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リートリンの覚書

古事記 中つ巻 現代語訳 八十六 矢河枝比売との出会い


古事記 中つ巻 現代語訳 八十六


古事記 中つ巻

矢河枝比売との出逢い


書き下し文


 故木幡村に到り坐す時に、麗美しき嬢子、其の道衢に遇へり。尓して天皇、其の嬢子を問ひて曰りたまはく、「汝は誰が子ぞ」とのりたまふ。答へて白さく、「丸邇之比布礼能意富美の女、名は宮主矢河枝比売」とまをす。天皇其の嬢子に詔りたまはく、「吾明日還り幸でまさむ時、汝が家に入り坐さむ」とのりたまふ。故矢河枝比売、委曲に其の父に語る。是に父答へて曰く、「是は天皇に坐すなり。恐し、我が子仕へ奉れ」と云ひて、其の家を厳餝り、候ひ待てば、明日入り坐しき。


現代語訳


 故、木幡村(こはたのむら)に到り坐(ま)す時に、麗美(うるわ)しき嬢子(をとめ)と、その道衢(ちまた)で遇(あ)いました。尓して、天皇は、その嬢子に問いて、仰せになられて、「汝は誰の子だ」と仰られました。答えて、申し上げることには、「丸邇之比布礼能意富美(わにのひふれのおおみ)の女(むすめ)で、名は宮主矢河枝比売(みやぬしやかわえひめ)」と申しました。天皇は、その嬢子に仰せになられて、「吾は、明日に還(かえ)り幸(い)でる時に、汝の家に入り坐(ま)しょう」と仰られました。故、矢河枝比売は、委曲(つぶさ)にその父に語りました。ここに父が答えて、申し上げることには、「これは、天皇で坐(い)らっしゃる。恐(かしこ)し、我が子よ、仕へ奉れ」と云って、その家を厳餝(かざ)り、候(おもら)い待てば、明日(くるつひ)に入り坐した。



・木幡村(こはたのむら)
京都府宇治市北部の地名
・道衢(ちまた)
道の分岐点。分かれ道。辻(つじ)


現代語訳(ゆる~っと訳)


 宇治から木幡村に到着した時に、麗しい乙女と、その辻で出逢いました。

そこで、天皇は、その乙女に、
「お前は誰の子だ?」と尋ねました。

その乙女が、
「丸邇之比布礼能意富美の娘で、名前は宮主矢河枝比売と申します」と答えました。

天皇は、その乙女に、
「私は、明日帰ってくる時に、お前の家に入り立ち寄ろう」といいました。

そこで、矢河枝比売は、このことを詳細に父に語りました。

ここに父が答えて、
「これは、天皇でいらっしゃる。恐れ多いことだ。我が娘よ、お仕え申しなさい」といい、

その家を立派に飾り、待機していたところ、翌日天皇が宮主矢河枝比売の家に入りました。



続きます。

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