森山開次《サーカス》
観るものに委ねられたダンス
昨日、森山開次さんのダンス公演に行ってきました。
妹が森山さんの話をするまで、「カムイ外伝」での熱演を忘れていた私なのですが、
関西で、しかも格安のお値段で見ることができると聞いて、とびつきました。
「サーカス」。
ダンス公演と聞いていたけど、パフォーマンスなのかな、と思っていたら、
やっぱり自由なパフォーマンスに思えました。
ところが、振り付け、演出はすべて森山さんがなさっていたのだとか。
驚きです、森山さんを含めて7名のダンサーの振り付けですよー。
フライヤーをごらんください。
舞台を撮ることはできないですけど(大衆演劇ではない^^)、
真っ白な大きなスクリーンがステージ床に張られていて、
そこに空、雲、幾何学模様ではないデザインが流れ出て、
全身白いタイツを着たダンサーたちがゆるやかに静かに舞うのです、
バレエが基本で、でも、バレエよりもさらにさらにやわらかく、
風が生まれるような息吹のある動き。
ことば以前の音楽たる笑い声や音が、
ときおりダンサーから発せられました。
舞台の中空には細長いアルミでできた風船、ヘリウムが注入された風船が放射線状に広がっていて、
舞台終わりちかくにはその風船をまとって森山さんがゆるやかに舞われました。
言葉にするのは難しい作品です。
さらに、
最近ずっと大衆演劇を見ているので、
その対照的な様子にびっくりしました。
大衆演劇というのは役者と観客がひとつの意味を共有し、
特に、感情に訴えかけてくるその時間に浸りきるものだと思うのですが、
《サーカス》はまったく別です。
ストーリーが一切提示されないため、
その舞台で現れてはきえる身体表現を、
いかにストーリーにしていくか、ということが頭のなかでぐるぐる。
到底それを組み立てることができなくなったときに、
はじめて、
純粋にダンサーたちの動きに集中できる気がしました。
森山さんは黒がまじったタイツを身につけておられましたが、
指先まで、そのしなやかな動きの、優しく、美しいこと!
床をながれる映像と、
静かで優しい音楽と、
素晴らしい身体表現に酔ったひとときでした。
前衛舞踏のような難解さとは無縁でも、
こういう、
各人に物語が委ねられた作品や分野もあるのだなあと、
あらためて感じ入ったしだいです。
サーカスとは違いますが、森山さんの動画がありますので、ご覧ください。
森山開次 Moriyama Kaiji "Shaguri"
森山さんのHPは下記です。
http://kaijimoriyama.com/index.html