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アカルイミライ エンディング

2008-11-07 | 本・映画・ドラマのレビュー&気になる作品
アカルイミライ エンディング




松山くんの映画デビュー作品≪アカルイミライ≫ってどんな映画ですか、と
複数ご質問いただきました。エンディング画像もありましたが、
是非いつか全部まるごと(笑)ご覧になってくださいね。
過去記事からレビューを抜粋してご紹介します。
(ちなみに映画ではシャツの下のほうまで閉じている、茶髪(笑)の
スタイルのいい少年が松山くんです)



アカルイミライ エンディング




■アカルイミライ■


松山ケンイチくんが出演している
≪アカルイミライ≫をやっと観ました。
ほとんどセリフもないちょい役なんだけど、
カッコイイんです・・こんなカッコイイとは知らなかったです。
主人公とつるんで、窃盗に入って、捕まってしまうんだよね。
だけど、ださくないんです。
エンドロールにつづく流れで、一団となって歩き、
ダンボールを蹴って歩くんですが、なんだか美しいのですよ。

難解なんだけど、決して観られないというのではなく。
どうにでも物語を解体できるし、ジグソーパズルから
いらないピースを自分で決めちゃえるというか、
自由で、自分で想像をひろげてゆける作品です。
やっぱり一度はみてほしいな。

これからすぐにも観たいというひとは(ねたばれあり)から下を
読まないでください。 忘れた頃に観ようかなってひとは
ずずずとお進みくださいね。(笑)


雄二(オダギリジョー)と守(浅野忠信)はおしぼり工場の同僚。
行き場のない苛立ちを抱える雄二と、穏やかな守。
雄二にとって守は唯一心を許せる相手だった。
守はアカクラゲという、猛毒のクラゲを飼っていて、
そのクラゲに関するときだけ、非常に神経質になる。
守はクラゲを真水に慣らさせようと考えている。
少しずつ水槽の水を淡水化させているのだ。

おしぼり工場の社長(笹野高史)が崩壊した家庭の中へ
二人を招待し、若者を理解しているということを誇示、
擦り寄る。うざったく感じているふたりを職場では
優遇するといっておもねり、迎合し、ふたりを苛つかせる。
猛毒のクラゲの水槽に社長が手を入れるが、守はそれを
制することもしない。翌日、そのクラゲが猛毒だったことを
知り、社長が守を解雇してしまう。

雄二は突然暴力的な衝動に駆られ、おしぼり工場の社長宅へ
鉄パイプを持って押し入る。
だがそこは既に血の海で、その中には倒れている夫婦の死体があった。
そしてその夜から守の行方がわからなくなっていた…。



(ねたばれあり)
↓  ↓  ↓

守は社長夫婦を殺害していた。捕まったのち、面会の雄二に聞くのは
クラゲのことばかり。守の指示通り、クラゲの世話をしていた雄二は
あるとき、クラゲに事の成り行きの元凶を求め、キレ、水槽を
壊してしまう。クラゲは床板から下にするりと落ち、そこから排水溝へ
漂い流れていってしまう。守は自殺、雄二は守の父親・真一郎の廃品回収
リサイクル業を手伝うようになる。
守と、守から世話を引き継いだ雄二によって真水に慣らされた猛毒の
クラゲは排水溝のなかでも死なず、増殖を始める。
守はクラゲのえさとなるえびの一種を培養するのだが、真一郎は
真水で生き延びるクラゲの存在を信じようともしない。

ある夜、守の亡霊が現れ、えさの培養装置を破壊してしまう。朝、
装置が壊れていることを知った雄二は真一郎にやつあたりをし、金を
持ち去ろうとする。雄二は自暴自棄になり、ゲームセンターで知り合った
少年たちと妹婿の会社から現金を強奪しようとする。少年たちは
捕まってしまう。

雄二は再び真一郎のもとに戻る。テレビでは大量の猛毒のクラゲが
発生していることを伝えている。雄二は「守の願いがかなった」と
海にむかって漂ってゆくクラゲをどこまでも追い続ける。

一方、ゲームセンターでたむろしていた少年たちは一団となって、
ダンボールを蹴り飛ばしながら、いずこかを目指して歩き続けた・・・



猛毒の、しかも真水に慣らされたクラゲは
もう適応できないかもしれない海に戻ろうとする。
葬送の行列のように見えて、
同時に、朝の街を、ダンボールを蹴りながら歩く、
無自覚な、まだ無邪気な少年たちのようにも見えた。

目のまえに迫っている危機に無自覚なのだ。

雄二が守に代わって、クラゲにいらつきながら、
その存在を守ろうとしたのは、
もう自分が夢見ることを許されない、
「アカルイミライ」への憧れ故なのだろうか。
いっとき、少年たちとつるんで、金の強奪を考えたのも
彼らにクラゲのはかない願望を映したゆえなのだろうか。

しかし、暗渠のなかをたゆたう猛毒のクラゲたちの、
笠をひろげてまるで会話をしているみたいな、
そのはかなげな、美しさ。

私は雄二とクラゲと少年たちにまなざしを注いでしまったが、
この映画の不思議で包容力にあふれるところは、
雄二と守の関係性や、
守と真一郎の関係性、
雄二と真一郎の関係性など・・
どれをも主軸にすえることができるということだ。

あるいは、
2世代ではなく、
3世代における関係性と見ることも出来る。

飼いならされた猛毒・・
その取り扱いはときにスリリングだ。
まるで雄二のように。




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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
また観たいですー (れいちぇる)
2008-11-07 20:50:05
樹さんこんばんは!!
あれれ、さっき投稿した気が・・ふっとばされた?それともちょっと久しぶりの投稿で私間違えちゃったかな???

「アカルイミライ」久々にエンディングを観ましたー
何故?何故一人だけあんなに輝いているのだろう!?(←完全贔屓目)
観る度に印象深くなる、不思議な映画ですけど
松山くんのカッコよさがほんとに不思議です。なんであんなに佇まいが素敵なのかしらん(←だから贔屓目)

また観たくなりましたー樹さんのレビュー、なんだかドキドキしますもん。
返信する
私の出番?(笑) (マミナミ)
2008-11-07 21:32:49
アカルイミライのエンディングなら任せなさい★
なんてったってマミナミさんの好きなものが二大共演状態だもん、な、
こんばんわ、マミナミです。…いつもお久しぶりです(笑)

先日…っても9月のことにもうなっちゃうのですが、この映画を映画館で見に行ってきました。
既に発売されているDVDの中でも、オダギリさんが「映画館で機会あったらぜひ、見に行ってきてください」といっていたのもあるんですが。

…光と闇がそれぞれ持つ、鋭さと柔らかさを、映画館のスクリーンで私は見つけました。
自宅で見るよりも、それははっきり鮮明にわかりました。
…松の若さも足の長さも美しさも(笑)


見終わった後、映画館の壁に飾ってあった当時のフライヤー(チラシ)をみました。
…もしくはどこかの映画雑誌の記事を貼ってあったのかもしれませんが。
そこに、「未来は、暴風雨のなかを歩くようなもの」的な監督の言葉がありました。
(そういえば映画でもそんなシーンがありましたね)
なんだかその言葉が、今でも私の心の中にあります。


私は主題歌を歌っている人たちのファンでもあるので、贔屓するようですが(笑)「主題歌がなかったら、この映画は完成しなかった」と監督が言うほどに、あのラストは映画のすべてを語っている模様です……そうか、うーん、最後の最後でおいしい出演の松(笑)

映画が先に出来上がってから、監督とも意見を交わしつつ、曲を作っていった彼ら。
…本当は「アカルイミライ」という詩で終わらせるつもりだったはずが、いざ出来上がると「鮮やかな未来」という言葉になってしまった、という。
そのことを監督に断りいれると、監督からは「それでいい」という意見が。

…しかしそのおかげで、観客である私たちも、見ていて、
なんだかあの「鮮やかな」クラゲが
未来を象徴させているかのような錯覚さえ。
クラゲと同じように、街の海を漂う松たちも
未来を象徴しているような錯覚さえ。
…そう、あてどなく練り歩くあの子たちにも
「アカルイミライ」はある、
あの歌詞の通り、「真っ白な空白」の未来があると
言ってるようにさえ思えてくるような…。


確かにすごく難解な映画なんだけど、シーン一つ一つが、まるで音楽のように部分部分でビシビシ心に飛び込んでくる、そんな映画です。
私の中で、たまーに映画館で観たくなる映画の一つになりました。
返信する
れいちぇるさんへ ()
2008-11-08 09:17:19
おはようございます。

もいっこのコメントに書こうかと思ったけど、
こちらで、
おひさしぶりですーーー!!!
うれしいですよ、れいちぇるさんのコメントだ、
やっほーー!!(←ひかなくていいです笑)

アカルイミライ、好きなひとが多いですね。
寓話とも、ホラーとも、コメディーとすら受け取れる、
優れた映画にはつきものの、想像力をかきたてるパワーがあります。

おおきなスクリーンで高校生たちが歩いてゆくさまを見たいですね。

昔《ウォリアーズ》という映画を見たのですが、
シマへ帰るストリートギャング??の姿に
似ていて、日本映画っぽくないなと
思いました。

松山くん、遠景でもかっこいいですね!!
じっくりまた観たいです。

レビューどきどきですか? うれしいです。
エアーハグします♪
返信する
マミナミさんへ ()
2008-11-08 12:38:24
こんにちは~★

お久しぶりです。
オフ会で逢いたかったです←今更(笑)
スケジュールがね、あわなきゃね、
でもねえ、生マミナミ、拝顔したかったですよ。
でもって、マミナミさんの男気を授かりたかった(笑)
だって、超ハンサムですもん。

《アカルイミライ》エンディング解説、ありがとうございます。
諸般の事情により、オダジョーが苦手になりつつ、なったが(笑)
あの映画は奇跡のキャスティングですな。

まあ、松山くんのスタイルが際立ってますけどね、
あんなに綺麗なんだ。
ファンの欲目だもーーん、いいもーーん(笑)

いやあ、ラスト曲、すっごくよかったですよ、
バンド名、覚えてないけど(笑)
マミナミさんの解説を読んだら、
全編通してみたくなりましたよ。
今度はバンドに注意します!!

それにしてもいい映画は言葉が追いつかなくて、はがゆいですね!!!
返信する

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