憧れのおんな！

　私の憧れは夏木マリである。その昔、≪絹の靴下≫という、ヒット曲があったという。
今のことばで言えばエロカッコイイ歌手だったらしい。でも歌はへただったとか
そんなことはどうでもいい。
夏木マリというひとは、年齢を重ねるたびに、
スケールがでかくなるかっこよさをいつも身につけている。
まわりをどんどんひっぱってゆく！
やだね、おんなの完成形みたいだよ。
いよっ、姉御！
スーツだろうが、デニムだろうが、着物だろうが、
洋服を服従させちまう、素材のよさ。
真っ赤なルージュもすっぴんも天下一品！
こうゆうひとがＬの母親だったりしたら、もうあなた、
萌え死にしますから、私。

で、もうひとり、憧れのひとは作家、
鷺沢萌(←草冠の下は明じゃなくて朋なんだよ、漢字がでてこないっ）
デビュー作はスタイリッシュ・キッズだったかな。

私のおすすめは
「葉桜の日」（新潮文庫）
≪僕は、ホントは誰なんだろうね？
記憶にない昔、現在の養母に引き取られ、
そのことを当たり前のように生きてきたジョージの
胸の奥に、せつない囁きが通り過ぎていった１９歳の春を
描く「葉桜の日」。横浜のバーで働く青年の
ほろ苦く輝かしい日々を鮮やかに捉えた
「果実の舟を川に流して」。熱い問いを胸にとめながら、
しなやかに現在（いま）を生きてゆく若者たちを映し出す
青春小説集≫

　大人はなってしまうものではなく、大人になることを
選ぶことなんだなと、鷺沢さんを読んで思った。
２年前、自死した鷺沢さんの死が今も残念でならないけれど、
数々の著作では、まじめで、大人だった鷺沢さんに学ぶことが
たくさんある気がする。

酒鬼薔薇聖斗事件があったとき、
中高生と柳美里と灰谷健次郎が議論していた。
ひとを殺してはなぜいけないのか？
テレビのなかで質したのは、そのときが最初だったと思うが、
柳美里は中高生のまん前で、
灰谷健次郎に「こどもは美しい存在であるという幻想を抱くな」
と、ヒステリックに叫んでいた。
その時にも思ったよ、
大人のおんなになるってのは、責任をもって自ら選ぶことなんだなって。

柳美里はその後、母親になったけど、
大人になったかどうかは、定かではない。
責任を持って、異世代と向き合う覚悟を、
彼女には感じない。
灰谷さんはさぞ、悲しく、むなしい想いを噛みしめただろうね。
あの事件で、動揺するこどもたちを護ってやらねばならなかったのに。

私の憧れのおんな！
何でも男のせいにして、
権利を獲得しようなんてセコイやつらはキライ。
ラグビーボール抱えて、次の世代のやつらに
しっかりとパスをつなぐ人間。
それが私の憧れのおんなだっ！