。もう寝ないといけない時間なのに真夜中まで深夜放送やめられない自分を不良に感じ果てしない孤独に襲われるのだった。