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リートリンの覚書

古事記 中つ巻 現代語訳 八十一 酒楽の歌


古事記 中つ巻 現代語訳 八十一


古事記 中つ巻

酒楽の歌


書き下し文


 是に還り上り坐しし時に、其の御祖、息長帯日売命、待酒を醸みて献る。尓して其の御祖、御歌に曰りたまはく、 

この御酒は 我が御酒ならず
酒の長 常世に坐す
石立たす 少名御神の
神寿き 寿き狂ほし
豊寿き 寿き廻ほし
献り来し 御酒ぞ
あさず食せ ささ 

かく歌ひたまひて、大御酒を献る。

 尓して建内宿禰命、御子の為に答へまつりて歌ひて曰はく、 

この御酒を 醸みけむ人は
その鼓 臼に立てて
歌ひつつ 醸みけれかも
舞ひつつ 醸みけれかも
この御酒の 御酒の
あやに うた楽し ささ 

此は酒楽の歌なり。
 おほよそ帯中津日子天皇、御年伍拾弐歳。壬戌の年六月十一日崩りましぬ。御陵は河内の恵賀之長江に在り。皇后は御年一百歳にして崩りましぬ。狭城の楯列陵に葬りまつる。



現代語訳


 ここに、還(かえ)り上(のぼ)り坐(ま)した時に、その御祖・息長帯比売命(おきながたらしひめのみこと)が、待酒(まちざけ)を醸(か)もして献(たてまつ)りました。尓して、その御祖が、御歌に、仰せになられて、 

この御酒(みき)は 我が御酒ならず
酒の長(かみ) 常世(とこよ)に坐(いま)す
石立(いはた)たす 少名御神(すくなみかみ)の
神(かむ)寿(ほ)き 寿(ほ)き狂(くる)ほし
豊(とよ)寿(ほ)き 寿(ほ)き廻(もと)ほし
献り来し 御酒ぞ
あさず食せ ささ 

かく歌いになられて、大御酒を献りました。

 尓して、建内宿禰命(たけうちのすくねのみこと)が、御子の為(ため)に答えになられて、歌って、申し上げることには、 

この御酒を 醸(か)みけむ人は
その鼓(つづみ) 臼に立てて
歌ひつつ 醸みけれかも
舞ひつつ 醸みけれかも
この御酒の 御酒の
あやに うた楽し ささ 

これは、酒楽(さけくら)の歌です。
 おほよそ帯中津日子天皇(たらしなかつひこののすめらみこと)は、御年五十二歳。壬戌の年六月十一日に崩(かむあが)りました。御陵は河内の恵賀之長江(えがのながえ)に在ります。皇后は御年百歳にして崩りました。狭城(さき)の楯列陵(たたなみのみささぎ)に葬りました。


現代語訳(ゆる~っと訳)


 太子が、敦賀から都へ帰り上っていらっしゃった時に、その母君・息長帯比売命が、祝いの待酒を造って献上しました。

そして、その母君が、歌って、 

この御酒は 
私の御酒ではありません
酒の神
常世の国にいらっしゃる
御霊の岩として立っていらっしゃる
少名御神の
神として祝福する
踊り狂って祝い
ほめたたえ祝福する
踊り回って祝い
献上してきた
御酒です
残さず召し上がれ さあさあ 

このように歌って、大御酒を献上しました。

 そこで、建内宿禰命が、太子に代わって答えて、歌って、 

この御酒を
醸した人は
その鼓を
臼のように立てて
歌いながら
醸したからか
舞いながら
醸したからか
この御酒は
御酒は
なんともまあ
とても楽しい酒だ
さあさあ 

これは、酒楽の歌です。

 全て数えて、帯中津日子天皇は、御年、52歳。壬戌の年の6月11日に崩御しました。御陵は、河内の恵賀之長江にあります。

皇后は、御年、100歳にして崩御しました。狭城の楯列陵に葬りました。



続きます。

読んでいただき
ありがとうございました。







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