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リートリンの覚書

古事記 下つ巻 現代語訳 三十九 若日下部王


古事記 下つ巻 現代語訳 三十九


古事記 下つ巻

若日下部王


書き下し文


其の若日下部王の許に幸行でまし、其の犬を賜ひ入れ、詔らしめたまはく、「是の物は、今日道に得つる奇しき物ぞ。故つまどひの物」と云ひて、賜い入れき。是に若日下部王、天皇に奏さしめたまはく、「日を背に幸行でましし事、いたく恐し。故己直に參上りて仕へ奉らむ」とまをさしむ。 是を以ち宮に還り上り坐す時に、其の山の坂の上に行き立たして、歌ひ曰りたまはく、 
日下部の 此方の山と
畳薦 平群の山の
此方此方の 山の峡に
立ち栄ゆる 葉広熊白檮
本には いくみ竹生ひ
末へには たしみ竹生ひ
いくみ竹 いくみは寝ず
たしみ竹 たしには率寝ず
後もくみ寝む その思ひ妻 あはれ
此の歌を持たしめて、返し使はしき。



現代語訳


その若日下部王(わかくさかべのみこ)の許(もと)に幸行(い)でて、その犬をお与えになり入れ、仰せを伝えさせて、「この物は、今日、道で得た奇(あや)しき物だ。故、つまどいの物だ」と伝えて、お与え入れました。ここに若日下部王は、天皇に申し上げさせて、「日を背に幸行(い)でました事、いたく恐(かしこ)し。故、己が直に參上(まゐのぼ)り、仕え奉ります」と申しました。 是を以ち、宮に還り上り坐(ま)す時に、その山の坂の上に行き立ち、歌い仰せになられて、
 
日下部(くさかべ)の 此方(こち)の山と
畳薦(たたみこも) 平群(へぐり)の山の
此方此方の 山の峡(かひ)に
立ち栄ゆる 葉広熊白檮(はびろくまかし)
本には いくみ竹生ひ
末へには たしみ竹生ひ
いくみ竹 いくみは寝ず
たしみ竹 たしには率寝ず
後もくみ寝む その思ひ妻 あはれ

この歌を持たせて、返し使わしました。



・畳薦(たたみこも)
薦を幾重にも重ねるところから、「重 (へ) 」の音をもつ地名「平群 (へぐり) 」にかかる枕詞 


現代語訳(ゆる~っと訳)


その若日下部王の元へ行き、その犬を与えて、

「この物は、今日、道の途中で手に入れた珍しい物だ。そこで、求婚の贈り物としよう」と伝えさせて、贈り入れました。

そこで、若日下部王は、天皇の元に使者を派遣して、

「日に背を向けていらっしゃった事は、大変恐れ多いことです。ですから、私が直に参上して、お仕えいたします」と申し上げさせました。

こうして、雄略天皇は、宮廷に帰り上られる時に、日下の山の坂の上に行き、お立ちになられて、歌って、
 
日下部の
こちらの山と
(薦を幾重にも重ねたような)
平群の山の
あちこちの
山の谷間に
茂り栄える
葉広熊白檮
その下に
葉が組み合って茂っている竹が生え
梢の辺りに
おいしげっている竹が生え
( 葉が組み合って茂っている竹のようには)
組み合って共寝せず
(おいしげっている竹ようには)
確かに共寝はしていないが
後になったら抱き合い共寝しよう
その我が思う妻よ
あゝ

この歌を持たせて、若日下部王の元へ使者を
引き返させ贈りました。



続きます。

読んでいただき
ありがとうございました。



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